さいたま市の人口は2050年も2020年より多い。それでも20〜34歳は14%減ります|大家が市の将来推計人口を募集に使う

結論からお伝えすると、さいたま市の将来推計人口は、2050年でも2020年より多い133万9,475人です(2020年=100として101.2)。ただし、部屋を借りる中心の20〜34歳は、同じ30年で23万2,544人から19万9,452人へ14.2%減ります。逆に75歳以上は16万2,692人から26万3,953人へ62.2%増えます。「さいたま市は人口が減らないから安心」は、総数だけを見た読み方です。募集に効くのは総数ではなく、年齢の内訳です。

市の総合振興計画(令和7年度改定版・令和8年3月発行)の人口のページを開くと、2つの線が並んでいます。1本は2055年ごろまで増え続ける線、もう1本は2035年ごろに136.5万人で頭を打つ線です。大家が自分の物件の10年後を考えるとき、どちらの線を使えばいいのか。この記事では、さいたま市統計書(令和7年版・2026年4月10日更新)の表2-11「年齢(5歳階級)、男女別将来推計人口」を原表で読み、募集の判断に置き換えます。

さいたま市の将来推計人口の要点。人口全体は2020年から2050年で1.2%増、20〜34歳は14.2%減、30〜34歳は8.1%減、0〜14歳は13.1%減、75歳以上は62.2%増

市の計画に並ぶ「増え続ける線」は推計ではありません

計画に載っている2本の線は、性格が違います。

  • 社人研準拠の推計…国立社会保障・人口問題研究所の方法で、2020年の国勢調査人口から計算した値です。2020年の132.4万人から2035年ごろの136.5万人をピークに減り、2050年に133.9万人となる見通しです。統計書の表2-11は、この数字と一致します(2035年1,365,486人、2050年1,339,475人)
  • 展望人口(試算①)…合計特殊出生率が2030年に1.45、2035年に1.6、2060年に1.8まで上がると仮定した値です。2055年ごろまで増え続け、2060年時点で推計より約12.3万人多くなります

展望人口は、市が「こうしたい」という目標に近い計算です。出生率が実際に上がらなければ、その線にはなりません。物件の需要を見積もるときは、まず推計の線を使い、展望人口は上振れの幅として扱うのが安全です。

社人研準拠の推計と展望人口の比較。推計は2035年ごろ136.5万人が山で2050年は133.9万人、展望人口は出生率の上昇を前提に2055年ごろまで増え続ける

表2-11で、年齢ごとに30年を並べるとどうなりますか?

表2-11は、2020年10月1日の国勢調査人口を基準に、2050年まで5年ごとの人口を5歳階級・男女別に出しています。大家に関係の深い年齢をまとめると、次のとおりです。

年齢 2020年 2035年 2050年 2020→2050
総数 1,324,025人 1,365,486人 1,339,475人 +1.2%
0〜14歳 168,859人 154,975人 146,802人 −13.1%
20〜34歳 232,544人 226,403人 199,452人 −14.2%
65歳以上 312,674人 368,744人 431,693人 +38.1%
75歳以上 162,692人 204,663人 263,953人 +62.2%

(出典:さいたま市「さいたま市統計書 令和7年版」表2-11。20〜34歳・65歳以上・75歳以上は5歳階級を足し上げた値)

読み取れることは3つあります。

  1. 20〜34歳の減り方は、2035年までは小さい。2020年から2035年は−2.6%、2040年でも−4.4%です。大きく減るのは2040年から2050年の10年間です
  2. 減り方は年齢で違う。20〜24歳と25〜29歳はどちらも約17%減りますが、30〜34歳は−8.1%にとどまります
  3. 75歳以上は30年で約10万人増える。20〜34歳が減る人数(3万3,092人)の3倍です

いま新築や大規模な改修を考えている物件なら、借入の返済が続く期間は2040年代にかかります。単身の若い入居者だけを想定した収支は、後半の10年で前提が崩れることがあります。

区ごとの推計は、この表には載っていません

ここは都合の悪いところです。表2-11は市全体の推計で、区別の内訳はありません。市の総合振興計画の人口のページにも、区別の将来推計は見当たりませんでした(私が探した範囲です)。区ごとに推計を当てはめることは、この資料だけではできません。

そこで、区については「いま起きていること」を統計書の表2-2(区別人口の推移、各年1月1日の住民基本台帳)で確かめ、市全体の推計と突き合わせます。2021年から2025年の4年で比べると、次のように分かれます。

  • 人口が市の伸び(+1.96%)を上回った区…大宮区+5.95%、緑区+4.07%、西区+2.34%、浦和区+2.14%
  • 人口が減った区…岩槻区−0.68%(ただし世帯は+4.52%)
  • 世帯は全区で増加…市全体で+5.93%。人口より世帯の伸びが大きいのは、1世帯あたりの人数が減っているためです

大宮区の単身世帯の伸びは大宮区の単身需要は人口ではなく世帯で見るに、岩槻区の30代の動きは岩槻区は人口が減っても、30代の世帯は入っていますに整理しました。どこから人が来ているかはさいたま市への転入は東京から1万3,174人、差し引きは180人を見てください。

推計を募集に使うときの手順

  1. 自分の物件が想定している入居者の年齢を1つ決める。単身なら20〜34歳、ファミリーなら30〜44歳と0〜14歳
  2. 表2-11で、その年齢が2035年と2050年にどれだけ変わるかを見る。総数ではなく、該当する5歳階級だけを足す
  3. 表2-2で、物件のある区が市の平均より伸びているか、遅れているかを見る。遅れている区は、市の推計より早く減ると考えておく
  4. 次の改修のときに、もう1つの入居者像を足しておく。たとえば段差・手すり・見守りの扱いなど、高齢の単身者を受け入れられる条件を1つ用意する

高齢の入居者と契約の形は高齢の入居者と終身建物賃貸借に、単身向けの設備の足し方は単身向けの部屋に大家が設備を足す順番に書いています。入居者がどれくらい住み続けるかの目安は入居者の平均居住年数はどう計算するかが参考になります。

都合の悪いことも書いておきます

  • 推計は「このままの傾向が続けば」という計算です。転入の流れが変われば外れます。さいたま市は20〜39歳の転入超過が多い市で、ここが細れば若い層は推計より早く減ります
  • 2025年の答え合わせは、まだ同じ物差しでできません。推計の2025年は135万3,876人、住民基本台帳の2025年10月1日は135万5,010人でほぼ同じ水準ですが、国勢調査と住民基本台帳は数え方が違うため、差を「当たり外れ」とは読めません
  • 人口は世帯ではありません。一人暮らしが増えれば、人口が減っても借りる世帯は増えることがあります。逆に75歳以上の増加は、そのまま賃貸の需要になるとは限りません
  • 区の中でも駅からの距離で需要は大きく違います。市や区の平均は、自分の物件の答えではありません

今日やることを1つだけ選ぶなら

さいたま市統計書の第2章のExcelを開き、表2-11で自分の物件の入居者の年齢を2050年まで足してみてください。総数が増えていても、その年齢が減っているなら、次の改修では入居者像を1つ足す準備を始める時期です。

出典

  • さいたま市「さいたま市統計書 令和7(2025)年版」第2章 人口(表2-1、表2-2、表2-11)2026年4月10日更新
  • さいたま市「さいたま市総合振興計画 基本計画 令和7年度改定版」第1部 第2章 人口と財政の状況(令和8年3月発行)

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