公図と地積測量図は別の図面です|大家さんが法務局で取る土地の図面と不動産登記法14条
結論からお伝えすると、公図と地積測量図は、別の図面です。公図が示すのは、土地の位置・形・地番だけです(不動産登記法14条5項)。辺の長さと面積を測った結果は、地積測量図のほうに書かれています(不動産登記令2条3号、不動産登記規則77条1項)。しかも、「公図」という言葉は法律に出てきません。条文の名前は「地図に準ずる図面」で、その上に、もっと精度の高い「地図」という別の図面があります。
たとえば、相続したアパートの敷地を調べようとして法務局の窓口に行くと、「公図ですか、地積測量図ですか」と聞かれる。どちらも「土地の図面」としか思っていなかったので、何が違うのか答えられない。取り違えたまま隣の方と境界の話をすると、図面に書いていないことを前提に話すことになります。

公図は、何を示す図面ですか?
不動産登記法14条は、登記所に「地図」を備え付けると定めています(1項)。そして、地図が備え付けられるまでの間は、それに代えて「地図に準ずる図面」を備え付けることができるとしています(4項)。一般に「公図」と呼ばれているのは、この地図に準ずる図面です。法務局(岐阜地方法務局の説明資料)も、地図に準ずる図面は一般に「公図」とも呼ばれていると説明しています。
地図に準ずる図面に表示するのは、一筆または二筆以上の土地ごとの位置、形状及び地番です(同条5項)。辺の長さも、面積も、条文は表示事項に挙げていません。
多くの公図は、明治期の地租改正のときに作られた旧土地台帳付属地図が元になっています(総務省「地籍整備の推進に関する政策評価書」、2019年12月)。法務局の説明資料は、当時の測量には長さを縄で測ったり、土地の形を四角形とみなして「縦×横」で面積を求めたりした例があり、公図に表示された土地の境界や面積が実際のものと合っていない場合がある、と説明しています。
「地図」と「地図に準ずる図面」は、どう違いますか?
- 地図(14条1項):各土地の区画を明確にし、地番を表示するものです(同条2項)。作るときは「正確な測量及び調査の成果」に基づくと決められています(不動産登記規則10条1項)。縮尺は、市街地なら250分の1か500分の1です(同条2項1号)。測量の誤差の限度は、市街地で国土調査法施行令の精度区分「甲二」までです(同条4項1号)。電子データの地図には、各筆界点の座標値も記録します(規則13条2項)
- 地図に準ずる図面(14条4項):位置・形状・地番を示すところまでです(同条5項)。縮尺や誤差の限度について、規則10条のような決まりは、規則の中で地図に準ずる図面については見つかりませんでした
この2つの割合を、枚数で見た数字があります。総務省の評価書によると、2018年4月1日現在、全国の登記所に約722万枚の地図・図面があり、地図(登記所備付地図)は約407万枚(56.4%)、残りの約315万枚(43.6%)が公図でした。法務省の令和2年度の事後評価報告書案には、2020年4月1日現在で全国の備え付け状況が約57%で、都市部は遅れているとあり、東京約22%・大阪約15%・名古屋約22%と書かれています。埼玉県や、さいたま市の数字は、私が探した範囲では見つかりませんでした。自分の土地がどちらなのかは、次の「取り方」で請求して確かめるのが確実です。
地積測量図には、何が書かれていますか?
地積測量図は、一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面です(不動産登記令2条3号)。規則77条1項は、次の項目を記録するよう定めています。
- 地番(隣接地の地番を含む)、方位、縮尺
- 地積と、その求積方法
- 筆界点間の距離
- 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
- 境界標(石杭や金属標など)があるときは、その表示
- 測量の年月日
縮尺は250分の1が原則です(同条4項)。つまり、公図にない「辺の長さ」「面積の出し方」「杭の位置」が載る図面です。
ただし、どの土地にもあるわけではありません。地積測量図は、登記を申請するときに添付する情報として提供されるものです。不動産登記令の別表は、土地の表題登記(別表の四)、地積に関する変更・更正の登記(同六)、分筆の登記(同八。分筆後の土地の地積測量図)などで、地積測量図を添付するよう求めています。そうした申請が1度もなかった土地には、地積測量図が提供されていないことがあります。分筆の登記と地積測量図の関係は、敷地の一部だけを売ると、残ったアパートが建蔽率を超えることがあります|築古アパートのオーナーが読む分筆の登記と建築基準法に書かれています。
どちらを見れば何が分かりますか?
