アパートの外壁の色を変えるとき、さいたま市で届出が要るのは高さ12メートル超から|風致地区だけは大きさを問わず許可です

結論からお伝えすると、景観法は外壁の「色彩の変更」そのものを届出の対象として名指ししています(景観法16条1項1号)。ただし、どの建物から届出が要るかは各自治体の景観計画で決まり、さいたま市では高さ12メートル超か建築面積1,000平方メートル超の建物で、いずれかの面の3分の1を超えて塗り替えるときに、着手の30日前までの届出が要ります。一方で、大宮公園の周辺など風致地区の中では、建物の大きさを問わず、屋根や壁の色を変える前に市長の許可が要ります(2026年10月11日時点で、さいたま市の公表資料と条例で確かめました)。

仮の話です。築28年、4階建ての鉄筋コンクリートのアパート。外壁のくすんだクリーム色を、塗り替えに合わせて濃いめのグレーに変えたい。塗装業者からは色見本が3枚届いています。足場の日程も決まりかけています。このとき、色を決める前に何を見ればよいのか。条文と市の手引きを順に開いていきます。

外壁の色を変える前にさいたま市の大家が見る5点。景観法は色彩の変更も対象、市は高さ12m超か建築面積1,000平方メートル超、壁の3分の1以下は対象外、着手は届出から30日後、風致地区は大きさを問わず許可。

景観法は、塗り替えの「色」まで見ているのか?

見ています。景観法16条1項は、景観計画区域の中で届出が要る行為として、1号で建築物の「新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更」を挙げています。新築だけの話ではありません。

では、ただの塗り替えは「軽易な行為」として外れないのか。届出が要らない行為を決めているのは景観法施行令8条です。4号ロは「建築物の存する敷地内で行う行為」を外していますが、そこからさらに「建築物の建築等」を除いています。そして「建築等」には、法16条1項1号で色彩の変更が含まれています。つまり、法律と政令のレベルでは、外壁の色の塗り替えは届出が要らない行為に入っていません。

実際に「この大きさなら要らない」という線を引いているのは、景観行政団体(さいたま市のような政令指定都市と中核市なら市、それ以外は多くの場合県)の景観計画と条例です(景観法7条1項・16条7項11号)。だから同じ塗り替えでも、市が変われば答えが変わります。

さいたま市では、どの建物から届出が要るのか?

さいたま市の「景観計画 届出の手引き」と窓口配布の案内では、市内全域の建築物について次のとおりです。

  • 高さ12メートルを超える建築物、または建築面積が1,000平方メートルを超える建築物(どちらか一方に当たれば対象)
  • 対象の行為は、新築・増築等に加えて「外観を変更することとなる修繕若しくは模様替」「色彩の変更」
  • 北区宮原町1丁目と植竹町1丁目の各一部(宮原景観形成特定地区)は、大きさを問わずすべての建築物が対象

そのうえで、市の景観条例等施行規則(別表第1)は、修繕・模様替・色彩の変更のうち、各立面の面積の3分の1以下のものを届出の対象から外しています。手引き第4章の書き方では、いずれか1つの立面で3分の1を超えれば届出が要るという読み方です。北面だけ全面を塗り替える場合でも、北面の3分の1を超えていれば対象になります。

高さは建築基準法施行令2条1項6号の地盤面から測り、階段室や昇降機塔も含みます。一般に4階建てのマンションは高さが12メートル前後になるため、2階建ての木造アパートは外れ、4階建て以上の鉄筋コンクリート造は当たる可能性が高い、というのが目安です。実際の数字は確認申請の図面で確かめてください。高さ10メートルの線で近隣説明が要る市の別の条例はさいたま市で近隣説明が要るのは高さ10メートルからにまとめています。

選べる色には、どこまで制限があるのか?

届出の対象になる建物は、景観計画の「景観形成基準」に合わせる必要があります。手引き第3章の色彩の基準は、マンセル値(色を色相・明度・彩度の3つの数字で表す方法)で書かれています。

区域 赤〜黄(0R〜5Y)の彩度 それ以外の色相の彩度 基準を当てない面積
景観誘導区域(市街化区域) 6以下 2以下 各立面の5分の1未満
景観保全区域(市街化調整区域) 4以下 2以下 各立面の10分の1未満

制限されているのは明るさではなく鮮やかさ(彩度)です。濃いグレーや黒に近い色は、彩度が低いので基準の中に収まります。逆に、青や緑の外壁は「その他の色相」に入り、彩度2以下という、かなりくすんだ色しか使えません。差し色として壁の一部に使う色や、木・石・タイルなどの自然素材は、表の面積の範囲で基準から外れます。

塗装業者の色見本は塗料メーカーの品番で書かれていることが多く、マンセル値が書かれていないことがあります。届出の対象になる建物なら、見本ごとにマンセル値を出してもらうのが最初の一手です。

届出は、いつまでに出せばよいのか?

