管理会社が倒産したらどうなるか|大家が確認する敷金と家賃の行方

結論からお伝えすると、管理会社が倒産したときに大家が失いやすいのは「預けたままの敷金」と「集金済みでまだ送金されていない家賃」の2つです。入居者との賃貸借契約そのものは消えないので、建物も入居者もそのまま残ります。ただしお金は戻らないことがあり、しかも戻らない部分は倒産してからでは動かせません。備えは平時にしかできない、というのがこの記事の要点です。

管理会社で働いていると、同業が突然止まる話は珍しくありません。前日まで普通に電話がつながっていた会社が、翌朝には「業務停止」の書面を出す。そのとき何が起きるのかを、内側から見た順番で書きます。

管理会社が倒産すると大家に起きること6点の図解。家賃送金の停止、敷金が戻らない、鍵や契約書の所在不明、募集と修繕の停止、入居者からの直接連絡、賃貸借契約自体は継続すること

管理会社が倒産すると、大家に何が起きるのか

まず落ち着いていただきたいのは、入居者との契約は大家さんと入居者の間のものだという点です。管理会社は間に立って業務を代行しているだけなので、会社が消えても契約は続きます。入居者に退去してもらう必要はありません。

止まるのは、実務とお金の流れです。

  • 家賃の送金が止まる。入居者は今までどおり管理会社の口座に振り込むため、大家さんの手元には入ってこない
  • 預けていた敷金が返ってこない。会社の運転資金と混ざっていると、まず回収は難しい
  • 入居者情報・鍵・契約書の所在が分からなくなる。事務所が閉鎖されると物理的に取りに行けない
  • 募集や修繕の対応が止まる。空室の広告出稿も、業者への発注も宙に浮く
  • 入居者からの連絡が大家さんに直接来る。夜間・休日の対応も含めて、いきなり自主管理になる

敷金と家賃は、実際どこまで戻るのか

預けている敷金

一般的には、預り金として会社の資産と分けて管理(分別管理)されていれば戻る可能性がありますが、実務上は会社の口座にまとめて入っていることが多く、その場合は他の債権者と並ぶ一般債権として扱われます。全額が戻らないことも普通にありますと申し上げるほかありません。

集金済みで未送金の家賃

締め日と送金日の関係で、倒産のタイミングによっては1〜2か月分が宙に浮きます。これも一般的には一般債権となり、配当があっても数%というケースが少なくありません。

金額が大きい場合や、分別管理の合意が契約書にある場合は扱いが変わることがあります。実際の回収可否は破産手続の中で決まるため、必ず弁護士など専門家に確認してください。この記事は一般論の整理にとどまります。

倒産しそうな管理会社は、事前に見分けられるのか?

完全には見抜けません。ここは正直に書きます。ただ、後から振り返ると兆候が出ていた会社は多いです。

  • 送金日が遅れる、遅れた理由の説明があいまい(もっとも分かりやすい兆候)
  • 担当者の退職が続き、引き継ぎがされていない
  • 月次報告書が来なくなる、内容が雑になる
  • 修繕の発注が止まる、業者から「支払いが遅い」と聞こえてくる
  • 事務所の移転・縮小、代表者の交代が短期間に起きる

送金遅延が2か月続いたら、理由にかかわらず動いたほうがよいと考えています。逆に、これらが出ていても何年も続く会社もあります。兆候は「確定」ではなく「確認を始める合図」です。報告が来ない状態が常態化しているなら、管理会社を変えると入居者に迷惑がかかるのかもあわせてご覧ください。

倒産の連絡が来てから最初の1週間にすることを6段階で示した図解。事実確認、入居者への通知、入金口座の切替、鍵と契約書の回収、保証会社や保険代理店への連絡、債権届出の相談

倒産の連絡が来たら、最初の1週間ですること

  1. 事実確認。破産か、事業停止か、事業譲渡かで対応が変わる。書面を入手する
  2. 入居者への通知。家賃の振込先が変わることを、書面で全戸に伝える
  3. 入金口座を自分名義に切り替える。手順は家賃はどこに入るのか|入金口座の変更手続きにまとめています
  4. 鍵・契約書・保証会社の情報を回収する。散逸しやすいものは引き継ぎで失われやすい情報を参照
  5. 家賃保証会社・火災保険の代理店に直接連絡する。契約が管理会社経由だと、放置すると失効することがある
  6. 債権の届出は専門家に相談する。期限が決まっているため、自己判断で先延ばしにしない

平時からできる備えは3つだけ

倒産してからできることは、実はほとんどありません。効くのは事前の3点です。

  • 敷金を管理会社に預けたままにしない。大家さん名義の口座で持つ。契約時に取り決められます
  • 入居者名簿・契約書・鍵の控えを自分でも持つ。年1回コピーをもらうだけで、最悪の状況が大きく変わります
  • 契約書の解約予告期間を把握しておく。危ないと感じてから動ける速さが決まります(管理委託契約の解約予告は何か月前?

いずれも管理会社にとっては歓迎しづらい話です。それでも、断る合理的な理由を説明できない会社であれば、その時点でひとつの判断材料になります。

まとめ

管理会社の倒産で建物や入居者を失うことはありません。失うのはお金と情報です。そして、そのどちらも平時にしか守れません。敷金の置き場所、書類の控え、解約予告期間。この3つを確認するだけで、万一のときの損失は大きく変わります。

今の管理体制で何を押さえておくべきか整理したい方は、管理の相談ページ管理業務の内容もあわせてご覧ください。

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