狭山市と入間市は5年で人口が4%近く減り、借家の家賃も下がりました|所沢・狭山・入間を大家が数字で比べる

結論からお伝えすると、同じ西武線の沿線でも、所沢市と、狭山市・入間市では借りる人の顔ぶれが違います。所沢市は家計を主に支える人の片道の通勤時間が50.4分(県内8番目に長い)で、都内へ通う人の町です。狭山市(30.6分)と入間市(31.3分)は県平均の44.0分より13分以上短く、通勤30分未満の人がほぼ半分を占めます。

人口の動きも分かれました。令和7年国勢調査の速報で、所沢市は5年で+0.03%とほぼ横ばい、狭山市は−4.00%、入間市は−3.76%です。減った人数は狭山市5,948人が県内3番目、入間市5,471人が4番目でした。借家の家賃も、所沢市が5年で+6.2%だったのに対し、狭山市は−5.7%、入間市は−0.3%と下がった側にいます。

所沢市・狭山市・入間市の通勤時間、人口と世帯の増減、借家の家賃の伸びを並べた図

3市の数字を並べると、どこが違うのか

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」を埼玉県がまとめた資料(2024年12月13日掲載)から、3市の行を拾いました。

項目 所沢市 狭山市 入間市 埼玉県
借家の1か月家賃(令和5年) 63,541円(12位) 49,095円(34位) 53,154円(28位) 62,266円
家賃の5年の伸び +6.2% −5.7% −0.3% +4.9%
通勤時間の中位数 50.4分(8位) 30.6分(36位) 31.3分(35位) 44.0分
持ち家率 62.3% 68.9% 75.5% 65.1%
空き家率 8.5% 9.5% 8.1% 9.3%
専用住宅のうち借家の数 53,640 15,360 13,800 982,000

順位は県内53市町の中のものです(表7-3・表10-3)。家賃は、いま住んでいる人が払っている家賃の平均で、公営住宅や社宅も入っています。募集に出すときの家賃とは違いますが、県内の市町を同じ物差しで並べた数字としては、これがいちばん揃っています。

所沢市は都内へ通う人、狭山市と入間市は近くで働く人

同じ資料の表10-4で、家計を主に支える雇用者の通勤時間を区切りごとに見ると、違いがもっとはっきりします。

  • 通勤30分未満の人:狭山市48.5%、入間市48.0%、所沢市30.3%(埼玉県37.1%)
  • 通勤1時間以上2時間未満の人:所沢市38.4%(埼玉県30.4%)

所沢市では、10人のうち4人近くが片道1時間以上かけて通っています。部屋を選ぶ理由の先頭に「池袋や新宿まで何分か」が来る町です。一方、狭山市と入間市では半分の人が30分以内の勤め先へ通っています。借りる人にとって大事なのは、都内までの時間より、勤め先までの道と、車を置けるかどうかである場合が多いはずです。統計は通勤の手段までは示していないので、ここは自分の物件の問い合わせで確かめてください。

人口が4%減った狭山市と入間市で、世帯はどうなったのですか?

埼玉県「令和7年国勢調査速報結果」(2026年5月20日公表・令和7年10月1日現在)の数字です。

市 人口 人口の増減 世帯数 世帯の増減 1世帯あたり
所沢市 342,575人 +0.03% 159,514 +4.50% 2.15人
狭山市 142,751人 −4.00% 65,344 +2.46% 2.18人
入間市 140,180人 −3.76% 62,117 +1.46% 2.26人
埼玉県 7,287,169人 −0.78% 3,285,878 +3.89% 2.22人

人口が減っても、世帯は3市とも増えています。狭山市は5年で1,568世帯、入間市は895世帯の増加です。ひとり暮らしや二人暮らしが増え、1世帯あたりの人数が小さくなったためです。「人口が減る町では部屋が余る」とは、すぐには言えません。

ただし、世帯の伸びは所沢市の+4.50%に比べて、狭山市は半分ほど、入間市は3分の1ほどです。県平均の+3.89%も下回っています。借りる人の数が増える勢いは、所沢市より弱いと見ておくのが自然です。

