アパートの敷地に自販機を置くとき、手数料は家賃と消費税の扱いが違います|国税庁は販売手数料を「役務の提供」の対価としています
飲料メーカーの営業担当が、アパートの駐輪場の脇を指して「ここに1台置かせてもらえませんか。電気代はこちらで見ますし、売れた本数に応じて手数料をお支払いします」と言った。差し出された契約書は2枚。入居者の家賃と同じ感覚で受け取ってよいのか、判断がつかない。
結論からお伝えすると、自販機の販売手数料は、住宅の家賃とは消費税の扱いが違います。国税庁は、販売数量に応じて計算される自販機の販売手数料を「自動販売機の設置等に係る対価」で、「役務の提供」の対価だとしています。住宅の家賃は非課税ですが、この手数料は消費税の課税対象の売上になります。置く前に、税と契約の2つを確かめておくと後で困りません。

自販機の手数料は、消費税ではどう扱われるのか
国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の問43は、清涼飲料の自販機を設置して、メーカーから販売数量等に応じた手数料を受け取っている事業者の質問です。答えは次のとおりです。
- 販売手数料は自動販売機の設置等に係る対価として受け取るもの
- 販売数量に応じて計算されていても、飲食料品の売上げの値引き(対価の返還等)にはあたらない
- 「役務の提供」の対価なので、軽減税率(8%)の対象にならない
一方、住宅の家賃は、消費税法の別表第二13号で非課税です。土地の貸付けも同じ表の1号で非課税ですが、自販機の手数料はQ&Aが「役務の提供」と整理しているため、この2つのどちらにも入りません。
免税事業者の大家さんにも関係があるのか
ほとんどの大家さんは、課税売上高が1,000万円以下で消費税を納めていない免税事業者です(消費税法9条)。家賃は非課税なので、もともと課税売上高に入りません。自販機の手数料は課税売上なので、この1,000万円の判定に数える側に入ります。手数料だけで1,000万円に届くことはまずありませんが、駐車場の賃料や事務所・店舗の家賃など、他の課税売上がある大家さんは合計で見てください。判定は基準期間(個人は2年前の年)の数字で行います。
所得税では何所得になるのか
所得税の基本通達26-5は、広告などのために土地や建物の屋上・側面・塀を使わせる場合の所得を不動産所得としています。看板のように「場所を使わせる」対価は不動産所得です。
自販機の手数料は、固定の場所代として受け取る契約もあれば、売れた本数に応じた販売手数料の契約もあります。国税庁のタックスアンサーには、自販機の手数料を何所得とするかを名指しした記載は見当たりません。契約書の名目と計算の仕方を持って、税務署か税理士に確かめてから申告してください。どの所得にしても、収入として申告が要ることは変わりません。帳簿には、家賃と分けて記帳しておくと後で振り分けやすくなります。

契約書で確かめる3つ
土地に自販機を置く契約は、建物を建てるための土地の賃貸借ではないので、借地借家法の「借地権」(同法2条1号:建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)にはあたりません。契約の終わり方は、契約書に書いてあることがほぼすべてです。
- 期間と解約の申入れ:何か月前に言えば撤去してもらえるか。期間も解約の定めもない土地の賃貸借は、民法617条1項1号で解約の申入れから1年たって終わります。建替えや売却の予定があるなら、短い予告期間を書いてもらう
- 撤去と原状回復の費用:誰が、いつまでに撤去し、基礎や配線の跡を直すか
- 電気代の持ち方:共用部の電気から取るのか、専用の引込みにするのか。共用部の電気から取るなら、その分の電気代が手数料のなかで精算されているかを契約書で確かめる
入居者への配慮も忘れずに。夜間の明かりや、空き缶の回収箱のまわりのごみは、近い部屋の入居者から最初に声が上がるところです。置く場所は、窓の前や玄関の動線を避けて選んでください。
帳簿のつけ方は大家が使う帳簿は何か、共用部の電気代の見方はアパートの共用部の電気代は10月からどうなるか、手数料と消費税の関係は管理会社に払っている費用を1年分並べてみるにまとめています。申告の誤りに後から気づいたときは確定申告の誤りに自分で気づいた大家へ、駐車場の別契約の考え方は駐車場代を家賃に含めるか別契約にするかも参考になります。
今日やることを1つだけ選ぶなら
受け取った契約書の「手数料」の欄を開き、固定額か、販売本数に応じた額かを確かめてください。そのうえで、解約の予告期間が何か月になっているかに印を付けます。この2か所で、税の確認先と、建替えのときに困るかどうかが分かります。
出典
- 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(令和8年4月改訂)問43
- 国税庁 所得税基本通達26-5
- 消費税法9条・別表第二、借地借家法2条、民法617条(e-Gov法令検索・2026年10月9日時点)
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