「空室なのに提案がない」管理会社への伝え方|大家が使える依頼の型

結論からお伝えすると、空室が続いているのに管理会社から提案が来ないときは、「何か提案してください」ではなく「いつまでに・何について・どの選択肢を出してほしいか」を指定して依頼するのがいちばん早く動きます。漠然とした不満は具体的な作業に変換されませんが、項目と期限が入った依頼はそのまま担当者の仕事になります。管理会社の内側で働きながら自分でも部屋を貸している立場から見ると、この差は思っている以上に大きいです。

空室なのに提案がない管理会社に、大家が取る5つの行動。3つの数字を用意し、項目を指定して聞き、期限を日付で切り、費用も検討すると伝え、2回で動かなければ見極める

なぜ空室なのに提案が来ないのか

やる気がないから、とは限りません。内側から見ると、理由はだいたい次のどれかです。

  • 担当者1人あたりの管理戸数が多い:数百戸を1人で見ている会社もあります。クレーム・退去・更新のように「期限のある仕事」から順に手が付き、締切のない空室は後回しになりやすい
  • 提案しても断られると思っている:過去に賃料や広告費の相談を断られた経験があると、「この大家さんは条件を動かさない」と判断して、次から持って来なくなります
  • そもそも状況を集計していない:反響数や内見数を数えておらず、聞かれて初めて調べる会社もあります
  • 募集を仲介会社に任せきりにしている:ポータルサイトへの掲載は出しているが、そこから先の打ち手を自社で持っていない

ただし、理由がどれであっても空室が続いている事実は変わりません。悪意があるかどうかは、大家さん側の損失には関係ありません。だからこそ、原因探しより先に「動かす依頼」を出すほうが実利があります。

伝える前に、大家側で3つの数字を用意する

手ぶらで「なんとかしてほしい」と言うと、話が精神論になって終わります。次の3つを先に押さえてください。

  1. 空室期間と、それによる損失額:家賃7万円の部屋が3か月空けば21万円です。金額に直すと、工事や条件変更にいくらまで使えるかも決めやすくなります
  2. 直近1か月の反響数と内見数:問い合わせがゼロなのか、内見はあるのに決まらないのかで、打つ手はまったく別になります
  3. 近隣で募集中の似た部屋の条件:ポータルサイトで同じ駅・同じ間取りを5件ほど見れば、自分の部屋がどう並んで見えるかが分かります

数字がないと、なぜ話が進まないのでしょうか

管理会社の担当者は、社内で「なぜその費用が必要か」を説明しなければ動けないことが多いです。反響数や空室損失の金額が入っていれば、担当者はそれをそのまま社内の説明に使えます。逆に「大家さんが怒っている」だけでは、社内では何も決まりません。数字は管理会社を責める道具ではなく、担当者に持たせる材料だと考えてください。

効きにくい伝え方と動く伝え方の比較。前者はなんとかしてほしい・期限なし・不満のみ。後者は空室日数と反響数を添え、5つの項目を並べ、期限を日付で書き、費用も検討すると伝える

そのまま使える依頼の型

メールでも書面でも、次の4つが入っていれば十分です。

  • 現状の数字(空室日数・反響数・内見数)
  • 出してほしい選択肢を項目で指定する(募集賃料/初期費用/広告料/設備・内装/募集写真と図面)
  • 期限(「◯月◯日までに」と日付で書く)
  • こちらが判断する意思(「費用がかかる案も検討します」の一文を入れる)

文面はこの程度で構いません。「◯◯号室が◯月から空室で、すでに◯日経ちました。直近1か月の反響数と内見数を教えてください。あわせて、賃料・初期費用・広告料・内装のそれぞれについて、いま考えられる打ち手を◯月◯日までに出していただけますか。費用がかかる案も含めて検討します。」

ポイントは、4つの項目を並べて聞くことです。「どうすればいいですか」と聞くと、多くの場合いちばん手間のかからない「賃料を下げましょう」だけが返ってきます。項目を指定すれば、賃料以外の案も出さざるを得なくなります。

強く言うと、関係が悪くなりませんか

感情ではなく事実と期限で書けば、まず悪くなりません。むしろ内側から見ると、条件を検討してくれる大家さんの部屋は、社内で優先されます。避けたいのは、我慢して何も言わないまま半年経ち、最後に「解約します」と伝わる形です。これは管理会社にとっても改善の機会がありません。

伝え方を変えても埋まらないことはある

都合の悪いことも書いておきます。依頼のしかたを整えても、次のような場合は結果が出るまでに時間とお金がかかります。

  • 駅からの距離・築年数・間取りなど、募集条件では動かせない要素が原因になっている
  • 募集賃料が相場から離れていて、写真や図面の改善では埋まらない
  • 設備や内装の更新が必要で、数万円では収まらない

そもそも管理会社の問題なのか物件の問題なのかを切り分けたい方は空室が続くのは管理会社のせいか、物件のせいか、募集条件のどこから動かすかは空室が3か月埋まらない。募集条件のどこを動かすかで整理しています。

それでも動かないときの見極め

依頼を2回出しても、次の状態なら管理会社の変更を検討する段階です。

  • 期限を切って依頼したのに、期限内に何の返答もない
  • 反響数・内見数という基本の数字が、聞いても出てこない
  • 返ってくる案が毎回「賃料を下げる」だけで、根拠の説明がない
  • 報告書の内容が数か月変わらず、募集の動きが見えない

報告書の読み方は管理会社の報告書は何を見ればいいか、対応の遅さそのものが気になる場合の線引きは管理会社の対応が遅い。改善を求めるか、変えるかの判断基準で書いています。なお解約の予告期間は契約によって異なり、一般的には3か月前とされることが多いものの、必ずお手元の管理委託契約書の条項をご確認ください。判断に迷う内容が含まれる場合は、弁護士など専門家にご相談ください。

まとめ

提案が来ないのは、多くの場合「悪意」ではなく「優先順位」の問題です。だからこそ、数字を用意し、項目と期限を書いて依頼し、期限が来たら結果を見る。この順番で進めるのが、いちばん短い距離で空室に手が付きます。2回試して何も動かなければ、そのときは相手を変えるという判断材料が揃ったということです。

管理業務の中身をあらためて確認したい方は管理業務の内容を、変更まで具体的に検討する段階であれば管理会社の変更相談をご覧ください。

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