さいたま市の民営借家は1戸43.26平方メートル、区で最大16平方メートル違う|大家が統計書12-5で比べる部屋の広さ

募集図面の専有面積の欄に「22.68」と打ち込んだところで、手が止まることがあります。この部屋は、さいたま市の中で広いほうなのか、狭いほうなのか。ポータルサイトの絞り込みを何度動かしても、出てくるのは募集中の部屋だけで、「実際に人が住んでいる部屋の広さ」は見えてきません。

その数字は、さいたま市統計書の「12-5」に区ごとに載っています。

結論からお伝えすると、さいたま市の民営借家(民間の賃貸住宅)は、1戸あたりの延べ面積が平均43.26平方メートルです(令和5年住宅・土地統計調査)。区ごとに見ると、いちばん広い緑区が52.50平方メートル、いちばん狭い桜区が36.29平方メートルで、差は16.21平方メートルあります。浦和区は38.97平方メートルで、下から2番目です。ただし、この数字は人が住んでいる部屋だけを数えたもので、募集中の空室は入っていません。そして延べ面積には玄関・台所・浴室も入るので、図面の「洋室6.0帖」と直接は比べられません。比べ方の順番を、この記事で整理します。

さいたま市の民営借家の区ごとの広さの要点。いちばん広いのは緑区で1戸52.50平方メートル、いちばん狭いのは桜区で36.29平方メートル、浦和区は38.97平方メートルで下から2番目、市の平均は43.26平方メートル、空き家は数に入らない

さいたま市の民営借家は、平均で何平方メートルか

統計書の12-5は、総務省の住宅・土地統計調査(令和5年10月1日現在)を、住宅の所有の関係ごとに並べた表です。市全体の「住宅総数」の行を抜き出すと、次のとおりです。

区分 住宅数 1住宅当たり延べ面積 1住宅当たり居住室数 1住宅当たり居住室の畳数
持ち家 359,000戸 102.80平方メートル 4.83室 38.51畳
借家(総数) 207,700戸 44.20平方メートル 2.41室 17.76畳
うち公営の借家 9,000戸 46.68平方メートル 3.07室 17.83畳
うち都市再生機構(UR)・公社の借家 7,200戸 57.57平方メートル 3.28室 22.78畳
うち民営借家 177,800戸 43.26平方メートル 2.34室 17.41畳
うち給与住宅(社宅など) 13,700戸 47.66平方メートル 2.43室 19.70畳

(出典:さいたま市「さいたま市統計書(令和7年版)」12-5。資料は総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」)

民営借家は借家の85.6%を占めます。公的な借家(公営・UR・公社)がどの区にどれだけあるかはさいたま市の公営住宅は県営が市営の3.9倍、URは桜区・南区・北区に集中|大家が統計書で数える「比べられる相手」で扱ったので、ここでは民営借家だけを見ていきます。

区ごとに並べると、いちばん広い区と狭い区で16平方メートル違う

同じ12-5の、各区の「民営借家」の行です。最後の列「1世帯の人数」は、表の世帯人員を世帯数で割って計算しました。

区 民営借家の数 1住宅当たり延べ面積 居住室数 居住室の畳数 1世帯の人数(計算)
緑区 13,240戸 52.50平方メートル 2.66室 20.36畳 1.99人
岩槻区 9,250戸 46.58平方メートル 2.57室 18.17畳 1.76人
西区 9,580戸 45.70平方メートル 2.28室 16.78畳 1.73人
見沼区 19,130戸 45.56平方メートル 2.47室 18.25畳 1.69人
大宮区 18,970戸 45.07平方メートル 2.32室 17.68畳 1.67人
北区 21,140戸 43.80平方メートル 2.44室 18.30畳 1.70人
南区 28,600戸 43.03平方メートル 2.41室 17.90畳 1.77人
中央区 16,380戸 41.09平方メートル 2.20室 16.48畳 1.55人
浦和区 24,420戸 38.97平方メートル 2.10室 16.14畳 1.61人
桜区 17,090戸 36.29平方メートル 2.10室 14.60畳 1.48人
市全体 177,800戸 43.26平方メートル 2.34室 17.41畳 1.69人

