さいたま市は10区すべてで亡くなる人が生まれる人より多い。それでも9区で人口が増えた理由|大家が統計書で読む区の人口動態

さいたま市統計書の「2-8 人口動態」を開くと、右から3つ目に「自然増加」という列があります。令和6年の行を上から下までたどると、西区から岩槻区まで、10区すべての数字の頭にマイナスが付いています。いちばん小さい南区でもマイナス129人、いちばん大きい見沼区はマイナス1,068人でした。

結論からお伝えすると、さいたま市は令和6年、10区すべてで亡くなった人が生まれた人を上回りました。それでも人口が減ったのは岩槻区だけで、残りの9区は転入で増えています。大家にとっての意味は「人が増えている区でも、増えた分は外から来た人」だということです。募集の相手は、区の中で生まれ育つ人ではなく、引っ越してくる人になります。

この記事では、統計書の「2-7 人口異動状況」と「2-8 人口動態」の2枚を使って、区ごとの生まれる数と亡くなる数、転入による増え方を並べます。2枚の表は数え方が違うので、その違いも最後に整理します。

さいたま市は令和6年に10区すべてで死亡が出生を上回り、9区は転入で人口が増えたことをまとめた図

生まれる人より亡くなる人が多い区はどこか

答えは「全部の区」です。2-7(住民基本台帳による集計)の令和6年の行を、亡くなった人が多い順ではなく、人口1,000人あたりの自然増減(出生から死亡を引いた数)で並べると次のようになります。

区 出生 死亡 自然増減 1,000人あたり 死亡は出生の何倍か
岩槻区 608人 1,484人 −876人 −7.8人 2.44倍
見沼区 947人 1,988人 −1,041人 −6.3人 2.10倍
桜区 571人 1,026人 −455人 −4.7人 1.80倍
北区 969人 1,571人 −602人 −4.0人 1.62倍
西区 723人 1,053人 −330人 −3.5人 1.46倍
中央区 697人 962人 −265人 −2.6人 1.38倍
緑区 985人 1,314人 −329人 −2.4人 1.33倍
大宮区 996人 1,200人 −204人 −1.6人 1.20倍
浦和区 1,275人 1,466人 −191人 −1.1人 1.15倍
南区 1,528人 1,589人 −61人 −0.3人 1.04倍
市全体 9,299人 13,653人 −4,354人 −3.2人 1.47倍

(出典:さいたま市「第25回さいたま市統計書(令和7年版)」2-7 人口異動状況・令和6年。1,000人あたりは2-2の令和7年1月1日現在の人口で割った目安で、統計書の公表値ではありません)

岩槻区は、生まれた人1人に対して亡くなった人が2.44人です。見沼区も2倍を超えています。一方の南区は1.04倍で、ほぼ釣り合っています。同じ「自然減」でも、区によって7.8人と0.3人、25倍ほどの開きがあります。

それでも人口が増えた区と、減った区

自然減だけを見ると、さいたま市全体が縮んでいるように見えます。ところが同じ2-7の「増減数」の列を見ると、令和6年の市の人口は5,488人増えています。差を埋めているのは「社会動態」、つまり転入と転出の差し引きです。

区 自然増減 社会増減 人口の増減
大宮区 −204人 +1,918人 +1,714人
南区 −61人 +1,269人 +1,208人
緑区 −329人 +1,392人 +1,063人
北区 −602人 +1,358人 +756人
見沼区 −1,041人 +1,401人 +360人
西区 −330人 +676人 +346人
浦和区 −191人 +371人 +180人
桜区 −455人 +609人 +154人
中央区 −265人 +269人 +4人
岩槻区 −876人 +579人 −297人

(出典:同 2-7・令和6年。社会増減には転入・転出のほか「その他の増減数」(職権記載・消除等)も含まれます)

読み取れることは3つです。

  • 人口が減ったのは岩槻区だけ。転入で579人増えても、自然減の876人を埋めきれませんでした
  • 見沼区は自然減が市内で最も多い1,041人ですが、転入がそれを上回り、360人増えています。「亡くなる人が多い区=人が減る区」ではありません
  • 中央区は4人増えただけで、ほぼ横ばいです。浦和区も180人増にとどまります

浦和区は、転入が1万646人と大宮区(1万479人)より多いのに、転出も1万185人あるため、社会増減は371人にとどまります。人の出入りは多いのに、残る人数は少ない区ということになります。賃貸の側から見ると、入れ替わりの量そのものが募集の機会です。

5年で、生まれる数と亡くなる数の差はどれだけ開いたか

2-7には市全体の5年分が並んでいます。

年 出生 死亡 自然増減 社会増減 人口の増減
令和2年 10,250人 11,331人 −1,081人 +11,524人 +10,443人
令和3年 9,917人 12,036人 −2,119人 +9,756人 +7,637人
令和4年 9,812人 13,312人 −3,500人 +10,607人 +7,107人
令和5年 9,621人 13,483人 −3,862人 +9,541人 +5,679人
令和6年 9,299人 13,653人 −4,354人 +9,842人 +5,488人

(出典:同 2-7)

