入居者のクレームを種類で分ける大家の数え方|国の調査で入居中の困りごと2位は「家主・管理会社の対応」

結論からお伝えすると、入居者からのクレームは「契約時」「入居中」「退去時」の3つに分けて数えると、どこに手を打つべきかが見えます。国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」は、民間賃貸住宅に入居した世帯に賃貸住宅で困った経験を聞いています。困った経験があった世帯は25.1%で、その中身は契約時は「敷金・礼金などの金銭負担」48.0%、入居中は「近隣住民の迷惑行為」35.8%と「家主・管理会社の対応」30.4%、退去時は「修繕費用の不明朗な請求」16.9%でした(普通借家の回答・複数回答。2026年10月8日に確認)。

管理会社の月次報告に「入居者対応:3件」とだけ書いてある。何の3件なのかは、聞かないと出てこない。騒音が3件なのか、設備の故障が3件なのか、退去の精算の不満が3件なのかで、大家さんがやることはまったく違います。件数だけでは判断できないので、種類で分けます。

国の調査で入居者が賃貸住宅で困ったことの上位。契約時・入居中・退去時の項目と割合。

国の調査は、入居者の「困った」をどう分けているか

場面 項目 令和7年度 令和6年度
契約時 敷金・礼金などの金銭負担 48.0% 56.1%
連帯保証人の確保 26.4% 23.6%
印鑑証明などの必要書類の手配 18.2% 14.6%
入居中 近隣住民の迷惑行為 35.8% 39.0%
家主・管理会社の対応 30.4% 24.4%
契約内容の変更 5.4% 4.1%
退去時 修繕費用の不明朗な請求 16.9% 22.0%
家賃、敷金の清算 12.2% 13.8%
中途解約時の追加金銭の請求 8.1% 10.6%

表の割合は、困った経験があった世帯の中で、普通借家について答えたものです(複数回答)。困った経験そのものは、いま住んでいる住宅に限らず聞いています。報告書の調査票の区分は「入居時」ですが、中身は住んでいる間のことなので、この記事では「入居中」と書いています。

読み方で大事なのは、入居中の2位が「家主・管理会社の対応」だという点です。入居者どうしのもめごとと並ぶくらい、大家さん側の対応そのものが困りごとに数えられています。令和6年度の24.4%から30.4%に上がっています。

自分の物件のクレームを分ける手順

  1. 3つの場面に分ける:契約時(申込から入居まで)、入居中、退去時。国の調査と同じ箱にすると、比べられます。
  2. 入居中は、さらに3つに分ける:①設備の故障や不具合 ②他の入居者や近隣の迷惑 ③大家さん・管理会社の対応への不満(返事が遅い、話が伝わっていない)。
  3. 1件ごとに、受けた日と片づいた日を書く:何日かかったかが、③の不満を減らす手がかりになります。
  4. 同じ部屋・同じ相手を印で残す:件数が多くても、同じ1部屋から繰り返し来ているなら、手の打ち方が変わります。
  5. 3か月ごとに数え直す:月ごとでは件数が少なすぎて傾向が見えません。
入居者からのクレームを国の調査と同じ箱に分ける5つの手順。

種類ごとに、大家さんがやることは違うのか?

都合の悪いことも書いておきます

  • この調査は三大都市圏で民間賃貸住宅に住み替えた世帯への調査で、母集団への復元はしていないと報告書に書かれています。全国の入居者の割合として読むことはできません。
  • 入居者が「困った」と答えたことと、大家さんや管理会社にクレームとして届いたことは同じではありません。言わずに我慢して、更新しないで出ていく人もいます。
  • 管理会社に任せている場合、どの苦情を大家さんに報告するかは管理委託契約の決め方しだいです。件数を種類で出してもらえるかは、管理会社に確かめる必要があります。

今日やることを1つだけ選ぶなら

管理会社に「過去1年の入居者からの連絡を、設備・近隣・対応の3つに分けて件数をください」と頼んでください。「対応」の箱に何件入っているかが、国の調査で入居中の2位に上がっている項目に、自分の物件がどれだけ当たっているかの目安になります。

出典

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