- 隣の土地の並び、形、道や水路との位置関係:地図か、地図に準ずる図面(公図)。読み方の実例は、敷地の前に水路があると、道路に接していないことがあります|築古アパートのオーナーが読む公図の青地と建築基準法43条が扱っています
- 辺の長さ、面積の求め方、境界標の位置:地積測量図
- 地番:どちらにも書かれます。住所との違いは、大家さんの物件の住所と、登記簿の地番は別の番号です|住居表示に関する法律と不動産登記法35条で整理しました
図面があっても、現地の杭がなくなったり、隣の方と主張が食い違ったりしたときにどうするかは、別の話です。法務局が境界を調べる手続きは、境界標がなくなっても、隣との話し合いで境界は決められません|築古アパートのオーナーが読む筆界特定の条文に、市が行う地籍調査で立会いの通知が来たときは、地籍調査の立会いの通知が来たら大家は何をするか|返事をしないと20日で確認したことになる場面がありますに書かれています。

法務局で、どうやって取りますか? 費用は?
どちらの図面も、所有者でなくても請求できます。地図と地図に準ずる図面は、不動産登記法120条が「何人も」手数料を納付して、写しの交付や閲覧を請求できると定めています。地積測量図は、登記簿の附属書類として同法121条1項・2項が「何人も」と定め、対象の図面を不動産登記令21条1項が「土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図」と決めています。登記事項証明書(同法119条)とは条文が別なので、請求も別に出します。
- 地図・地図に準ずる図面の写し:一筆の土地につき500円(登記手数料令2条4項)
- 地積測量図の写し:一事件に関する図面につき500円(同条5項)
- オンラインで請求した場合:地図等は一筆につき440円(送付を求めるときは470円)、地積測量図は一事件につき440円(同470円)(同令3条3項・4項)
金額は、e-Govの現行の条文(2026年10月25日に確認)のとおりです。地図等の請求は、不動産の所在地を管轄しない登記所の登記官にもできます(法120条3項が準用する119条5項。法務省令で定める場合を除く)。
図面が実際と違っていたら、直せますか?
直せる場合があります。不動産登記規則16条1項は、地図に表示された土地の区画や地番に誤りがあるとき、また地図に準ずる図面に表示された位置・形状・地番に誤りがあるときは、表題部所有者か所有権の登記名義人(その相続人などを含む)が、訂正の申出をすることができると定めています。登記記録の地積にも錯誤があるときは、地積に関する更正の登記の申請と一緒にしなければなりません(同条2項)。
この記事で、確かめられていないこと
- さいたま市(埼玉県)の土地で、地図が備わっている割合。上の数字は全国と都市部のものです
- 登記事項証明書の表題部で、どちらの図面が備わっているかを見分ける方法。規則15条は、地図に記録された土地の表題部に地図の番号を記録するよう定めていますが、実際の証明書で確かめてはいません
- 古い地積測量図が、いまの規則77条と同じ項目・精度になっているか。規則の内容は現行のものです
今日やることを1つだけ選ぶなら
自分の敷地の地番を1つ決めて、法務局の窓口か、オンラインの請求で、その土地の「地図等」と「地積測量図」の両方を請求してみてください。公図に書かれた隣の地番と形、地積測量図に書かれた辺の長さと杭の位置を、現地の写真と並べて見ると、どこまでが図面で分かっていて、どこから先が分かっていないのかが見えてきます。図面が備わっていない場合は、そのこと自体が分かります。
境界や面積に不安がある場合は、法務局か土地家屋調査士にご確認ください。この記事は2026年10月25日時点の一般的な整理です。
出典
- e-Gov法令検索:不動産登記法(14条・119条〜121条)/不動産登記規則(10条・13条・15条・16条・77条)/不動産登記令(2条・21条・別表)/登記手数料令(2条・3条)
- 総務省「地籍整備の推進に関する政策評価書」(2019年12月):https://www.soumu.go.jp/main_content/000657953.pdf
- 法務省「令和2年度事後評価実施結果報告書案(登記事務の適正円滑な処理)」:https://www.moj.go.jp/content/001354967.pdf
- 岐阜地方法務局「登記所備付地図作成作業のご説明」(2021年2月作成):https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/content/001342280.pdf
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