狭山市の家賃は、なぜ下がったのか

表7-3で、狭山市の借家の家賃は平成30年の52,038円から令和5年の49,095円へ、2,943円下がりました。下がり方の率(−5.7%)は県内53市町で4番目に大きい数字です。

統計から理由は断定できません。手がかりは広さあたりの家賃です。表6-2の専用住宅の借家1住宅あたりの広さは、所沢市43.79平方メートル、狭山市43.61平方メートル、入間市45.90平方メートルで、3市ともほぼ同じ広さです。家賃を広さで割ると、1平方メートルあたり所沢市約1,451円、狭山市約1,126円、入間市約1,158円になります。同じ広さの部屋でも、狭山市と入間市は所沢市より約2割安く貸されている、ということです。

家賃が下がった市で大家ができることは、相場に合わせて下げることだけではありません。借りる人が近くで働く人なら、駐車場、勤め先までの道、家具を置ける広さといった、都内向けの部屋とは違う条件で選ばれます。募集図面の書き方を、所沢市の物件と同じにしないことが出発点です。

都内へ通う人が多い所沢市と、近くで働く人が多い狭山市・入間市の通勤時間と家賃を比べた図

駅で乗る人は、3市とも増えていた

埼玉県統計年鑑(令和7年版)の表8-1によると、令和6年度の西武鉄道の年間の乗車人員は、所沢駅が約1,997万人(前年度比+8.3%)、狭山市駅が約679万人(+1.1%)、入間市駅が約545万人(+0.8%)でした。人口が4%減った市でも、駅で乗る人は前の年度より増えています。

ひとつ注意があります。狭山ヶ丘駅の所在地は狭山市ではなく所沢市です。反対に、入曽駅と新狭山駅は狭山市にあります。駅名と市の名前が一致しないことは珍しくありません。市の統計で家賃や人口を見るときは、駅名ではなく物件の住所の市で表を引いてください。

都合の悪いことも書いておきます

  • 住宅・土地統計調査は標本調査です。狭山市の−5.7%も、次の調査で確かめるまでは1回分の結果として扱ってください
  • 家賃は住んでいる人の平均です。公営住宅や社宅の割合が変わるだけでも動きます。狭山市の下げが民間の募集家賃の下げだとは言い切れません
  • 人口は速報値です。県は2026年9月29日に確報を公表しており、所沢市は342,537人と、速報より38人少なくなっています
  • 家賃が下がった市でも、自分の物件が下がるとは限りません。築年・広さ・駅からの距離・駐車場の有無で、同じ市の中でも家賃は大きく違います

今日できること

  1. 過去1年の問い合わせや入居申込を見返し、勤め先が都内か、市内や近隣かを数えてみる
  2. 自分の物件の家賃を専有面積で割り、1平方メートルあたりの額を出して、この記事の3市の数字と並べる
  3. 物件の住所の市と、最寄り駅の名前の市が同じかを確かめる。違うなら、統計は住所の市の表で見る

駅の数字の読み方は埼玉で大宮以外に乗る人が多い駅は川口・南越谷・北朝霞に、同じ形で並べた都内寄りの3市は朝霞・和光・志木を大家が数字で比べるに、地元で働く人が多い県北の3市は熊谷・行田・深谷は都内へ通う人の町ではありませんにまとめました。募集図面のどこを直すかは募集図面(マイソク)でオーナーが必ず直させる7つの欄が参考になります。

出典

  • 埼玉県「令和5年住宅・土地統計調査結果 埼玉県分の概要」表2-8・表5-3・表6-2・表7-3・表10-3・表10-4(2024年12月13日掲載)
  • 埼玉県「令和7年国勢調査速報結果による人口及び世帯数」(2026年5月20日公表)、「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果(確報値)」(2026年9月29日公表)
  • 埼玉県「令和07年(2025年)埼玉県統計年鑑 8 運輸・通信」表8-1(2026年2月9日掲載)・令和06年版 表8-1

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