空室の問い合わせは「どこで知ったか」と「どこから連絡したか」に分けて数えます|国の調査でネットは62.5%、不動産業者は5年間4割台のまま

管理会社の月次報告に「今月の反響 3件」とだけ書いてある。その3件が、ポータルサイトを見た人からの問い合わせなのか、仲介会社の店頭で紹介された人なのか、知り合いのつてなのかは書いていない。空室が2か月続いているのに、どこを直せばいいのかが報告書から読めません。

結論からお伝えすると、問い合わせは「どこで物件を見つけたか」と「どこから連絡してきたか」の2つに分けて数えると、直す場所が見えてきます。国の調査では、民間賃貸に入居した世帯の62.5%がインターネットで物件を探していますが、ネット経由で問い合わせや内見の申込みまでした世帯は25.9%にとどまります。ネットで見つけても、連絡は不動産業者を通しているのが多数派です。

民間賃貸に入居した世帯が物件を探した方法。インターネット62.5%、不動産業者42.4%、知人等の紹介12.5%、勤務先5.1%、住宅情報誌4.1%

国の調査で、入居者はどこで部屋を探しているのか

国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」(2026年7月公表)は、2024年4月から2025年3月に住み替えた世帯に、物件を探した方法を聞いています。民間賃貸住宅は三大都市圏の約600世帯が対象で、調査員が訪問して回収する方式です。複数回答なので、合計は100%を超えます。

物件を探した方法(民間賃貸) 令和3年度 令和5年度 令和7年度
インターネット 50.1% 60.1% 62.5%
不動産業者 43.7% 43.4% 42.4%
知人等の紹介 12.3% 17.8% 12.5%
勤務先 6.4% 8.3% 5.1%
住宅情報誌 4.0% 2.6% 4.1%

見てほしいのは2行目です。インターネットは5年で12ポイント増えましたが、不動産業者は42〜45%の間からほとんど動いていません。ネットが業者を置き換えたのではなく、ネットで探す人が増え、そのうえで業者にも行く人が多いということです。「ポータルに載せたから、仲介会社への営業はいらない」とは、この数字からは読めません。

ネットで見つけた人は、ネットで問い合わせてくるのか

同じ調査で、入居までの過程でインターネットをどう使ったかも聞いています(令和7年度)。

  • インターネットを通じた情報収集:71.5%
  • インターネットを通じた問い合わせ、説明会・内見等の申込み:25.9%
  • オンラインでの重要事項説明:3.9%
  • 電子署名等を活用した電子契約:2.2%
  • どれも経験がない:21.5%

情報収集は7割を超えるのに、問い合わせや内見の申込みまでネットで済ませた人は4人に1人です。前年度の令和6年度は情報収集61.1%・問い合わせ20.7%で、どちらも増えていますが、差は40ポイント台のまま縮まっていません。

大家さんの側から見ると、ポータルで物件を見た人の多くは、そのあと電話や来店で仲介会社に連絡しています。管理会社の報告で「ポータルの問い合わせ(反響)が少ない」と書かれていても、店頭や電話で同じ物件の話が出ていれば、物件が見られていないとは限りません。

ネットで情報収集した人は71.5%、ネットで問い合わせや内見を申し込んだ人は25.9%、電子契約は2.2%

入り口を2つの軸で数える

管理会社や仲介会社に頼むのは、問い合わせ1件ごとに次の2つを記録してもらうことです。

  1. どこで物件を知ったか:ポータルサイト/仲介会社の店頭での紹介/知人の紹介/勤務先・法人/看板や現地
  2. どこから連絡してきたか:ポータルの問い合わせフォーム/仲介会社への電話・来店/管理会社への直接の電話

この2つを掛け合わせると、たとえば「ポータルで知って、仲介会社の店頭に来た」人が何人いたかが分かります。数が取れたら、次の順で読みます。

  • 知った経路の数が少ない:そもそも見られていない。掲載先と写真、募集条件の側を見直す
  • 知った数は多いのに、連絡が少ない:見たが選ばれていない。家賃・初期費用・写真の順に比べる
  • 連絡は多いのに、内見が少ない:連絡のあとで止まっている。鍵の受け渡しや内見の段取りを見る

数えるときに気をつけること

国の調査は「入居した人」の答えです

調査の対象は、実際に住み替えを終えた世帯です。問い合わせたが決めなかった人は入っていません。自分の物件で数えるのは問い合わせの段階なので、国の比率と同じになるとは限りません。比べるのは「自分の物件で、ネットの入り口がどのくらいの割合か」の手がかりとしてです。

三大都市圏の数字です

民間賃貸の調査は首都圏・中京圏・近畿圏が対象です。埼玉の物件でも、駅から遠い・車通勤が多いエリアでは、勤務先や知人の紹介の比率が上がることがあります。

記録がない月は「不明」と書く

入り口を聞いていない問い合わせは「不明」として数え、推測で振り分けないことです。不明が半分を超える月が続くなら、まず記録の取り方から直します。

月次報告の読み方そのものは管理会社の報告書は何を見ればいいか、空室の原因の切り分けは空室が続くのは管理会社のせいか、物件のせいかに、ポータルで落ちている場所は内見の申し込みが入らないのはなぜかに整理しています。管理会社に数字を頼むときの伝え方は「空室なのに提案がない」管理会社への伝え方、条件の動かし方は空室が3か月埋まらない。募集条件のどこを動かすかも参考になります。

今日やることを1つだけ選ぶなら

管理会社に「今月の問い合わせを、知った経路と連絡してきた経路に分けて教えてください。分からないものは不明で構いません」と1行送ってください。最初の1か月は不明が多くても、2か月目から並べて比べられます。

出典

  • 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査 報告書」(2026年7月)6. 民間賃貸住宅に関する結果 問4 インターネット等の活用・問5 物件を探した方法、1. 調査の概要

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