さいたま市への転入は東京から1万3,174人、差し引きは180人|大家が統計書で見る「どこから来るか」

さいたま市の統計書には「2-5 都道府県別転入転出人口」という表があります。Excelを開くと、令和6年(2024年)の1年間について、北海道から沖縄まで、そして「外国」まで、何人が入ってきて何人が出ていったかが1行ずつ並んでいます。いちばん上の行は東京で、転入は1万3,174人。数字だけを見ると「やはり東京から来る人を狙えばいい」と読めます。ところが同じ行の右隣、転出の欄には1万2,994人とあります。

結論からお伝えすると、さいたま市に入ってくる人の数がいちばん多いのは東京からですが、差し引きで市の人口を増やしているのは東京ではありません。2024年の差し引きは東京からがわずか180人で、増えた分の中心は「外国」(3,222人)と、埼玉県内のほかの市町村(1,523人)、それに栃木・群馬・新潟・宮城といった北と東の県でした。この記事では、統計書の表をそのまま読み、募集の出し方に何が言えるのか、言えないのかを整理します。

統計書のこの表は、何を数えているのか

先に表の性格を押さえておきます。読み違えると、ここから先の数字がすべてずれます。

  • 住民票の移動を数えた表です。表の注に「本表の数字は、住民基本台帳登録人口によるものである」とあります。引っ越しても住民票を移さない人は、この表に出てきません
  • 「埼玉」の行には、さいたま市の区から区への引っ越しが入っています。表の注に「埼玉県の転出入内訳には、さいたま市の区間移動を含む」とあり、別の行に「市内区間移動」1万8,673人が載っています。埼玉の転入3万7,500人から、この1万8,673人を引かないと、市の外から来た人数になりません
  • 「外国」は外国籍の人だけではありません。引っ越す前の住所が国外だった人の数です。海外勤務から戻った日本人もここに入ります
  • 載っているのは2024年の1年分だけです。前の年と比べて増えたか減ったかは、この表からは言えません

区間移動を除くと、2024年にさいたま市の外から入ってきたのは6万4,966人、市の外へ出ていったのは5万4,713人で、差し引き1万253人の増加でした。

さいたま市の2024年の転入転出の差し引き。東京からは180人、外国から3,222人、県内のほかの市町村から1,523人、北と東の県から計2,975人、神奈川へは31人の減少

どこから何人来て、何人出ていったのか

市の外との出入りを、多い順に並べます。

前の住所 転入 転出 差し引き
埼玉県内(さいたま市を除く) 18,827人 17,304人 +1,523人
東京都 13,174人 12,994人 +180人
外国 6,721人 3,499人 +3,222人
神奈川県 3,467人 3,498人 −31人
千葉県 3,301人 3,046人 +255人
栃木県 1,630人 1,156人 +474人
群馬県 1,464人 1,020人 +444人
茨城県 1,363人 1,069人 +294人
愛知県 1,296人 944人 +352人
宮城県 1,099人 729人 +370人

市の外から来た人のうち、埼玉県内からが29.0%、東京からが20.3%、外国からが10.3%です。ここまでで6割に届きます。

東京から来る人を狙えば、部屋は埋まるのか?

東京からの転入は1万3,174人で、都道府県の中ではいちばん多い数です。ただし、同じ1年で1万2,994人が東京へ出ていっています。差し引きは180人で、市全体の増加1万253人のうち1.8%にすぎません。神奈川県にいたっては、出ていった人のほうが31人多くなっています。

これは大家にとって2つのことを意味します。

  1. 東京から来る人は多いが、東京へ出ていく人も同じくらい多い。東京とさいたま市の間では、入居と退去がほぼ同じ量で入れ替わっています。東京からの入居者を取り合う一方で、自分の部屋の退去も東京へ流れている、という見方になります
  2. 募集の言葉を「都内に通える」だけで組むと、増えている側の人に届きにくい。差し引きで増えているのは、外国からと、北と東の県からです

東京からの入居者が要らない、という話ではありません。入ってくる人数そのものはいちばん多いので、都内への通勤を前提にした部屋づくりは今後も効きます。言えるのは「東京からの人だけで人口が増えているわけではない」というところまでです。

転入が多い前の住所(埼玉県内・東京都・外国・神奈川県)と、差し引きで増えた順(外国・埼玉県内・栃木県・群馬県)の比較

差し引きで増えているのは、どこから来た人か

差し引きの多い順に見ると、外国(+3,222人)、埼玉県内(+1,523人)の次に、栃木(+474人)、群馬(+444人)、新潟(+384人)、宮城(+370人)、愛知(+352人)、福島(+321人)、茨城(+294人)と続きます。

地域でまとめると、東北6県が+1,215人、茨城・栃木・群馬の3県が+1,212人、新潟・長野の2県が+548人です。この3つを足すと+2,975人で、東京・千葉・神奈川の3都県の合計(+404人)の7倍を超えます。

大宮駅には東北・上越・北陸の各新幹線が止まります。北と東の県から入ってくる人が差し引きで多いことと、この路線のつながりは、向きとしては合っています。ただし、統計書の表に引っ越しの理由は載っていないので、「新幹線があるから来ている」とまでは言えません。

