朝霞市と和光市は借家の家賃が県内1位と2位|通勤時間が最も長い朝霞・和光・志木を大家が数字で比べる
結論からお伝えすると、埼玉県で借家の家賃がいちばん高いのは、さいたま市でも川口市でもなく朝霞市(1か月75,004円)で、2番目が和光市(73,522円)です。志木市も68,095円で県内5番目に入ります。3市に共通するのは、家計を主に支える人の片道の通勤時間が県内で最も長い側にあることで、志木市55.5分が県内1位、朝霞市54.7分が2位、和光市53.3分が4位でした。借りる人の多くは、毎日都内へ通う人だと読めます。
ただし、3市が同じ動き方をしているわけではありません。5年で人口が増えたのは朝霞市だけ(+4.27%・県内1位)で、和光市と志木市はどちらも0.42%減りました。空き家率が県内でいちばん低い志木市(5.2%)は、家賃の伸びが5年で2.3%と3市でいちばん小さいという数字も出ています。「都内に近いから全部同じ」とは言えない姿が見えてきます。

家賃が県内1位と2位なのは、どこから来た数字か
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」を埼玉県がまとめた資料(2024年12月13日掲載)の表7-3に、市町ごとの専用住宅の借家の1か月あたり家賃が載っています。平成30年の前回調査の数字も並んでいるので、5年の伸びも出せます。
| 市 | 借家の1か月家賃(令和5年) | 平成30年 | 5年の伸び | 伸びの順位(県内) |
|---|---|---|---|---|
| 朝霞市 | 75,004円(1位) | 69,260円 | +8.3% | 11番目 |
| 和光市 | 73,522円(2位) | 69,230円 | +6.2% | 20番目 |
| 志木市 | 68,095円(5位) | 66,580円 | +2.3% | 36番目 |
| 埼玉県 | 62,266円 | 59,358円 | +4.9% | - |
この家賃は、いま住んでいる人が払っている家賃の平均です。公営住宅や社宅も入っているので、募集に出すときの家賃とは違います。それでも、同じ物差しで県内の市町を並べた数字としては、これがいちばん揃っています。
借りる人は、毎日都内へ通う人
同じ資料の表10-3には、家計を主に支える雇用者の通勤時間の中位数が載っています。通勤時間の短い順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の時間です。
- 志木市:55.5分(県内1位)
- 朝霞市:54.7分(2位)
- 和光市:53.3分(4位。3位はふじみ野市53.7分)
- 埼玉県:44.0分
県北の熊谷市(28.9分)の倍近い長さです。片道1時間近くかけて通う人が真ん中にいる町では、部屋を選ぶ理由の先頭に「都内の勤め先まで何分か」が来ます。募集図面で最寄り駅と乗り換えの回数を先に書くのは、この3市ではそのまま理にかなっています。
人口は朝霞だけ増え、和光と志木は減った
埼玉県「令和7年国勢調査 速報結果」(2026年5月20日公表・令和7年10月1日現在)の数字です。
| 市 | 人口 | 人口の増減 | 世帯数 | 世帯の増減 | 1世帯あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 朝霞市 | 147,109人 | +4.27% | 68,111 | +8.69% | 2.16人 |
| 和光市 | 83,636人 | −0.42% | 40,978 | +2.73% | 2.04人 |
| 志木市 | 75,032人 | −0.42% | 33,978 | +3.81% | 2.21人 |
| 埼玉県 | 7,287,169人 | −0.78% | 3,285,878 | +3.89% | 2.22人 |
県内63市町村のうち、5年で人口が増えたのは10市町だけで、増え方がいちばん大きいのが朝霞市でした。世帯の伸び+8.69%も県内1位で、5年で5,448世帯増えています。
和光市は人口が353人減りましたが、世帯は1,089増えました。1世帯あたり2.04人は、蕨市(1.94人)に次いで県内で2番目に小さい数字です。同じ資料の表5-3では和光市の持ち家率が44.0%で県内最低、朝霞市も53.7%で50番目です。住宅の半分前後が借家という町で、しかも一人や二人の世帯が多い。和光市の賃貸は、単身と二人暮らしの部屋が中心の市場だと読めます。
空き家率が県内で最も低い志木市は、なぜ家賃があまり上がっていないのですか?
