大家が間取り図を書き直すと反響は変わるか|「2DK」と書けるかは寝室の数です
結論からお伝えすると、間取り図を書き直して反響が動くのは「書き直してよい部分」と「書き直せない部分」を分けたときだけです。畳数とDK・LDKの表記は、大家や仲介会社が好きに決められる数字ではありません。ルールで下限が決まっています。
そして、そのルールでいちばん知られていないのがここです。同じ広さの台所でも、寝室が1部屋か2部屋かで「DK」と書けるかどうかが変わります。面積ではなく、部屋の数が効いています。

「2DK」と書けるかは、寝室の数で決まります
不動産の表示に関する公正競争規約18条1項は、DKとLDKを次のように定義しています。
- ダイニング・キッチン(DK):台所と食堂の機能が1室に併存している部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するもの
- リビング・ダイニング・キッチン(LDK):居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、必要な広さ、形状及び機能を有するもの
「居室(寝室)数に応じ」という言葉が両方に入っています。その必要な広さの目安を数字にしたのが、不動産公正取引協議会連合会が平成23年11月11日に定めた指導基準です。
- 居室(寝室)が1部屋のとき:DKは4.5畳、LDKは8畳
- 居室(寝室)が2部屋以上のとき:DKは6畳以上、LDKは10畳以上
これは下限の目安です。つまり5畳の台所は、寝室が1部屋なら「1DK」と書けますが、寝室が2部屋あると「2DK」とは書けません。間取り図の上で部屋を1つ増やした瞬間に、台所の表記が落ちることがあります(出典:不動産公正取引協議会連合会「DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準」)。
畳数は、部屋の面積を6や8で割った数字です
もう1つの下限が畳数です。表示規約施行規則9条16号は、住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること、と定めています。
この計算のしかたと、押入れを面積に入れられない理由は収納が少ない部屋はどう募集するか|オーナーが押入れを潰す前に確かめる3つで詳しく扱っているので、そちらに譲ります。ここでは畳数とDK・LDK表記が別々のルールで、両方を同時に満たす必要があることだけ押さえてください。
居室として書けない部屋があります
表示規約施行規則9条17号は、こう定めています。「採光及び換気のための窓その他の開口部の面積の当該室の床面積に対する割合が建築基準法第28条の規定に適合していないため、同法において居室と認められない納戸その他の部分については、その旨を『納戸』等と表示すること。」
窓が小さい部屋、窓のない部屋は、間取り図の上でも「洋室」ではなく「納戸」「サービスルーム」「S」になります。間取り図を書き直しても、ここは動きません。動かすには窓を大きくするか、窓の前の空きを増やすことになります。採光の計算に方位が出てこない理由は北向きの部屋のデメリットは何か|大家が見る採光の計算式に方位は出てきませんに書きました。
では、書き直してよいのはどこですか?
規約が禁じているのは、実際より優良・広いと誤認させることです。表示規約23条は不当表示として「物件の面積について、実際のものよりも広いと誤認されるおそれのある表示」「建物の間取りについて、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」「建築基準法上の居室に該当しない部屋について、居室であると誤認されるおそれのある表示」を挙げています。
そして、ここからが間取り図の余地です。賃貸の募集広告で「必ず書け」とされている項目に、間取り図も方位も入っていません。表示規約8条の必要な表示事項を並べた別表9(中古賃貸マンション・貸家・中古賃貸アパートなど)が挙げているのは22項目で、広告主の免許証番号、取引態様、所在地、交通の利便、構造と階数、建物面積、建築年月、入居可能時期、賃料、礼金、敷金、損害保険料、家賃保証会社、管理費、定期建物賃貸借であるときはその旨、契約期間、取引条件の有効期限といった並びです。建物の配置図及び方位は、分譲側の別表にはありますが、賃貸の別表には入っていません。
つまり間取り図は、義務ではないぶん、丸ごと大家の裁量で作り込める場所です。実物に忠実なまま見やすくする作業は、そのまま残っています。書き直せるのは次のあたりです。
- 方位の向き。上が北になっていない図は、読む側が毎回頭の中で回しています。義務ではないので、入れていない図がそのまま何年も出ています
- 縮尺と文字の大きさ。スマホで見たときに畳数が読めない図が、そのまま何年も出ていることがあります
- 各室に畳数を書き添えること。指導基準は「積極的に間取り図などを表示し、これに各部屋の畳数を付記することが望ましい」としています
- 収納・可動棚・パイプの位置。押入れとクローゼットは、扉の形まで描くと奥行きが伝わります
- 窓と扉の開き方向。家具が置けるかどうかは、開き勝手で決まります
- 洗濯機置き場・冷蔵庫置き場の記号。抜けている図が多く、内見前の問い合わせがここに集中します
マイソク全体で直す場所は募集図面(マイソク)で反響が変わる|書き換えるべき5か所に、ポータルサイト上での見え方は内見の申し込みが入らないのはなぜか|ポータルサイトで最初に落ちている3か所に分けてあります。

都合の悪いことも書いておきます
- 間取り図を書き直しても、反響が増えるとは限りません。図面は最初のクリックのあとに見られるもので、検索結果の一覧では家賃・面積・駅距離・写真の1枚目で先に選別されています
- 作り直しには費用がかかります。手描きの図面をCADに起こす場合、1部屋あたり数千円から。全戸分となると、それなりの金額になります
- 直せば「広く見える」わけではありません。広く見せる方向の修正は、23条の不当表示に近づく方向です。狙うのは正確さと読みやすさで、印象の操作ではありません
- 指導基準は、建物を建てるときの基準ではありません。連合会自身が「不動産事業者が建築する建物のDK又はLDKの広さ、形状及び機能に関する基準を定めたものではない」と注記しています。あくまで広告表示の話です
今日やることを1つだけ選ぶなら
手元の募集図面を1枚出して、寝室として数えている部屋の数と、台所の畳数を並べてください。寝室が2部屋あるのに台所が6畳に届いていないなら、「2DK」という表記は指導基準の下限を下回っています。表記を「2K」に直すか、寝室のうち1部屋を居室として数えない形にするか、どちらかを選ぶことになります。
自分の物件の表記が適正かどうかの個別の判定は、地域の不動産公正取引協議会が窓口です。関東の物件なら公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が相談を受け付けています。
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