  • 着手の30日前までに届け出ます。受理から30日を過ぎるまで工事に着手できません(景観法18条1項)
  • 市が基準に合わないと判断すれば、届出から30日以内に設計の変更などを勧告できます(同16条3項・4項)
  • 条例で定めた行為で形態意匠(色を含む見た目)が基準に合わないときは、変更命令も出せます(同17条1項)
  • 届出をしないで工事をした場合や、30日を待たずに着手した場合は、30万円以下の罰金の対象です(同103条1号・4号)

さいたま市は、計画の早い段階で「事前協議」を申し出る制度を置いており、事前協議と同じ内容で届け出て基準に合っていれば、着手制限の期間が短くなると案内しています。足場の予約を先に入れてしまうと、この30日が工程に穴をあけます。

小さなアパートでも許可が要る場所がある

ここが通説と逆になるところです。「2階建てなら景観は関係ない」と考えていると、風致地区で外れます。

さいたま市の風致地区は、大宮公園の周辺と見沼田圃の一部、約284ヘクタールです。「さいたま市風致地区内における建築等の規制に関する条例」2条1項6号は、許可が要る行為として「建築物等の意匠(色彩を含む。)の変更」を挙げています。許可が要らない行為を並べた同じ条の2項10号は、意匠の変更のうち「屋根、壁面、煙突、門、塀」などを除いたものしか外していません。つまり、屋根と外壁の色を変えるのは、建物の大きさにかかわらず許可の対象です。

市の案内では、標準処理期間は書類が届いてから休庁日を除き14日、外壁と屋根の色は原色系の派手な色(赤・青・黄など)を避け、景観条例の基準に合わせるよう求めています。景観法の届出が「出せば30日後に着手できる」のに対し、こちらは許可が出るまで着手できないという違いがあります。

景観計画区域の届出と風致地区の許可の比較。届出は高さ12m超か建築面積1,000平方メートル超で各立面の3分の1超が対象、風致地区は建物の大きさを問わず屋根と外壁の色の変更に許可が要る。

都合の悪いことも書いておきます

  • ここに書いた数字はさいたま市のものです。川口市・越谷市のような中核市は自ら景観行政団体になるため(景観法7条1項)、線が違うことがあります。それ以外の市町村も、自ら景観行政団体になっていれば独自の線、そうでなければ埼玉県の景観計画に従います。物件のある自治体の資料を開いてください。
  • 届出の要らない大きさでも、地区計画や建築協定で外壁の色が決められている土地があります。景観法の届出の要否だけで「何色でもよい」とは言えません。
  • 建物の高さや区域の判定は、図面と市の窓口でしか確定しません。この記事は判定の代わりにはなりません。
  • 塗り替えの費用が経費か資本的支出かは別の論点です。修繕費と資本的支出の違いを見たうえで、税理士に確かめてください。積立の考え方は大規模修繕の積立をどう考えるかにあります。

今日できること

  1. 確認申請の図面を出して、建物の高さと建築面積を書き写す(12メートル・1,000平方メートルと比べる)
  2. 物件が市街化区域か調整区域か、風致地区に入っていないかを確かめる。風致地区は北部公園整備課(048-646-3179)が窓口です
  3. 景観の届出が要りそうなら、行為の場所が西・北・大宮・見沼・岩槻区なら北部都市計画指導課(048-646-3178)、中央・桜・浦和・南・緑区なら南部都市計画指導課(048-840-6178)へ、足場を予約する前に事前相談の電話を入れる

修繕の年間の目安はアパートの修繕費は1戸あたり年いくらか、1年の中で工事をどこに置くかは賃貸経営の1年は何月に何が来るかも参考にしてください。

出典

  • 景観法7条・8条・16条・17条・18条・103条、景観法施行令8条(e-Gov 法令検索・2026年10月11日時点)
  • さいたま市「景観法に基づく届出等」(さいたま市ウェブサイト・2026年7月24日更新)と、同ページの「さいたま市景観計画 届出の手引き」第1章・第3章・第4章、「景観法及びさいたま市景観条例に基づく届出等について」
  • さいたま市「風致地区内の建築許可申請の手引き」(さいたま市ウェブサイト・2024年8月29日更新)と「さいたま市風致地区内における建築等の規制に関する条例」2条

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