表2-8の空き家率は、志木市5.2%が県内53市町で最も低く、朝霞市6.9%(46番目)、和光市7.8%(41番目)と、3市とも県平均の9.3%を下回っています。空きが少なければ家賃は上がりやすい、と考えるのが普通です。
ところが志木市の家賃の伸びは5年で+2.3%と、県平均の4.9%の半分ほどでした。統計からは理由を断定できませんが、手がかりになる数字が2つあります。
- 部屋の広さ。表6-2で専用住宅の借家1住宅あたりの広さは、志木市46.01平方メートル、朝霞市44.01平方メートル、和光市40.90平方メートル。家賃を広さで割ると、1平方メートルあたり志木市約1,480円、朝霞市約1,704円、和光市約1,798円です。志木市は「広めで、広さのわりに安い」側にいます
- 借家の数。表6-2の専用住宅のうち借家は、志木市10,020、朝霞市25,410、和光市20,910。志木市は借家そのものが少なく、持ち家率65.7%は県平均の65.1%とほぼ同じです。借家の多い朝霞市・和光市とは、市場の形が違います
空き家率は「空いていること」の数字で、「高く貸せること」の数字ではありません。この点は春日部・越谷・草加を大家が数字で比べるでも、空き家率の高い草加市の家賃がいちばん上がっていた形で出ています。

駅で乗る人は、どうだったか
埼玉県統計年鑑(令和7年版)の表8-1によると、令和6年度の東武東上線の年間の乗車人員は、和光市駅が約2,996万人(前年度比+2.9%)、朝霞台駅が約2,778万人(+2.0%)、志木駅が約1,746万人(+1.9%)、朝霞駅が約1,229万人(+3.6%)でした。JR武蔵野線の北朝霞駅は1日平均68,005人(+3.2%)で、定期券で乗る人が65.9%です。どの駅も前の年度より増えています。
ひとつ注意があります。志木駅の所在地は志木市ではなく新座市です。「志木駅徒歩◯分」の物件が新座市にあることは珍しくありません。市の統計で家賃や人口を見るときは、駅名ではなく物件の住所の市で表を引いてください。
都合の悪いことも書いておきます
- 住宅・土地統計調査は標本調査です。和光市・志木市のように住宅数が3〜4万戸の市では、数字の振れも大きくなります。朝霞市の+8.3%も、次の調査で確かめるまで1回分の結果として扱ってください
- 通勤時間は家計を主に支える雇用者の数字です。学生や自営業の人、家計を主に支えていない家族は入っていません
- 東武の数字は年間の乗車人員で、JRは1日平均です。同じ表の中でも形が違うので、駅どうしの大小は路線の中でだけ比べてください
- 家賃が高い市でも、自分の物件が高く貸せるとは限りません。築年・広さ・駅からの距離で、同じ市の中でも家賃は大きく違います
今日できること
- 募集図面に、最寄り駅から都内の主な駅(池袋・新宿など)までの所要時間と乗り換えの回数が書いてあるか確かめる(大家が見るのは定期の割合と1年の伸びの考え方が使えます)
- 自分の物件の家賃を専有面積で割り、1平方メートルあたりの額を出して、この記事の3市の数字と並べてみる
- 物件の住所の市と、最寄り駅の名前の市が同じかを確かめる。違うなら、統計は住所の市の表で見る
家賃の上がり方を別の統計でも確かめたいときは住宅統計・物価指数・小売物価の3つで見たさいたま市の家賃、同じ形で並べた南部の3市は川口・戸田・蕨の賃貸を大家が数字で比べるにまとめました。募集図面のどこを直すかは募集図面(マイソク)でオーナーが必ず直させる7つの欄が参考になります。
出典
- 埼玉県「令和5年住宅・土地統計調査結果 埼玉県分の概要」表2-8・表5-3・表6-2・表7-3・表10-3(2024年12月13日掲載)
- 埼玉県「令和7年国勢調査速報結果による人口及び世帯数」(2026年5月20日公表)
- 埼玉県「令和07年(2025年)埼玉県統計年鑑 8 運輸・通信」表8-1(2026年2月9日掲載)・令和06年版 表8-1
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