(出典:さいたま市「さいたま市統計書(令和7年版)」12-5「住宅総数」のうち民営借家。1世帯の人数は世帯人員÷世帯数で計算)

読み取れることは3つあります。

  • 民営借家がいちばん多いのは南区で、2万8,600戸。市全体の16.1%が南区にあります。2番目は浦和区の2万4,420戸です
  • いちばん広いのは緑区(52.50平方メートル)で、1世帯の人数も1.99人と最も多い。1世帯の人数が2人に近いのは、10区で緑区だけです
  • いちばん狭いのは桜区(36.29平方メートル)で、1世帯の人数も1.48人と最も少ない。浦和区(38.97平方メートル)と中央区(41.09平方メートル)が続きます

桜区には埼玉大学があり、18〜22歳の転入がはっきり多い区です(さいたま市の学生需要は桜区と大宮区に集まります|大家が学校の数と18〜22歳の3年の動きで見る)。ただ、12-5には間取りや住んでいる人の年齢の内訳がないので、桜区が狭い理由を学生の多さだと、この表だけで言い切ることはできません。

浦和区と桜区は、部屋の数が同じでも1部屋の広さが違う

浦和区と桜区は、どちらも居住室数が2.10室で、10区の中で最も少ない値です。ところが居住室の畳数は浦和区16.14畳、桜区14.60畳で、1部屋あたりに直すと浦和区が約7.7畳、桜区が約7.0畳になります。市全体は約7.4畳です。

部屋の数で見ると同じ「小さい間取りが多い区」でも、浦和区のほうが1部屋が広い。1Kや1DKで募集するなら、比べる相手は延べ面積の平均ではなく、この「1部屋あたりの畳数」のほうが近い数字です。

1人あたりの広さで見ると、西区がいちばん狭い

12-5には「1人当たり居住室の畳数」の列もあります。民営借家で見ると、いちばん小さいのは西区の9.68畳です。西区は延べ面積では45.70平方メートルと上から3番目なのに、1世帯の人数が1.73人と多いため、1人あたりでは最も狭くなります。いちばん大きいのは見沼区の10.74畳と北区の10.73畳です。

広い部屋の多い区が、ゆとりのある区とは限りません。家族で住む部屋が多い区では、同じ広さでも「狭い」と感じる世帯がいる可能性があります。

延べ面積と居住室の畳数のちがい。延べ面積は玄関・台所・浴室・押し入れ・廊下を含み共用部分を除く(市の民営借家43.26平方メートル)。居住室は居間・寝室・食事室だけで、3畳以上のDKを含み、洋室は3.3平方メートルを2畳で換算(市の民営借家17.41畳)

「延べ面積」と「居住室の畳数」は、何が違うのか

12-5には広さの数字が2つあります。総務省統計局の「用語の解説」では、次のように定められています。

  • 延べ面積:住宅の床面積の合計。居住室のほか、玄関・台所・トイレ・浴室・廊下・押し入れなども含みます。アパートやマンションなどの共同住宅では、共用の廊下や階段を除いた専用部分の床面積です
  • 居住室:居間・寝室・客間・書斎・食事室など、住むための部屋。玄関・台所(炊事場)・トイレ・浴室・廊下は含みません。ダイニング・キッチンは、流しや調理台などを除いた広さが3畳以上なら居住室に数えます
  • 居住室の畳数:洋室など畳を敷いていない部屋も、3.3平方メートルを2畳の割合(1畳=1.65平方メートル)で換算します

市全体の民営借家で計算すると、居住室の17.41畳は約28.7平方メートルで、延べ面積43.26平方メートルの約66%です。残りの約3分の1が、玄関・台所・浴室・トイレ・収納などの広さだと読めます。区ごとに計算すると、西区の約61%から北区の約69%まで幅がありました。

なお、募集図面の「帖」は、不動産の表示に関する公正競争規約の施行規則で、1畳あたり1.62平方メートル以上という別の物差しが決められています(大家が間取り図を書き直すと反響は変わるか|「2DK」と書けるかは寝室の数です)。統計の畳数と図面の帖数は、換算のしかたが違うことも覚えておいてください。

