週に何日か来る管理人にも健康診断は要るのか|労働安全衛生法66条は雇い入れ時と1年以内ごと、パートは週の時間の4分の3が目安です

結論からお伝えすると、管理人や清掃のパートを雇ったら、大家さんは雇い入れるときと、その後は1年以内ごとに1回、医師による健康診断を受けさせる決まりです(労働安全衛生法66条1項、労働安全衛生規則43条・44条)。対象は「常時使用する労働者」で、短い時間だけ働く人が入るかどうかは、条文ではなく厚生労働省の通達で目安が示されています。現行の条文と資料で確かめました(2026年10月6日時点)。

管理人の健康診断の要点。雇い入れるときと1年以内ごとに受け、結果は個人票に5年間残す。

雇い入れるときと、その後の1年以内ごとに受けさせます

66条1項は、事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならないとしています。省令にあたる労働安全衛生規則は、時期を2つに分けています。

  • 雇い入れるとき(43条):常時使用する労働者を雇い入れるとき、既往歴と業務歴の調査、自覚症状の検査、身長・体重・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿、心電図の検査などを行います。
  • その後(44条):常時使用する労働者に、1年以内ごとに1回、定期に、同じ系統の項目で行います。

43条には、医師による健康診断を受けてから3か月を経過しない人を雇い入れるときは、その人が結果を証明する書面を出せば、その項目は省略できるという但し書きがあります。前の職場で受けたばかりの人なら、結果の書面をもらえば足ります。

健康診断の対象になるかの確かめ方。契約の長さが1年以上か、週の所定時間が通常の労働者の4分の3以上かを見る。

週に何日か来る管理人も、「常時使用する労働者」ですか?

「常時使用する労働者」の中身は、条文には書かれていません。厚生労働省の通達(平成31年1月30日基発0130第1号)にもとづく目安として、東京都のガイドブックは、パートタイム・有期雇用労働者に一般健康診断が必要になるのは、次の2つの要件を満たすときと説明しています。

  1. 期間の定めのない契約で雇われている、または、期間の定めがあっても契約が1年以上(特定の業務は6か月以上)、もしくは更新で1年以上雇われることが予定されている
  2. 1週間の所定労働時間が、同じ事業所で同種の業務をする通常の労働者の4分の3以上

所定労働時間が4分の3に満たなくても、おおむね2分の1以上なら、実施することが望ましいとされています。比べる相手になる「通常の労働者」が、大家さんのところにいないときの読み方は、この資料には書かれていません。迷うときは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

結果は個人票に残し、本人にも伝えます

労働安全衛生規則51条は、健康診断の結果をもとに健康診断個人票(様式第5号)を作り、5年間保存することを求めています。66条の6は、受けた労働者に結果を通知することを事業者に求めています。結果の記録は、賃金台帳や労働者名簿と並ぶ、管理人についての書類です(人を雇った大家が備える帳簿は2つです)。

労働者の側にも、事業者が行う健康診断を受ける決まりがあります(66条5項)。事業者の指定した医師による健康診断を希望しないときは、他の医師が行う同じ内容の健康診断を受けて、結果を証明する書面を出せば足ります。

受けさせなかったら、どうなりますか?

120条1号は、66条1項から3項までに違反したとき、違反した者を50万円以下の罰金に処すると定めています。122条は、人の使用人などが業務に関して違反したときも、その人に罰金刑を科すとしています。

都合の悪いことも書いておきます

  • 労働基準監督署への結果の報告(規則52条)は、常時50人以上の労働者を使う事業者の決まりです。管理人を数人雇う大家さんは、この報告の対象ではありません。ただし、受けさせる決まりと個人票の保存は人数に関係なく働きます。
  • 「4分の3」「2分の1」は通達の目安で、条文の数字ではありません。目安は変わることがあります。
  • 労働安全衛生法の「労働者」には、家事使用人が入りません(2条2号)。賃貸経営のために雇う管理人が家事使用人に当たるかは、条文だけでは判断できません。
  • 健康診断の費用の負担を、この記事の出典の条文から読み取ることはできませんでした。

今日やることを1つだけ選ぶなら

雇っている管理人やパートの契約の長さと、週に働く時間を書き出してください。1年以上雇う見込みで、週の時間がフルタイムの4分の3に近いか超えているなら、雇い入れ時の健康診断を受けているか、その結果の書面をもらっているかを確認します。受けていなければ、受けてもらう日を決めます。個別の判断は、所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確かめてください。雇う前の準備はアパートの管理人を雇う大家が書面で示すことにあります。

出典

投稿者プロフィール

Follow me!

この記事の内容について、個別に相談したい方へ

さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。

相談する(お問い合わせフォーム)