熊谷・行田・深谷は都内へ通う人の町ではありません|大家が通勤時間と空き家率で見る県北3市の賃貸
結論からお伝えすると、熊谷市・行田市・深谷市の3市は、東京へ通う人の住まいとして部屋が選ばれている町ではありません。家計を主に支える人の片道の通勤時間(中位数)は、熊谷市28.9分、行田市26.3分、深谷市25.0分で、県平均の44.0分より15分以上短く、蕨市(50.3分)や越谷市(51.9分)の半分から6割ほどです。借りる人の多くは、市内や近くの勤め先に通う人だと読めます。
そのうえで3市は、人口が5年で2〜3%減り、空き家率は熊谷市14.6%・行田市13.2%と県内でも高い側にあります。それでも世帯の数は3市とも増えていて、家賃も下がっていません。数字を並べると「人口が減る県北は貸せない」とは言い切れない姿が見えてきます。

通勤時間で分かる、借りる人の顔
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」を埼玉県がまとめた資料(2024年12月13日掲載)の表10-3に、市町ごとの通勤時間の中位数が載っています。中位数は、通勤時間の短い順に並べたときにちょうど真ん中にくる人の時間です。
- 熊谷市:28.9分(県内53市町で38番目)
- 行田市:26.3分(44番目)
- 深谷市:25.0分(47番目)
- 埼玉県:44.0分/いちばん長い志木市は55.5分
30分を切る市は、都内の勤め先に毎日通う人が中心の町とは違う形をしています。募集の相手が違えば、募集図面で先に書くことも変わります。都内までの所要時間より、市内の勤め先や幹線道路までの距離、駐車場の有無のほうが効く場面が多いはずです。
人口は減っても、世帯は3市とも増えている
埼玉県「令和7年国勢調査 速報結果」(2026年5月20日公表・令和7年10月1日現在)の数字です。
| 市 | 人口 | 人口の増減 | 世帯数 | 世帯の増減 | 1世帯あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 熊谷市 | 188,262人 | −3.16% | 81,910 | +2.19% | 2.30人 |
| 行田市 | 76,179人 | −3.10% | 32,873 | +3.13% | 2.32人 |
| 深谷市 | 138,493人 | −1.96% | 57,473 | +2.90% | 2.41人 |
| 埼玉県 | 7,287,169人 | −0.78% | 3,285,878 | +3.89% | 2.22人 |
熊谷市は5年で6,153人減りましたが、世帯は1,757増えています。1世帯あたりの人数は、熊谷市が2.43人から2.30人へ、行田市が2.47人から2.32人へ下がりました。3市とも県平均の2.22人より大きいものの、世帯が小さくなる向きは同じです。

空き家率が高いのに、家賃は下がっていないのはなぜですか?
| 市 | 借家の1か月家賃(令和5年) | 平成30年からの増減 | 借家1住宅あたりの広さ | 持ち家率 | 空き家率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熊谷市 | 50,186円 | +4.9% | 49.22平方メートル | 74.0% | 14.6% |
| 行田市 | 47,819円 | +10.7% | 47.04平方メートル | 79.0% | 13.2% |
| 深谷市 | 50,213円 | +4.4% | 50.18平方メートル | 75.3% | 11.6% |
| 埼玉県 | 62,266円 | +4.9% | 44.35平方メートル | 65.1% | 9.3% |
熊谷市の空き家率14.6%は、秩父市20.2%・寄居町14.9%に次いで県内3番目の高さです。それでも借家の家賃は5年で4.9%上がり、県平均と同じ伸びでした。行田市は10.7%上がり、県内で8番目に大きい伸びです。
空き家率の「空き家」には、賃貸の空室のほかに、売り出し中の家や、誰も住まずに置かれている家が入っています。持ち家率が7〜8割の3市では、空き家の中身も戸建が多いと考えるのが自然で、アパートの空室がそのまま14.6%あるという意味ではありません。熊谷市は使う目的のない空き家(その他の住宅)の数が7,530戸で、さいたま市・川越市に次いで県内3番目に多いことも、同じ資料に書かれています。
駅で乗る人は、どうだったか
埼玉県統計年鑑(令和7年版)の表8-1で、JRの1日平均の乗車人員(令和6年度)は、熊谷27,485人、籠原13,557人、深谷9,050人、行田5,915人でした。4駅とも前の年度より増えていて(熊谷+1.8%、籠原+2.3%、深谷+2.1%、行田+3.2%)、定期券で乗る人の割合は籠原69.4%、深谷71.0%、行田70.4%と、熊谷の61.1%より高くなっています。
都合の悪いことも書いておきます
- 住宅・土地統計調査は標本調査です。行田市の+10.7%のような大きな動きは、次の調査で確かめるまで1回分の結果として扱ってください
- 家賃は「住んでいる人が払っている平均」です。公営住宅や社宅も入っていて、募集に出したときの家賃とは違います
- 通勤時間は家計を主に支える雇用者の数字です。学生や、自営業の人は入っていません
- 県北では外国人の住民の増え方が大きい市があります。数字は埼玉で外国人の住民が増えている市は、川口より県北ですにまとめました
今日できること
- 募集図面の「最寄り駅から都内まで◯分」を、市内の主な勤め先や幹線道路までの距離に置き換えられないか考える
- 駐車場の台数と区画の幅を確かめる(駐車場付きの部屋が効く場所は、軽自動車の台数で分かりますの考え方は県北でもそのまま使えます)
- 空室が続いているなら、統計の空き家率ではなく、自分の物件の周りで募集中の部屋を数える(空室が続くのは管理会社のせいか、物件のせいか)
県北でも、土地の値段の動きは市町村で分かれています(埼玉の地価は5年連続で上がっても、63市町村のうち21は下落)。世帯が小さくなっても、子どものいる世帯を取りにいくならファミリー向けの部屋で見られている場所で書いた「就学と車庫」の2枚が効きます。
出典
- 埼玉県「令和7年国勢調査速報結果による人口及び世帯数」(2026年5月20日公表)
- 埼玉県「令和5年住宅・土地統計調査結果 埼玉県分の概要」表2-8・表2-9・表5-3・表6-2・表7-3・表10-3(2024年12月13日掲載)
- 埼玉県「令和07年(2025年)埼玉県統計年鑑」表8-1(2026年2月9日掲載)・令和06年版 表8-1
投稿者プロフィール
この記事の内容について、個別に相談したい方へ
さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。






