人を雇った大家が備える帳簿は2つです|労働者名簿と賃金台帳の保存は、条文は5年でも当分の間は3年
結論からお伝えすると、アパートの管理人や清掃のパートを雇った大家さんは、労働者名簿と賃金台帳の2つを、事業場ごとに備える決まりがあります(労働基準法107条・108条)。保存期間は、条文では5年ですが、付則で当分の間は3年とされています(109条、付則143条)。
1人だけ雇う場合も、この2つは同じです。条文と施行規則を開いて、何を書くのか、いつまで持つのかを整理しました(2026年10月1日時点)。

労働者名簿は、雇った人ごとに1枚作ります
107条1項は、使用者に、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について作り、氏名・生年月日・履歴などを記入するよう求めています。日々雇い入れる人は対象外です。記入事項に変更があったときは、遅滞なく訂正します(同条2項)。
施行規則53条は、条文の項目に加えて、次の6つを書くよう定めています。
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日とその事由(解雇のときは理由も)
- 死亡の年月日とその原因
常時30人未満の労働者を使う事業では、このうち「従事する業務の種類」は書かなくてよいとされています(同条2項)。大家さんが30人以上を使うことは少ないため、この欄は省けるのが通常です。
賃金台帳は、払うたびに書きます
108条は、賃金台帳を事業場ごとに作り、賃金計算の基礎になる事項と賃金の額などを、賃金を払うたびに遅滞なく記入するよう求めています。施行規則54条1項が挙げる項目は次のとおりです。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 氏名・性別 | 名簿と同じ |
| 賃金計算期間 | 毎月1日から末日まで |
| 労働日数・労働時間数 | その月に働いた日数と時間 |
| 時間外・休日・深夜の時間数 | 残業があったとき |
| 賃金の種類ごとの額 | 基本給、手当など |
| 賃金から控除した額 | 24条1項で引いた分 |
様式は、常時使う人には施行規則の様式第20号を使います(55条)。
保存は、条文では5年、当分の間は3年です
109条は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・賃金などの重要な書類を5年間保存するよう定めています。ところが付則143条は、109条について、当分の間「5年間」を「3年間」と読み替えると定めています。
起算日は施行規則56条が決めています。労働者名簿は、労働者が死亡・退職・解雇した日から数えます。賃金台帳は、最後の記入をした日から数えます。つまり、3年のカウントは、雇っている間は始まりません。

備えていないとどうなりますか?
107条から109条に違反した者には、30万円以下の罰金の定めがあります(120条1号)。この記事では罰金の有無までを条文で確かめたもので、実際にどのような運用がされるかは確かめていません。
都合の悪いことも書いておきます
- 付則の「当分の間」は、いつ終わるか決まっていません。今は3年でも、条文の本則は5年です。廃棄の時期を決めるときは、長いほうの5年で持っておくと、読み替えが変わる心配がありません。
- 家事使用人には労働基準法が適用されません(116条2項)。賃貸経営のために雇う人が当たるかは、条文だけでは判断できません(清掃のパートを1人雇う大家の労災保険)。
- 有給休暇を与えたときは、時季・日数・基準日を書いた年次有給休暇管理簿も作る決まりです(施行規則24条の7、アパートの管理人を雇う大家が書面で示すこと)。
- 給与を払ったら、税金の側の手続きも続きます(税理士報酬から源泉徴収をしなくてよい大家がいます)。
個別の判断は、所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確かめてください。
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