この数字を使う前に知っておきたいこと

便利な数字ですが、都合の悪い点もあります。

  • 空室は入っていない。12-5の住宅数は、ふだん人が住んでいる住宅(居住世帯のある住宅)です。市全体の住宅総数59万4,400戸に対し、世帯数は59万8,800世帯で、空き家はこの表の外にあります。募集中のライバルの部屋の広さとは別物です(空き家の内訳はさいたま市の空き家は増えていない|大家が5万6,500戸の内訳から見る活用の順番)
  • 住んでいる世帯が書いた数字。この調査は、調査員が世帯に調査票を配り、世帯が回答する方式です。床面積の欄は小数点以下を四捨五入して書く形になっており、図面の測り方(壁の中心線で測るか、内側で測るか)と同じとは限りません
  • 抽出調査で、区の数字は推定値。全国で約340万住戸・世帯を抽出した調査で、区の住宅数は10戸単位に丸められています。表の注にも「さいたま市と各区の合計は必ずしも一致しない」とあります。0.5平方メートル程度の差を「違う」と読まないほうが安全です
  • 平均なので、ワンルームとファミリー向けが混ざっている。12-5には、区ごとに間取り別・建て方別・建築の時期別の内訳がありません。「緑区は広い部屋が多い」とは言えても、「緑区のワンルームは広い」とは言えません
  • 5年前との比較はこの表に載っていない。12-5は令和5年の1時点だけです

自分の部屋を区の数字と比べる手順

  1. 自分の物件がある区の行を12-5で開き、民営借家の「延べ面積」「居住室数」「居住室の畳数」を控える。上の表の数字をそのまま使っても構いません
  2. 単身向けの部屋なら、延べ面積ではなく「1部屋あたりの畳数」と比べる。居住室の畳数を居住室数で割ります(浦和区なら約7.7畳、桜区なら約7.0畳)。自分の部屋の洋室が8帖なら、区の平均より広い側です
  3. ファミリー向けの部屋なら、延べ面積と1世帯の人数を見る。緑区の52.50平方メートル・1.99人は、2人で住む世帯の広さの目安になります
  4. 家賃は別の数字で確かめる。広さが平均より大きくても、家賃も高ければ選ばれるとは限りません。家賃の動きはさいたま市の家賃は上がったのか|住宅統計は5年で5.8%、物価指数は横ばい、小売物価は1年で9.1%で、広さあたりの家賃に直す方法とあわせて整理しています

区の平均より狭い部屋は、募集で不利になりますか?

この表だけでは判断できません。12-5が示しているのは「実際に人が住んでいる部屋の平均」です。桜区では平均36.29平方メートルの民営借家に、1万7,000世帯以上が住んでいます。平均より狭い部屋にも、それを選んで住んでいる人が大勢いるということです。

選ばれるかどうかを分けるのは、広さよりも家賃・駅からの距離・築年・設備の組み合わせであることが多く、それは12-5には載っていません。一方で、平均より広い部屋を持っているなら、それは数字で書ける強みです。「居住室の合計が区の平均より広い」と募集文に書くのではなく、「洋室8帖+DK5帖」のように部屋ごとの帖数をはっきり書くほうが、入居希望者には伝わります。

同じ住宅・土地統計調査の数字で、近隣の市の借家の広さを比べた記事もあります。川口市・戸田市・蕨市は戸田市は5年で人口が1.2%減り、世帯は3.8%増えました|川口・戸田・蕨の賃貸を大家が数字で比べる、これから入居者になる年齢の推計はさいたま市の人口は2050年も2020年より多い。それでも20〜34歳は14%減ります|大家が市の将来推計人口を募集に使うに整理しました。

まずは手元の募集図面を出して、洋室とDKの帖数を足し、居住室の数で割ってみてください。その数字を、自分の区の「1部屋あたりの畳数」と並べるところから始められます。

(出典:さいたま市「さいたま市統計書(令和7年版)」第12章 住宅及び建設 12-5(2026年4月10日更新)/総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」「調査の概要」)

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