国が管理会社168社を検査し118社に是正指導|大家が自分の書類で確認できる5か所

結論からお伝えすると、国が管理会社に立入検査をした結果、いちばん多かった指摘は「大家さんに渡す書面の記載漏れ」でした。つまり、行政の検査を待たなくても、手元にある管理委託契約書と重要事項説明書を開けば、大家さん自身で同じ場所を確認できます。この記事では、2026年6月5日に公表された検査結果をもとに、確認する場所を5つに絞って整理します。

何が公表されたのか

国土交通省は2026年6月5日、令和7年度に実施した賃貸住宅管理業者・サブリース業者への全国立入検査の結果を公表しました(2026年8月10日時点の内容です)。数字は次のとおりです。

  • 立入検査を実施……全国168社(令和6年度は187社)
  • 是正指導を行った……118社(令和6年度は127社)
  • 指導を受けた118社はすべて是正等を確認済み
  • 賃貸住宅管理業の登録業者数……令和7年度末時点で10,197社

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)は令和3年6月に施行され、以後も毎年、全国で検査が続けられています。

「管理会社の7割が違反している」ではない

168社のうち118社ですから、割合にすると約7割です。ただし、ここは正確に読む必要があります。

公表資料に、168社をどう選んだかは書かれていません。全国1万社あまりの登録業者から無作為に抽出した調査として示されたものではないため、この割合をそのまま業界全体の比率として読むことはできません。指摘の中身も悪質な不正より書類の不備が中心で、118社すべてで是正が確認されています。

不安を煽る話ではなく、どこが抜けやすいかが公表されたと受け取るのが正しい読み方です。抜けやすい場所は、大家さんの手元にある紙に現れます。

いちばん多かった指摘は何だったのか

公表資料に載っている条項別の指導件数のうち、上位は次のとおりです。かっこ内は令和6年度の件数です。

  1. 管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反(法第14条)……62件(60件)
  2. 締結前の書面の交付=重要事項説明の義務違反(法第13条)……43件(35件)
  3. 帳簿の備付け等の義務違反(法第18条)……32件(41件)
  4. 書類の閲覧義務違反(法第32条・サブリース業者)……23件(26件)
  5. 従業者証明書の携帯等の義務違反(法第17条)……22件(42件)
  6. 委託者への定期報告義務違反(法第20条)……17件(20件)

上位2つは、どちらも大家さんに渡される書面そのものです。合わせて105件。ここが最も抜けやすいことが、2年続けて数字に出ています。

契約書と重要事項説明書で見る5か所。登録年月日と登録番号、入居者への周知に関する事項、報告に関する事項、説明は契約の前だったか、報酬と期間と更新解除の定め。

大家さんが手元で確認できる5か所

公表資料には記載不備の中身まで書かれています。逆算すると、確認する場所は次の5つです。

  1. 登録年月日と登録番号が書いてあるか……契約書・重要事項説明書のどちらにも記載が求められる項目です。指摘の例として繰り返し挙がっています
  2. 入居者への周知に関する事項が書いてあるか……管理業務の内容と実施方法を、入居者にどう知らせるかの取り決めです。抜けやすい項目として名指しされています
  3. 報告に関する事項が書いてあるか……何を、どの頻度で報告するかの定めです。ここが空白だと、報告が来なくても話の出発点が作れません
  4. 契約前に、書面を渡して説明を受けたか……契約と同時に一式を渡された記憶しかない場合、順番が入れ替わっている可能性があります
  5. 報酬・契約期間・更新と解除の定めが具体的か……法第14条が挙げる記載事項です。詳しくは管理委託契約書はどこを読むべきかで整理しています

登録番号そのものは、国土交通省の賃貸住宅管理業者の検索システムで会社名から確認できます。会社の調べ方は管理会社の調べ方|看板と実態を見分けるもあわせてご覧ください。

「報告することがない月は報告しない」は通るのか?

通りません。ここは今回の資料で明確になった点です。

定期報告義務違反(法第20条)の指摘の中身として、「報告事項(苦情・修繕等)の無いオーナーに対する報告省略」が具体的に挙げられています。つまり、その月に苦情も修繕も発生しなかったオーナーへの報告を飛ばしていたことが、指導の対象になっています。

「何もなかったので連絡しませんでした」は、大家さん側からすると何も起きていないのか、見ていないのかが区別できない状態です。報告が来ないときの動き方は管理会社から月次報告が来ない。これは普通なのかに、届いた報告書の読み方は管理会社の報告書は何を見ればいいかにまとめています。

登録していない会社に頼んでいたら違法なのか?

そうとは限りません。賃貸住宅管理業法第3条は登録を義務づけていますが、同じ条文に「事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるときは、この限りでない」というただし書きがあります。この規模は管理戸数200戸とされており、それ未満の会社は登録が任意という整理です。

登録していない=違法な業者、ではありません。ただし登録業者であれば、書面の交付・定期報告・財産の分別管理といった義務が法律上かかり、行政の監督下に入ります。ここは判断材料の差として押さえておく点です。個別の契約については、契約書を持参して専門家に確認することをおすすめします。

確認して、ズレていたらどうするか

いきなり解約に向かう必要はありません。記載漏れは、多くの場合は書式の問題です。

そう読まれがちなことと、国土交通省の資料が示していることの比較。対象を選んだ検査であること、最多の指摘は書面の記載漏れであること、登録は二百戸未満だと任意とされること、報告の省略が指導の対象になったこと。

まとめ

今回の公表でわかったのは、抜けやすいのは現場の対応ではなく、書面の記載だったということです。そして書面は、大家さんの手元にあります。

棚から管理委託契約書と重要事項説明書を出して、登録番号・入居者への周知・報告に関する事項の3か所だけでも見てみてください。書いてあれば何かあったときの拠り所になり、書いていなければ次の更新で足してもらう理由になります。どちらに転んでも、確認しておいて損はありません。

出典:国土交通省「賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者への全国立入検査結果(令和7年度)について」(令和8年6月5日公表)/賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

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