駐車場は家賃に含めるか別契約にするか|期間を書かないと解約は1年先です

結論からお伝えすると、駐車場を家賃に含めるか別契約にするかは、見た目や募集のしやすさで決める話ではありません。決まるのは2つです。ひとつは消費税——駐車場代を家賃とは別に受け取ると、原則として課税の対象になります。もうひとつは終わらせ方——駐車場だけの契約は借地借家法の対象外ですが、契約書に期間を書いていないと、解約を申し入れてから1年経たないと終わりません。

募集図面に「駐車場:敷地内 月5,000円(空1台)」と書いてある。区画は6つで、部屋は8戸。実際の契約書を開くと、頭書の附属施設の欄にある「駐車場 含む・含まない  台分(位置番号:  )」のどちらにも丸が付いていない。台数も位置番号も空欄。この状態のまま、駐車場代だけは毎月別に振り込まれている——いちばん多い形が、いちばん整理されていません。

駐車場を家賃に含めるか別契約にするかで後から効いてくる4点を並べた図。消費税の扱いが変わる、終わらせ方が変わる、契約書の欄が空欄になりがち、区画の数と戸数を数える。

駐車場だけの契約に、借地借家法はかからない

借地借家法第1条は、この法律が「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」「建物の賃貸借」について定めるものだと書いています。第2条第1号の定義も、借地権とは「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」です。

青空駐車場や区画を引いただけの平面駐車場は、その土地の上に建物を所有するための契約ではありません。建物の賃貸借でもありません。したがって借地借家法の枠の外にあり、更新を法律で強制される仕組みも、正当事由も出てきません。建物の賃貸借なら第26条・第28条で更新拒絶に正当事由が必要ですが、駐車場だけの契約にはこの条文が働きません。

ここまでは「大家に有利」に聞こえます。ところが、外に出たぶん民法がそのまま適用されます。そこに落とし穴があります。

1か月前に言えば返してもらえるのか?

民法第617条第1項を読みます。

「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。一 土地の賃貸借 一年 二 建物の賃貸借 三箇月 三 動産及び貸席の賃貸借 一日」

駐車場は土地の賃貸借です。つまり期間を定めていない駐車場の契約は、解約を申し入れてから1年経つまで終わりません。建物(3か月)より長いのです。「駐車場は1か月前に言えばいい」と思われがちですが、それは契約書に期間や予告期間を書いてある場合の話です。

建替えや外壁工事で資材置場が必要になった、区画を潰して駐輪場を広げたい、隣地を売るのに接道部分を空けたい——こうした場面で1年待つことになります。逆に言えば、契約書に期間と予告期間を書いておくだけで防げます。

もうひとつ細かい点ですが、民法第604条は賃貸借の存続期間を50年までとしています。建物の賃貸借にはこの上限を適用しない旨が借地借家法第29条第2項に置かれていますが、駐車場は借地借家法の外なので、50年の上限がそのまま生きます。長期の駐車場契約を結ぶときの上限です。

消費税は「別に取るかどうか」で変わる

ここが金額に直結します。消費税法別表第二第十三号により住宅の貸付けは非課税で、第一号により土地の貸付けも非課税です。ところが消費税法施行令第8条が、土地の貸付けから除外される場合として「同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合」を定めています。

区画を引き、番号を振り、車を置かせる——これは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に当たるという整理です。だから駐車場の貸付けは、土地の貸付けとしての非課税から外れます。

では住宅の側から非課税になる道はあるのか。国税庁のタックスアンサー「No.6226 住宅の貸付け」(令和7年4月1日現在法令等)が、条件を明示しています。

「イ 駐車場の貸付けは、次のいずれにも該当する場合、非課税となります。A 一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合 B 家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合」

「いずれにも該当する場合」です。ここを片方だけで読むと間違えます。1戸1台分以上あっても、家賃とは別に駐車場代を受け取っていれば、Bを満たさないので非課税にならないという読み方になります。

国税庁の質疑応答事例「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」の別紙は、同じことを表にしています。駐車場料について、「車所有の有無にかかわらず1戸につき1台以上の駐車場が付属する場合」は非課税「上記以外の場合」は「駐車場料金を合理的に区分し課税」。同じ資料の本文も、駐車場施設は「通常単独で賃貸借やサービスの目的物となる」ものなので、「全住宅の貸付けについて付属する場合や住人のみの利用が前提となっている場合など、住宅に対する従属性がより強固な場合にのみ非課税とされ」ると書いています。

