人を雇った大家が税務署に出す届出|給与支払事務所の開設届は1か月以内、納期の特例は年2回

結論からお伝えすると、大家さんがアパートの清掃や見回りを頼む人に給与を払い始めたら、不動産所得の開業届とは別に、給与支払事務所等の開設届を、開設した日から1か月以内に税務署へ出します(所得税法230条)。あわせて、給与から所得税を天引きして翌月10日までに納める義務も生まれます(同法183条)。

「月2万円で共用廊下の掃き掃除をお願いする」と決まった段階で、大家さんの頭にあるのは賃金と時間のことだけで、税務署への届出までは浮かばないものです。ここでは条文と国税庁の案内を順に開いて、出すもの・納めるものを整理します(2026年9月30日時点)。

不動産所得の開業届と、給与の開設届は別の届出です

大家さんが不動産所得を生ずる事業を始めたときに出す開業届は、所得税法229条の届出です。これに対して、給与を払う事務所を設けたときの届出は230条で、条文が違います。

230条は、給与等の支払事務を取り扱う事務所を設けた者に、その旨を書いた届出書をその事実があった日から1か月以内に税務署長へ出すよう求めています。所得税法施行規則99条は、書く事項を次のように並べています。

  • 提出する人の氏名・住所・個人番号
  • 給与支払事務所等を設けた旨とその年月日
  • 給与支払事務所等の所在地
  • 提出日の現況で、給与を受ける人の職種などの別の人員数
  • その他参考となる事項

提出先は、給与支払事務所等の所在地の所轄税務署です。国税庁の案内(A2-7)では、e-Taxで作成して出す方法のほか、書面を持参または郵送する方法が示されています。なお施行規則99条は、「前条の届出書を提出すべき場合を除き」と書いています。前条は開業等の届出(98条)なので、開業と同時に人を雇うような場合の出し方は、税務署に確かめてください。

給与を払う大家の3手続き。開設届を1か月以内に出す、給与から天引きして納める、納期の特例で年2回にできる。

給与を払うと、天引きして納める義務が生まれます

183条は、居住者に国内で給与等を支払う者に、支払の際に所得税を徴収し、徴収した月の翌月10日までに国へ納めることを求めています。給与を受け取る人に、額面と手取りの差が出るのはこのためです。給与を払うたびに、支払明細書を本人へ渡す決まりもあります(231条1項、施行規則100条)。

例外は184条にあります。常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う者は、天引きして納めなくてよいとされています。条文の文言は「家事使用人のみ」です。賃貸経営のために雇う人がこれに当たるかどうかは、条文だけでは読み切れません。「家事の手伝いだから不要」と自分で決めず、給与を払い始める前に税務署へ確認しておくのが安全です。

天引きして納めなかったときの罰則は、240条に置かれています。

納期の特例を使うと、納付が年2回になります

人数が少ない事務所には、納付回数を減らす特例があります。216条は、給与を受ける人が常時10人未満の事務所について、税務署長の承認を受ければ、1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月20日までに納められるとしています。

原則 納期の特例
納める期限 支払った月の翌月10日 7月10日と翌年1月20日の年2回
手続き なし 承認の申請書を税務署に出す
対象の人数 制限なし 給与を受ける人が常時10人未満

国税庁のタックスアンサー(No.2505)によると、申請の提出時期に決まりはなく、税務署長から却下の通知がなければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、提出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります。この特例は税理士などへの報酬から天引きした分も対象です。

届出を出し忘れていたら、どうなりますか?

開設から1か月を過ぎていても、届出書は出せます。気づいた時点で、給与を払い始めた日を書いて税務署へ出してください。それよりも急ぐのは、すでに給与を払っているなら、天引きした分の納付が遅れていないかの確認です。翌月10日の納期限は、届出とは別に進んでいきます。

納める期限の比較。原則は支払った月の翌月10日、納期の特例は7月10日と翌年1月20日の年2回で、税務署の承認と常時10人未満が条件。

都合の悪いことも書いておきます

  • 納期の特例は、天引きをやめる制度ではありません。毎回の給与から天引きするのは同じで、国に納めるまでの期間が延びるだけです。
  • 特例の期間中に天引き分を使い込むと、7月と1月にまとめて足りなくなります。別の口座に取り分けておく運用が向いています。
  • 人を雇うと、賃金の管理や保険の手続きも大家さん個人に来ます。書面で示す内容はアパートの管理人を雇う大家が書面で示すことに整理しました。

身内に払う給与は経費にならないのが原則です。線引きは家族に払う給与は、原則として経費になりませんで、帳簿の持ち方は大家が使う帳簿は何かで読めます。個別の判断は、所轄の税務署か税理士に確かめてください。

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