清掃のパートを1人雇う大家の労災保険|保険関係の成立は10日以内に届け出ます
結論からお伝えすると、アパートの清掃のために、パートやアルバイトを1人でも雇った大家さんには、労災保険の手続きが必要です。事業を始めた日に保険関係が成立し(労働保険徴収法3条)、成立した日から10日以内に政府へ届け出ます(同法4条の2第1項)。保険料も、原則として事業主が全額を負担します。
「週2日、朝の1時間だけ」の清掃でも、この手続きは変わりません。ここでは、条文と厚生労働省の案内を順に開いて、届出の期限・提出先・その後の手続きを整理します(2026年9月30日時点)。
労災保険は、労働者を1人使えば当てはまります
労災保険法3条1項は、労働者を使用する事業を適用事業とすると定めています。厚生労働省の案内でも、正社員・パート・アルバイトといった呼び名や雇用の形にかかわらず、賃金を受けて働く人は労災保険の対象とされています。
給付の中身は、業務上の負傷・病気・障害・死亡(業務災害)、通勤による負傷など(通勤災害)などです(労災保険法7条)。パートだからといって給付が小さくなることはありません。
気をつけたいのは、大家さん本人は労働者ではない点です。事業主自身が仕事でけがをしたときの給付を受けるには、特別加入(同法33条)という別の仕組みがあり、労働保険事務組合に事務処理を委託する事業主などが対象です。

届出の期限は10日、提出先は労働基準監督署か職業安定所です
徴収法4条の2第1項は、保険関係が成立した事業の事業主に、成立した日から10日以内に、次の内容を政府へ届け出るよう求めています。
- 成立した日
- 事業主の氏名(または名称)と住所
- 事業の種類、事業の行われる場所
- そのほか厚生労働省令で定める事項
施行規則4条は、省令で定める事項として、事業の名称・概要、事業主の所在地、事業に係る労働者数などを挙げ、提出先を所轄の労働基準監督署長または公共職業安定所長としています。窓口で登記事項証明書などの書類を求められることもあります。
届出のあとに、保険料の申告と納付が続きます
届出で終わりではありません。徴収法15条1項は、保険年度の途中で保険関係が成立した場合、成立した日から50日以内に、その年度に使う労働者の賃金総額の見込額をもとにした概算保険料を、申告書を添えて納めるよう定めています。翌年度からは、保険年度ごとに6月1日から40日以内です。
| いつ | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 成立から10日以内 | 保険関係成立届を出す | 徴収法4条の2、施行規則4条 |
| 成立から50日以内 | 概算保険料を申告して納める | 徴収法15条1項 |
| 毎年6月1日から40日以内 | 次の年度の概算保険料を申告して納める | 徴収法15条1項 |
申告書を出さないときや、記載に誤りがあるときは、政府が保険料の額を決めて通知します。通知を受けたら、不足額を15日以内に納める決まりです(同条3項・4項)。

家庭の手伝いとして雇う場合は、対象外ですか?
労働基準法116条2項は、同居の親族のみを使用する事業と家事使用人には、この法律を適用しないとしています。賃貸経営のために雇う清掃の人が、この家事使用人に当たるかどうかは、条文だけでは判断できません。迷ったときは、雇い始める前に労働基準監督署へ確認してください。
都合の悪いことも書いておきます
- 雇用保険は別の保険関係です。成立は徴収法4条が定めていて、対象になるかは別に確かめる必要があります。
- 保険料は少額でも、届出・年度ごとの申告・納付が毎年続きます。戸数が少ないうちは、清掃だけを事業者に頼む形のほうが手間が少ない場合もあります。
賃金や労働条件の書面については、アパートの管理人を雇う大家が書面で示すことに整理しました。個別の判断は、所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確かめてください。
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