なぜ大家にとって金額の話になるのか

冒頭の物件で考えます。8戸に区画6つ、月5,000円を別に徴収。年間で36万円ほどが課税売上の側に立つ計算になります。単体では小さい額ですが、棟数が増えたときや、店舗・事務所を貸している場合と合わせたときに、消費税の納税義務の判定に効いてきます。非課税の家賃は判定に入らないのに、駐車場代は入る——という差が出ます。

そして区画が戸数に足りているかどうかが分かれ目のひとつです。8戸に6区画では「一戸当たり1台分以上」を満たしません。ここは物件を買った時点でほぼ決まってしまう条件です。

税務の判定は契約書の書き方や徴収の実態で変わりますので、ご自分の契約書と請求の形を税理士か所轄の税務署に見せて確認してください。この記事は条文と国税庁の公表資料を整理したもので、個別の判定はしていません。

国の契約書は、両方の形を用意している

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版・連帯保証人型)の頭書(1)には、附属施設として「駐車場 含む・含まない  台分(位置番号:  )」という欄があります。バイク置場、自転車置場、物置、専用庭も同じ形です。

《作成にあたっての注意点》の記入要領は、こう書いています。「駐車場」には契約台数と駐車位置番号を下線部に記入してください。そして——「各附属施設につき、本契約とは別に契約をする場合には、選択肢の『含まない』に○をつけ、右の空欄に『別途契約』と記入してください。」

つまり国の書式は建物と一体で貸す形と、別契約にする形の両方を想定しています。どちらが正しいという話ではありません。問題はどちらにも丸が付いていない契約書です。含むのか含まないのかが決まっていないと、退去時に駐車場だけ残るのか一緒に終わるのかも決まりません。

工事の日にも、駐車場は出てきます

もうひとつ現場の話を。原状回復や設備交換を頼むとき、敷地内に職人の車を置けるかどうかで費用が変わります。大家さんの内装屋の料金表には、単価表の注記として「駐車スペースが確保できない場合は駐車場代が別途かかります」と書かれています(税抜表記の単価表の注記)。

空室が出て工事に入るタイミングは、その部屋の駐車区画が空いている可能性が高い時期でもあります。区画の位置番号と、いま誰に貸しているかが1枚になっていると、この手配が早く済みます。逆に位置番号が空欄のままだと、現地で「どこに置いていいか分からない」が起きます。

駐車場を家賃に含める場合と別契約にする場合を左右に並べた図。含める場合は1戸1台分以上の割当が必要で、駐車場代を別に取らず、条件を満たせば非課税、契約は建物と一緒に終わる。別契約の場合は駐車場代が原則課税、借地借家法はかからない、期間を書かないと1年、台数の増減がしやすい。

決め方の順番

  1. 区画の数と戸数を数える。1戸1台分以上あるかどうかが、消費税の入口の条件になります
  2. 契約書の附属施設の欄を見る。「含む・含まない」に丸があるか、台数と位置番号が埋まっているか。空欄なら次の更新で埋める
  3. 別契約にするなら、期間と予告期間を必ず書く。書かなければ民法617条で1年です
  4. 徴収の形を決めたら、税理士に一度見せる。家賃に含めるか別に取るかで、課税・非課税の扱いが変わります

送金明細から何が引かれているかは 送金明細書から引かれている5つの項目|大家が承諾していないものは差し引けません、収入と支出の記録の残し方は 大家が使う帳簿は何か|白色申告でも記帳と7年保存は義務です に書いています。契約書のどこを読むかは 大家が賃貸借契約書で必ず読む3か所|特約は書けば通るわけではない、募集図面の書き方は 募集図面(マイソク)で反響が変わる|書き換えるべき5か所 をご覧ください。

駐車場は、家賃に比べて金額が小さいので後回しにされます。ただ「借地借家法の外にある」「土地なので解約は1年」「別に取ると課税」という3点は、あとから直しにくいところに効いてきます。次の更新のときに、契約書の欄を1つ埋めるところから始めてください。

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