管理会社の調べ方|看板と実態を見分ける

結論からお伝えすると、管理会社の実態は、面談の前に自分で調べられます。見るのは①宅地建物取引業免許番号の括弧の数字、②賃貸住宅管理業者の登録があるか、③行政処分の記録、④管理戸数と担当者1人あたりの戸数の4つです。会社案内やホームページからは、この4つのうち2つしか読み取れません。

ご存じの方も多いと思いますが、ここに挙げた情報の多くは公的な検索システムで無料で確認できます。所要時間は1社あたり10分ほどです。

先に、よくある失敗から

調べ方を間違えると、看板の立派さと実態を取り違えます。実際に起きていることを並べます。

  • ホームページが新しく、施工実績の写真も多かったので任せた。あとで免許番号を見たら括弧の数字が(1)で、開業3年目だった
  • 「管理実績1,200戸」と大きく書かれていたが、それは系列全社の合計で、契約する支店の管理戸数は40戸だった
  • 駅前に大きな店舗があり安心して任せたが、店舗の主業務は売買仲介で、賃貸管理の担当者は1名だけだった
  • 口コミの評価が高かったので決めた。あとで見直すと、評価しているのは入居者ではなく物件を売ってもらった人だった

いずれも、嘘をつかれたわけではありません。公開されている数字を確認しなかっただけです。順に見ていきます。

免許番号の括弧の数字は、営業年数を表している

会社案内の末尾に「埼玉県知事(3)第○○○○○号」のような記載があります。この括弧の中の数字は、宅地建物取引業の免許を何回更新したかを示すものです。免許の有効期間は現在5年で、更新のたびに数字が1つ増えていきます。

括弧の数字おおよその営業年数読み取れること
(1)5年未満開業から日が浅い。判断材料が少ない
(2)5〜10年一度の更新を通っている
(3)10〜15年景気の波を一度は経験している
(5)以上20年以上長期の継続。ただし内容の良さとは別

注意点が2つあります。1つは、更新期間が過去は3年だった時期があるため、古い会社の年数は単純な掛け算とずれることです。もう1つは、数字が大きいことが管理の質を保証するわけではないことです。長く続いている理由が、売買仲介や自社物件の賃貸である場合もあります。

それでも、(1)の会社に築30年のアパート1棟をまるごと預けるかどうかは、一度考える材料になります。免許の区分や有効期間の詳細は、国土交通省または各都道府県の宅建業担当窓口の案内で確認してください。

賃貸住宅管理業者の登録と、行政処分の記録を見る

賃貸管理には、宅建業免許とは別の登録制度があります。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律にもとづく制度で、2021年6月に全面施行されました。一般的には、管理戸数が200戸以上の事業者に国への登録が義務づけられているとされています。登録した事業者には、営業所ごとの業務管理者の設置、契約前の重要事項説明、そして家賃の分別管理などが求められます。

この分別管理は、大家さんにとって直接効く項目です。預かった家賃を会社の運転資金と混ぜていないかという話ですから、送金遅れや会社の資金繰りの問題に巻き込まれるリスクに関わります。

調べる項目どこで分かること
宅建業免許の番号・更新回数国土交通省の企業情報検索システム/各都道府県の名簿営業年数、商号変更や本店移転の履歴
賃貸住宅管理業者の登録同上(登録業者の一覧が公開されています)登録の有無、登録年、業務管理者の体制
行政処分の記録同上/都道府県の公表ページ指示・業務停止などの処分歴と、その内容
会社の登記情報法務局(登記事項証明書)設立年、役員の変更、本店の移転回数
実際の管理戸数面談で口頭確認契約する営業所単位の規模

処分歴が1件あるだけで候補から外す必要はありません。書類の記載不備と、預かり家賃の不適切な扱いでは、重さがまったく違います。

ホームページと店舗の立派さは、何を語っていないのか?

一般的には、サイトが充実していて実績写真が多い会社は信頼できるとされます。ただ、ホームページの出来と管理の質は、ほとんど関係がありません。むしろ古いサイトのまま数千戸を回している会社もあり、きれいなサイトほど広告に力を入れているだけ、という場合もあります。

サイトから読み取れるのは「その会社が何を売りたいか」です。読み取れないのは、担当者1人が何戸を持っているか、退去から募集開始まで平均何日かかっているか、修繕の相見積もりを取る仕組みがあるかという、実務の中身です。

ですから、公的な情報で足元を確認したら、残りは数字で聞きます。「営業所の管理戸数は何戸ですか」「担当者1人あたり何戸ですか」「退去から募集開始まで平均何日ですか」。この3つに即答できない相手には、記録を取る仕組みがない可能性があります。日々の報告の中身を先に確認したい場合は、管理会社の報告書は何を見ればいいかで見る場所を整理しています。

最後は、会社ではなく担当者と仕組みを調べる

ここまでの調べ物は、会社が土台として問題ないかを確認する作業です。ふるいには使えますが、対応の速さや修繕の段取りは、公的な情報からは出てきません。それを決めているのは、目の前に座る担当者と、その人が置かれている仕組みです。

面談の場で、こう聞いてみてください。「あなたは何戸を担当されていますか」。次に「5万円の修繕は、ご自身の判断で発注できますか」。そしてもう1つ、「経営者の方は、自分でも賃貸経営をされていますか」。

3つ目が効く理由は、社内の判断基準がどちら側の目線で作られているかが分かるからです。経営者が自分でも賃貸経営をしていれば、「空室が1か月延びると、いくら失うのか」を金額で知っている人が優先順位を決めています。担当者が特別なのではなく、渡されている基準が違うのです。この3つは公的な検索では出てきません。だからこそ、面談で口に出して聞く価値があります。

まとめ

免許番号の括弧を見る。賃貸住宅管理業の登録と処分歴を検索する。営業所単位の戸数を口頭で聞く。そして担当者に3つ質問する。ここまでで1社あたり30分もかかりません。すでに委託中の会社を見直す段階なら、管理会社を変えたいと思ったときに最初に確認する3つのことから先に読んでいただくと順番を間違えません。

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