外国から来た人の3,222人は、何を意味するか

外国からの差し引き+3,222人は、市全体の増加1万253人の31%にあたります。前に書いたとおり、ここには海外から戻った日本人も入っているので、全員が外国籍の入居希望者というわけではありません。それでも、市の外との出入りで増えた分の3割が国外から来ているという事実は、募集の条件を決めるときに無視できない大きさです。

外国籍の方の入居で大家が確認すること(在留カードの見方など)は、外国人の入居希望者に在留カードを見せてもらうときに整理しました。埼玉県内のどの市で外国人の住民が増えているかは、埼玉で外国人の住民が増えている市は、川口より県北ですにまとめています。

区ごとに見ると、県外から来る人の割合はどう違うのか

2-5の表には区ごとの行もありますが、都道府県別の数字は「…」で、区ごとの内訳は公表されていません。区の違いを見るには、同じ統計書の「2-7 人口異動状況」を使います。こちらは区ごとに「県外から」の転入数が載っています(「県外から」には外国からの転入も入ります)。

区 転入の総数 うち県外から 県外からの割合 県外との差し引き
浦和区 10,646人 6,558人 62% +1,025人
大宮区 10,479人 6,189人 59% +1,654人
南区 12,481人 7,274人 58% +1,148人
桜区 6,321人 3,652人 58% +725人
中央区 7,078人 3,828人 54% +385人
北区 10,241人 5,390人 53% +1,011人
岩槻区 5,168人 2,691人 52% +531人
見沼区 8,587人 4,328人 50% +864人
緑区 7,554人 3,727人 49% +758人
西区 4,976人 2,394人 48% +523人

転入の総数には、市内のほかの区から来た人も入っています。そのうえで県外から来た人の割合を見ると、浦和区は62%で、入ってくる人の6割以上が埼玉県の外から来ています。西区と緑区は5割を切っていて、県内や市内からの引っ越しの比率が相対的に高い区です。県外との差し引きでは大宮区が+1,654人で、ほかの区より一段多くなっています。

区ごとに入ってくる年齢の違いは、見沼区と北区は隣どうしでも、入ってくる年齢が違いますと、さいたま市の学生需要は桜区と大宮区に集まりますで、住民基本台帳の1歳刻みの数字から見ています。

募集の出し方で、何を変えるか

ここまでの数字から、募集で手を入れられるのは次の3つです。

  1. 遠くから部屋を探す人が、現地に来なくても判断できる材料をそろえる。県外からの転入が半分を超える区では、内見の日程を組めないまま申し込みを考える人が一定数います。室内の写真の枚数、間取りの寸法、最寄り駅から歩いた道の様子までをポータルの掲載に入れておくと、遠方の人が比べる段階で落ちにくくなります。動画の撮り方は「内見」という言葉は、法律に1つもありませんに順番を書いています
  2. 最寄り駅の書き方に、東京方面だけでなく新幹線の駅までの時間を足すか決める。北と東の県から来る人にとっては、地元へ帰るときの大宮駅までの時間も判断材料になりえます。足すかどうかは物件の場所次第です
  3. 外国から来た人を受けるかどうかを、募集の前に決めておく。受けるなら、保証会社の対応範囲と、契約書・入居のしおりを何語で用意するかを先に確かめます。決めないまま申し込みを受けると、審査の途中で止まります

都合の悪いことも書いておきます

  • 1年分しかありません。2024年の1年で東京からの差し引きが180人だったという事実は、毎年そうだという意味ではありません
  • 住民票を移さない人は数に入っていません。学生や単身赴任の人には、住民票を元の住所に残したまま住む人がいます。賃貸の入居者は、この表の数字より多くいる可能性があります
  • 2つの表で総数が少し違います。2-5(資料:市民局区政推進部)の転入は8万3,639人、2-7(資料:都市戦略本部デジタル改革推進部)の転入は8万3,531人で、108人ずれています。資料の出どころが違うためと考えられますが、両方の表の注には、ずれの理由は書かれていません。この記事では、都道府県別は2-5、区別は2-7の数字をそのまま使っています
  • 賃貸に住む人だけの数字ではありません。家を買って引っ越した人も、社宅に入った人も同じように数えられています
  • 引っ越しの理由は載っていません。転勤なのか進学なのか、なぜその県から来たのかは、この表からは分かりません

今日やること

持っている部屋がある区を、上の区別の表で探してください。県外からの割合が5割を超えていたら、ポータルサイトの掲載ページを開き、室内写真が何枚載っているか、最寄り駅からの道の写真があるかを数えてみてください。遠くから探している人は、その数枚だけで候補に残すかどうかを決めています。

出典

  • さいたま市「第25回さいたま市統計書(令和7年版)」2-5 都道府県別転入転出人口、2-7 人口異動状況(2026年4月10日更新)。差し引き・割合・地域ごとの合計は公表数値から計算

投稿者プロフィール

Follow me!

この記事の内容について、個別に相談したい方へ

さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。

相談する(お問い合わせフォーム)