サブリース(一括借上げ)から通常管理に戻せるか|解約の条件と進め方
結論からお伝えすると、サブリース(一括借上げ)から通常の管理に戻すことは可能です。ただし「いつでも自由に解約できる」わけではありません。契約書の解約条項と、借地借家法の考え方の両方を踏まえて進める必要があります。
「サブリース 解約」と検索すると、「解約できない」「違約金」「裁判例」といった言葉が並びます。それだけ、思ったように解約できずに困っている大家さんが多いということです。
そもそもサブリースとは何か
サブリース(一括借上げ、家賃保証型ともいいます)は、管理会社が大家さんから物件を一棟まるごと借り上げ、それを入居者に転貸する仕組みです。
- 大家さんは、空室の有無にかかわらず一定額を受け取れる
- 入居者との賃貸契約の相手は、大家さんではなく管理会社になる
- 差額(入居者からの家賃 − 大家さんへの支払い)が管理会社の収益になる

なぜサブリースは簡単に解約できないのか
ここが最も誤解されている点です。理由は2つあります。
理由1:大家さんが「貸主」、管理会社が「借主」になっている
通常の管理委託契約なら、大家さんは「委託する側」です。しかしサブリースでは、大家さんは物件を貸している側、管理会社は借りている側になります。
借地借家法では、建物を借りている側が保護されます。一般的には、貸主から解約を申し入れる場合には「正当事由」が必要とされ、単に「収益が上がらないから」「他社に変えたいから」という理由だけでは足りないと判断されることがあります。
つまり入居者を追い出すのが難しいのと同じ構造で、管理会社も追い出しにくいということです。
理由2:契約書に解約制限が書かれていることが多い
実務では契約書の条項が出発点です。よく見かけるのは次のような内容です。
- 解約は6か月前までに書面で通知すること
- 中途解約する場合は賃料の◯か月分を支払うこと
- 契約期間中(10年・20年など)は原則として解約できないこと
- 更新は自動更新とし、拒絶には別途手続きが必要なこと
自動更新の条項は特に注意が必要です。気づかないうちに次の期間が始まっていることがあります。

解約したいと思ったら、何から手をつけるべきか
順番を間違えると、交渉の材料を自分から手放します。次の順で進めてください。
- 契約書を全部読む。特に「契約期間」「更新」「解約」「違約金」の4つの条項
- 更新日と解約予告の期限を紙に書き出す。ここを外すと1年待つことになります
- 今の収支を計算する。受け取っている保証賃料と、周辺の実勢賃料を比べる
- 入居者の状況を把握する。誰が住んでいて、契約はいつまでか。管理会社に開示を求める
- そのうえで管理会社と話す。いきなり「解約します」ではなく、条件変更の相談から入る手もあります
- 折り合わない場合は弁護士に相談する
4番は見落としがちですが重要です。サブリースでは入居者と直接の契約関係がないため、誰がいくらで住んでいるのかを大家さんが知らないケースが実際にあります。現状が分からなければ、解約後の判断もできません。
賃料の減額を求められている場合はどうするか
サブリースで最も多いトラブルが、「保証賃料の見直し(引き下げ)」の申し入れです。
契約時に「30年家賃保証」とうたわれていても、多くの契約には数年ごとに賃料を見直す条項が入っています。周辺相場の下落や空室の増加を理由に、減額を求められることがあります。
選択肢は「受け入れる」「実勢賃料の資料を用意して交渉する」「解約に踏み込む」の3つです。
判断材料になるのは「通常管理にしたら手元にいくら残るか」です。サブリースは実勢賃料の80〜90%程度で設定されていることが多く、通常管理の管理料は月額賃料の3〜5%程度が目安です。単純計算では通常管理のほうが残りますが、空室リスクを自分で負うことになります。
満室にできる物件なら通常管理が有利、空室が続く物件ならサブリースの保証に価値がある、というのが基本的な考え方です。
解約にはどのくらい費用がかかるのか
物件と契約内容によって幅が大きいため、断定はできません。目安として次のような費用が発生し得ます。
- 違約金:賃料の3〜6か月分程度の契約を見かけます(契約次第で大きく変わります)
- 原状回復や修繕の精算:借上げ期間中の扱いを契約で確認してください
- 入居者への通知・契約の切り替え費用
- 交渉が難航した場合の弁護士費用
「違約金を払っても、数年で元が取れるのか」を必ず計算してください。感情で判断すると損をします。
解約せずに状況を改善する方法はないのか
あります。解約は最後の手段です。
- 保証賃料の据え置き交渉:周辺相場の資料を示して減額を止める
- 契約期間の短縮:次の更新時に期間を短くしてもらう
- 一部の棟・部屋だけ通常管理に戻す:契約が物件単位なら切り分けられる場合があります
- 更新のタイミングまで待つ:中途解約の違約金を避けられます
特に4番は現実的です。更新まで2年あるなら、その2年で入居者の状況を把握し、実勢賃料を調べ、次の管理体制を決めておく。準備してから動くほうが、条件は良くなります。
自社で対応できないこと
正直にお伝えします。契約の有効性や違約金条項が法的に妥当かという判断は、当社ではできません。これは弁護士の領域です。
当社がお手伝いできるのは、周辺の実勢賃料の調査、通常管理に切り替えた場合の収支の試算、切り替え後の募集と管理、空室が出た場合の原状回復工事です。「解約すべきかどうか」の判断材料をそろえるところまでは、ご一緒できます。
まとめ
- サブリースの解約は可能だが、簡単ではない
- 大家さんが「貸主」側になるため、解約に正当事由を求められることがある
- まず契約書の4条項(期間・更新・解約・違約金)を読む
- 更新日と解約予告の期限を外さない
- 解約前に入居者の状況と実勢賃料を把握する
- 法的な判断は弁護士へ。収支の試算は管理会社に相談できる
実勢賃料の調査や収支の試算をご希望の方は、管理のご相談をご覧ください。管理会社の変更手続きそのものは、当サイトの関連記事で解説しています。
「サブリースを外したら空室が埋まらないのではないか」というご心配があるなら、解約の前に空室対策の打ち手と原状回復の費用感を確認しておくと、判断しやすくなります。物件そのものを手放す選択肢も含めて、複数の出口を並べたうえで決めるのが安全です。
なお、違約金の経費計上など税務上の取り扱いは税理士に、契約の法的効力は弁護士にご確認ください。
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