4年で、生まれた人は約9%減り、亡くなった人は約20%増えました。自然減は1,081人から4,354人へ、4倍になっています。一方で社会増は1万人前後でほとんど変わっていません。人口の増え方が鈍っているのは、転入が減ったからではなく、自然減が毎年数百人ずつ深くなっているからです。

人口動態調査(2-8)の合計特殊出生率も、令和2年の1.30から令和6年の1.14まで、毎年下がっています。なお、2-8の区の行は合計特殊出生率の欄が「-」で、区ごとの値は統計書には載っていません。

2-7と2-8で、同じ「自然増減」の数字が違うのはなぜか

市全体の令和6年の自然増減は、2-7ではマイナス4,354人、2-8ではマイナス4,719人です。365人違います。これは間違いではなく、2枚の表が別の数え方をしているためです。表の注には次のように書かれています。

2-7 人口異動状況 2-8 人口動態
元のデータ 住民基本台帳の登録人口 厚生労働省所管の人口動態調査
数える日 届出日を基準に集計 住所地による集計
外国人 含む 含まない(日本人のみ)
資料 都市戦略本部デジタル改革推進部 保健衛生局保健所保健所管理課

2-7の注には「人口動態統計による『出生』及び『死亡』とは一致しない」と明記されています。2つの表の数字を足したり引いたりしないこと。転入と組み合わせて区の増減を見るなら2-7、全国や他の市と比べるなら、国の統計と同じ数え方の2-8を使う、という使い分けになります。この記事の区の表は、転入と並べるために2-7の数字を使っています。

統計書の表2-7(住民基本台帳・外国人を含む)と表2-8(人口動態調査・日本人のみ)の数え方の違いを比べた図

大家は、区の人口動態をどう読めばよいか

増えている区でも、増えた分は外から来た人

10区すべてが自然減なので、人口が増えている9区は、増えた分がすべて転入です。募集の資料を作るときに想定する相手は、その区の中で育った人ではなく、市外や他の区から引っ越してくる人です。どこから来ているかは、さいたま市への転入は東京から1万3,174人、差し引きは180人で都道府県別に整理しています。

亡くなる方が多い区では、契約の終わり方を先に決めておく

見沼区では令和6年に1,988人、岩槻区では1,484人が亡くなっています。この数字には持ち家に住む方も施設に入っている方も含まれるため、賃貸の入居者がどれだけかは統計書からは分かりません。ただ、死亡が出生の2倍を超える区で古くから貸している物件なら、入居者の年齢が上がっている可能性は高いと考えられます。

入居者が亡くなっても、賃貸借契約は自動では終わりません。相続人がいるか、連絡がつくかで手順が分かれます。詳しくは入居者が亡くなっても賃貸借契約は終わりませんにまとめています。緊急連絡先が今も通じるかを確かめておくのは、この区の大家ほど優先度が高い作業です。

中央区・浦和区は「入れ替わりの量」で見る

差し引きの増加が小さい区でも、転入の総数は多いことがあります。浦和区は転入1万646人・転出1万185人で、毎年1万人規模の人が入れ替わっています。差し引きが小さいから需要が弱いとは限りません。ただし、転入の総数には市内の他の区からの引っ越しも入っており、令和6年の区の行では「市外から」と「市内他区から」の内訳は「…」で公表されていません。

この先の見通しは、推計と合わせて読む

自然減が深くなる流れは、市の将来推計人口にも出ています。年齢層ごとの見通しはさいたま市の人口は2050年も2020年より多い。それでも20〜34歳は14%減りますで扱いました。部屋の広さの区ごとの違いはさいたま市の民営借家は1戸43.26平方メートル、区で最大16平方メートル違うにあります。

この数字を読むときの注意

  • 賃貸に住む人だけの数字ではありません。持ち家・社宅・施設に住む人もすべて含みます
  • 1年分の数字です。区の行は令和6年しか載っていないため、区ごとの5年の推移はこの表からは追えません
  • 区の社会増減には、市内の他の区との間の引っ越しも入ります。市全体では区どうしの移動は相殺されますが、区の行では打ち消されません
  • 1,000人あたりの数字は、この記事で計算した目安です。年の途中の人口ではなく、令和7年1月1日現在の人口で割っています
  • 亡くなった方がどんな住まいだったかは載っていません。年齢は2-10「年齢階級別死亡数」に区ごとにあり、市全体では令和6年の死亡1万3,692人のうち75歳以上が1万773人(約79%)でした(2-10は2-8と同じ人口動態調査の数え方です)

まずは、ご自分の物件がある区の行を2-7で開き、「自然増減」と「社会増減」の2つの数字を並べてみてください。自然減を転入で何倍埋めているかが、その区で募集をかけるときの相手の形です。来年の統計書が出たら、同じ行をもう一度見比べると、その区の流れがはっきりします。

出典

  • さいたま市「第25回さいたま市統計書(令和7年版)」2-2 区別人口の推移、2-7 人口異動状況、2-8 人口動態、2-10 年齢階級別死亡数(2026年4月10日更新・2026年11月4日に原表を確認)。比率・倍率・1,000人あたりの数字は公表数値から計算

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