ツーバルブの蛇口をシングルレバーに交換すべきか|大家が空室のうちに決める4つの見どころ

結論からお伝えすると、お湯と水のハンドルが2つ並んだ蛇口(ツーバルブ)は、それ単体で入居を逃す設備ではありません。ただし内見に来た人の頭のなかで「この部屋は古い」という判定が押される場所ではあります。交換するかどうかは、見た目の印象と、不具合が出ているかを分けて考えると決めやすくなります。この記事では、空室の水回りに立ったときの判断の順番と、実際にいくらかかるのかを整理します。

内見の3秒で、どこを見られているか

空室の案内で、キッチンに立った人が蛇口のハンドルに一度手を伸ばし、何も言わずに浴室へ移る——という場面があります。何も言われないので、大家さん側には情報が残りません。

ハンドルが2つ並ぶ蛇口は、温度を自分で混ぜて作る形です。使えないわけではありません。ただ、いま自宅がレバー1本なら「実家で見たことがある」という感覚が先に立ちます。性能ではなく、築年数の見積もりに使われているのが実際のところです。

蛇口の交換を決める4つの見どころ。いま不具合が出ているか、壁付きか台付きか、募集写真に写る場所か、同じ日にまとめられるか。

ツーバルブとシングルレバーは、何が違うのか

ツーバルブ混合水栓

  • ハンドルが左右に分かれ、それぞれを回して温度を作る
  • 部品が単純で、パッキンの交換など部分的な修理がしやすい
  • 止めるたびに温度を作り直すので、洗い物のたびに手間がかかる
  • 根元のにじみ、固くて回らないといった不具合が出やすい

シングルレバー混合水栓

  • レバー1本で量と温度を同時に操作する
  • 片手で使えるため、調理中・洗面時の使い勝手が変わる
  • 内部のカートリッジが消耗品で、傷むと部品交換になる
  • 写真での印象が変わりやすい

ここは正直にお伝えします。替えれば故障しなくなるのではなく、壊れ方が変わるだけです。ツーバルブはパッキン、シングルレバーはカートリッジ。どちらも消耗品を抱えています。

交換を判断するときに見る4つのこと

  1. いま不具合が出ているか……根元のにじみ、固くて回らない、止まりきらない。これがあるなら印象の話を抜きに手当てが要ります
  2. 取り付けの形……壁から2本の管が出る「壁付き」か、天板から立ち上がる「台付き」か。形で選べる商品も工事も金額も変わります
  3. 他の設備との釣り合い……扉が傷んだキッチンで蛇口だけ新しいと、かえって周りの古さが目立ちます
  4. 募集写真に写る場所か……写真に大きく写る蛇口と、洗濯機の裏の水栓では効き方が違います

写真に写る範囲から考える順番は募集写真は「実物より明るく」でいいもあわせてご覧ください。

いくらかかるのか|取り付けの形で段が変わる

「水栓交換の相場」をひとつの数字で言うことはできません。取り付けの形とハンドルの形で、価格の段そのものが変わるからです。工事費込みの総額として公表されている価格を並べると、おおよその輪郭が見えます。

キッチンの水栓(工事費込み・税込)

  • シャワーなし……32,490〜80,169円
  • シャワーあり……37,504〜204,220円
  • 浄水器付き……36,558〜137,963円
  • タッチレス……72,506〜196,322円

(出典:交換できるくん「蛇口交換の費用相場|工事費込み総額でいくらかかる?」)

取り付けの形で見ると、壁付きがいちばん安く収まります。工事費込み9,800円からという例があり、天板から立ち上がる台付きのツーホールは1万円台〜3万円台、タッチレスは5万円台〜8万円台。実際に選ばれている価格帯は、3万〜4万円台が約45%、2万〜3万円台が約35%で、4万円以下が約8割です(出典:生活堂「キッチン水栓(台所蛇口)交換の費用相場・価格帯はいくら?」)。

浴室の水栓も同じで、サーモスタットなし・シャワーありが28,469〜59,160円、サーモスタットあり・シャワーありが39,112〜141,080円と段が変わります(出典:前掲・交換できるくん)。

読み取れることは2つです。壁付きのほうが安く収まること、そして機能を足すほど上に伸びること。「シングルレバーに替える」という判断には、本体を新しくする費用と、操作の形を変える費用が混ざっています

加えて、穴の数や位置が合わないときは別途工事が乗ります(取付穴の拡大加工5,500円から、穴径変換アダプター3,663円から。いずれも税込・前掲)。ツーホールからワンホールへ形を変えるときは、ここが効きます。

ただし、これは水栓1本を単体で頼んだときの価格です。賃貸の現場では、次の3つで実際の見積りが動きます。

  1. 止水の手間……部屋ごとに水を止められない建物では、作業のたびに全体を止める段取りが要ります
  2. 既存の管と取り付け脚の状態……壁付きは壁の中とつながっており、傷んでいると周辺の部材まで交換になります
  3. 同じ日にまとめられるか……原状回復の工事と同じ日に入れれば、出張が1回で済みます

3つ目がいちばん大きい点です。蛇口1本のためだけに職人を1回呼ぶのと、クロスや床の工事と同じ日にまとめるのとでは、同じ作業でも総額が変わります。空室が出たタイミングを逃すと、次の機会は数年先です。

交換しないという判断もある

不具合がなく写真にも写らないなら、優先順位は下がります。賃料と初期費用の設計にまだ手を入れていないなら、そちらのほうが早く効きます(家賃を下げる前に試すこと)。何にお金を出すかの順番そのものは大家が設備をどこまで足すかで整理しています。

ツーバルブとシングルレバーの比較。ツーバルブはハンドル2つで部分修理しやすくパッキンが消耗する。シングルレバーは片手で使え写真の印象が変わるがカートリッジが消耗する。

よくある質問

入居中に交換を頼まれたら、大家が払うのか?

一般的には、経年で機能しなくなった設備の交換は貸主側の負担と整理されることが多い一方、入居者の使い方に原因がある破損は扱いが変わるとされています。個別の事情で結論は変わるため、迷う場合は管理会社や専門家に確認してください。考え方は原状回復の費用は誰が払うのかにまとめています。

交換すれば内見の反応は良くなるのか?

蛇口だけで決まるとは言えません。内見は来ているのに決まらないなら、原因は別の場所にあることが多いです(内見はあるのに決まらないときに見る場所)。そもそも内見が入っていないなら、設備より先に掲載の見え方を直すほうが早く効きます。

浴室の水栓も同時に替えるべきか?

浴室はサーモスタット付きかどうかで使い勝手の差が出る場所で、上に挙げたとおり費用の段も変わります。同じ日にまとめられるなら検討の価値はありますが、1か所ずつ、写真に写る順に決めるほうが失敗は少なくなります。

まとめ

ツーバルブの蛇口は、壊れているから替えるのではなく、不具合が出ているか/写真に写るか/同じ日にまとめられるかの3点で決めるのが現実的です。空室の期間は、この3つが同時にそろう数少ないタイミングでもあります。

そして金額は「相場」ではなく形で決まります。壁から出ているのか、天板から生えているのか。穴はいくつあるのか。ここを写真に撮ってから見積りを頼むと、話が一度で済みます。

次の退去が出たら、キッチンと洗面所の水栓を触って、根元を覗いてみてください。何かあるなら、原状回復の見積りを取るときに「水栓の交換も同じ日にできるか」を1行足すところから始められます。

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