青色申告をやめるとき、取り消されるとき|どちらも1年間は再申請が却下されうる
結論からお伝えすると、青色申告をやめたいときは、自分で「取りやめ届出書」を出します。所得税法151条1項は、その年分の確定申告期限(原則、翌年3月15日)までに出すよう定めています。一方、やめるつもりがなくても、帳簿の備え付けが基準に沿っていないなど一定の事実があると、税務署長は承認を取り消すことができます(150条)。どちらの道を通っても、その後1年間は青色申告の再申請が却下されうる点が、見落とされがちです(2026年10月3日時点)。
青色申告の承認申請の記事は多くても、やめる側・取り消される側の条文は、読まれる機会が少ないものです。条文を順に開いて、何が起きるのかを確認します。
やめるときは、取りやめ届出書を期限までに出します
151条1項は、青色申告の承認を受けている居住者が、その年分以後の所得税について青色申告書の提出をやめようとするときは、その年分の確定申告期限までに、やめようとする年などを書いた届出書を税務署長に出さなければならないと定めています。届出書が提出されれば、その年分以後の各年分について、承認は効力を失います。
期限が「確定申告期限」である点に注意してください。たとえば2026年分をやめるなら、2027年3月15日までです。期限を過ぎて出しても、その年分は青色で出すことになります。
なお、151条2項には、承認の対象の業務の全部を譲渡したり廃止したりした場合の規定があります。この場合は届出を待たず、譲渡または廃止した年の翌年分以後、承認は効力を失います。賃貸物件をすべて売却して不動産所得がなくなる年は、この条文の出番です。
取り消されるのは、どんなときですか?
150条1項は、承認を受けた居住者に次の事実があるとき、税務署長はその事実のある年までさかのぼって承認を取り消すことができるとしています。
- その年の帳簿書類の備付け、記録または保存が、財務省令で定めるところに従って行われていない
- その年の帳簿書類について、148条2項に基づく税務署長の指示に従わなかった
- 帳簿書類に取引の全部または一部を隠ぺい・仮装して記載し、その他記載事項の全体の真実性を疑うに足りる相当の理由がある
「できる」と書いてあるとおり、これらに当たれば自動的に取り消されるわけではありません。ただ、取り消されると、その年分以後の各年分について出していた青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなされます。さかのぼる範囲は、事実のある年からです。
取消しは書面で通知され、その書面には、取消しの原因となった事実が3つの号のどれに当たるかを書かなければなりません(150条2項)。

やめたあと、すぐに青色へ戻れますか?
戻れるとは限りません。145条は、税務署長が青色申告の承認申請を却下できる場合を定めていて、3号は、150条2項の通知を受け、または151条1項の届出書を出した日以後1年以内に申請書を出したことを挙げています。取り消された場合も、自分でやめた場合も、同じ扱いです。
| 経緯 | 起点になる日 | その後の申請 |
|---|---|---|
| 自分でやめた | 取りやめ届出書を出した日 | 1年以内の申請は却下されうる(145条3号) |
| 取り消された | 取消しの通知を受けた日 | 1年以内の申請は却下されうる(145条3号) |
つまり、取りやめ届出書は「一度出して、気が変わったらすぐ戻る」ための書類ではありません。
やめると、何を失うのですか?
国税庁のタックスアンサー(No.2070)が挙げる青色申告の主な特典は、青色申告特別控除(最高55万円、電子帳簿保存または電子申告で最高65万円)、青色事業専従者給与、純損失の繰越しと繰戻しなどです。白色に戻れば、これらは使えなくなります。

都合の悪いことも書いておきます
- この記事は、やめることや取り消されることを勧めるものではありません。青色の特典は、賃貸経営の税負担を下げる数少ない手段です。
- 帳簿の備付けの基準は、施行規則56条以下に細かく定められています。簡易な記録の方法で足りる場合もあり、どこまでが基準を満たすかは、この記事だけでは判定できません。
- 取消しの実際の運用や、再申請の可否は、個別の事情で変わります。取りやめや再申請を考えるときは、税務署か税理士に確かめてから動いてください。
最初にやることは、手元の帳簿が基準に沿っているかの点検です。日付順の記録、領収書の保存、預金通帳との突き合わせの3点が揃っているかを見てください。帳簿の考え方は大家が使う帳簿は何かに、不動産所得の申告に付ける書類の考え方は不動産所得の申告に、契約書も領収書も添付しませんにまとまっています。
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