入居者の平均居住年数はどう計算するか|国の調査は8.4年、管理会社の調査は単身3年3か月

結論からお伝えすると、入居者の平均居住年数は「退去した人の、入居日から退去日までの年数を足して、人数で割る」で出します。今住んでいる人で計算すると、まだ住み続けている途中の年数で割ることになり、短く出ます。公表されている数字も、数え方で大きく違います。国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」では、民間賃貸住宅に入居した世帯のうち、前も賃貸住宅に住んでいた世帯の前の住まいの平均居住年数は8.4年。一方、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「日管協短観」(2023年度)では、管理会社が答えた平均居住期間が単身で3年3か月、ファミリーで5年3か月です(2026年10月8日に確認)。

敷金礼金をゼロにするか、更新料を取るか、退去のたびにどこまで手を入れるか。どれも「平均で何年住んでもらえるか」が決まらないと計算できません。その年数を、ネットで見た数字で置くか、自分の物件の記録で置くかで、答えが変わります。

公表されている平均居住年数の比較。国の調査は前の賃貸に平均8.4年、日管協短観は単身3年3か月。

8.4年と3年3か月は、何が違うのか?

住宅市場動向調査(国土交通省) 日管協短観(日本賃貸住宅管理協会)
誰が答えたか 入居した世帯本人(訪問留め置き調査) 会員の賃貸住宅管理会社(インターネットアンケート・699社)
対象 2024年4月〜2025年3月に三大都市圏で民間賃貸住宅に住み替えた世帯 2023年4月〜2024年3月の管理物件
何の年数か 住み替える前の住まいに住んでいた期間 平均居住期間(管理会社の回答)
数字 前も賃貸住宅:平均8.4年(全体では12.4年) 全体4年2か月/単身3年3か月/ファミリー5年3か月

住宅市場動向調査の8.4年は、「民間賃貸住宅に引っ越してきた人が、その前の賃貸住宅に何年いたか」です。報告書の区分は「従前も賃貸住宅に居住していた世帯」で、民間の賃貸だけに絞った数字とは書かれていません。前が持ち家だった世帯は平均21.4年、親族の住宅だった世帯は18.7年で、全部を合わせると12.4年です。前が賃貸住宅だった世帯の平均は、令和3年度7.8年、4年度7.3年、5年度8.1年、6年度8.0年、7年度8.4年と並んでいます。

日管協短観は、首都圏では単身3年7か月・ファミリー5年5か月で、他の地域より長いとしています。協会は「平均居住期間についてはタイプ別においてもエリア別においても前年度と大きな違いはない」とまとめています。

どちらが正しい、という話ではありません。答えた人も、数えている年数の中身も違います。自分の物件の計算に、どちらかの数字をそのまま置き換えないことが大事です。

自分の物件で平均居住年数を出す手順

  1. 退去した人の一覧を作る:部屋番号、入居日、退去日。管理会社が契約の記録を持っています。
  2. 1人ずつ年数を出す:退去日から入居日を引き、月数で数えて12で割ります。
  3. 単身向けとファミリー向けを分ける:間取りで分けると、日管協短観の区分と並べられます。
  4. 今住んでいる人は別の表にする:途中の年数なので、平均に混ぜると短く出ます。今住んでいる人の中で一番長い人の年数は、別に書き留めておきます。
  5. 人数が少ないときは平均より並びを見る:8戸のアパートで退去が10件なら、1件の長い入居で平均が大きく動きます。短い順に並べて真ん中の人の年数(中央値)も書いておきます。
退去した人の記録から平均居住年数を出す5つの手順。

出した年数は、何に使うのか

都合の悪いことも書いておきます

  • 住宅市場動向調査の民間賃貸住宅の調査は、三大都市圏の約600世帯に調査票を配ったもので、母集団への復元はしていないと報告書に書かれています。全国の賃貸住宅の平均ではありません。
  • 日管協短観は、会員の管理会社のうち回答した699社の数字です。各社がどう計算したかまでは公表されていません。最新版は第28回で、協会のページには第29回の発表時期は未定と書かれています。
  • 入居日の記録が残っていない古い契約は、計算から外すしかありません。外した件数も書いておかないと、平均が実際より短いのか長いのか分からなくなります。

今日やることを1つだけ選ぶなら

管理会社に「過去5年に退去した部屋の、入居日と退去日の一覧」を頼んでください。返ってきた表で1人ずつ年数を出せば、8.4年でも3年3か月でもない、自分の物件の数字が1つ手に入ります。

出典

  • 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査 報告書」(2026年7月17日公表・国土交通省報道発表)
  • 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2023年4月〜2024年3月」(2024年11月・同協会ウェブサイト)

投稿者プロフィール

Follow me!

この記事の内容について、個別に相談したい方へ

さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。

相談する(お問い合わせフォーム)