引き継ぎで失われやすい情報|鍵・保証会社・入金口座

結論からお伝えすると、管理会社の引き継ぎで最も失われやすいのは、①鍵の本数と所在、②家賃保証会社の契約者番号、③入金口座と滞納の履歴の3つです。いずれも書類の束の中には入っておらず、前の会社の担当者の頭の中や、社内システムの中にしかないことが多いためです。

ご存じの方も多いと思いますが、引き継ぎで渡されるのは通常「賃貸借契約書の写し」と「入居者一覧」です。この2点だけでも形は整います。ところが実務が回り始めると、そこに書かれていない情報でつまずきます。

引き継ぎ書類に載らない情報がある

管理会社が日々の業務で使っている情報のうち、契約書に書かれているものは半分もありません。残りは社内の管理システムや、担当者の経験として蓄積されています。委託が終わった瞬間、そこへのアクセスがなくなります。

情報どこにあるか失われたときに困る場面
鍵の本数・マスターキーの所在管理会社の鍵庫水漏れ等の緊急入室、退去後の入替判断
家賃保証会社の契約者番号管理会社の社内システム滞納発生時の代位弁済請求
入金口座と入居者ごとの支払方法管理会社の入出金台帳切替月の入金照合
過去の滞納履歴・督促の経緯担当者の記録再発時の対応判断
設備の型番・設置年・修理履歴台帳またはメールの中交換時期の判断、見積比較
入居者の性格・過去のクレーム担当者の記憶初回訪問での関係づくり
近隣・自治会との申し合わせ担当者の記憶ゴミ出し、駐車、騒音の調整

下の3行は、書面で請求しても出てこないことがあります。だからこそ、解約を伝える前に聞いておく価値があります。

先に、よくある失敗から

引き継ぎで実際に起きたことを、具体的に並べます。

  • 鍵の本数が契約書上は「2本」だったが、実際は前の管理会社が3本目を保管していた。返却されず、退去後にシリンダーを交換することになり、1戸あたり1万5千円から3万円の想定外の支出が出た
  • 保証会社の契約者番号が引き継がれず、滞納が発生してから照会に2週間かかった。代位弁済の請求期限が「滞納発生から60日以内」と定められていたため、危うく間に合わないところだった
  • 入金口座の変更を通知したが、口座振替を利用していた入居者の再手続きが4週間から6週間かかり、切替月だけ振込をお願いする形になった
  • 給湯器の設置年が分からず、故障時に保証期間内かどうか判断できなかった。結局、全戸分の設置年を現地で1台ずつ確認して回った
  • 過去に騒音でやりとりのあった住戸を知らないまま、新しい担当者が同じ内容の注意文を全戸に投函し、当事者間の関係が再燃した

これらはいずれも、引き継ぎが「悪意で不十分だった」というより、誰も聞かなかったから渡されなかっただけです。渡す側にとっては、聞かれなければ渡す理由がありません。

解約を伝える前に集めるべき理由

順番の話です。解約を伝えたあとの管理会社は、法的な義務の範囲でしか動かなくなることがあります。責めるような話ではなく、業務としては自然なことです。ですから、資料の取り寄せは解約の意思を伝える前に済ませておきます。

不自然に見えない頼み方はいくつもあります。「確定申告の資料をまとめたい」「保険の見直しをするので設備の設置年を知りたい」「相続の話が出ているので現況をそろえたい」。どれも大家さんとして自然な依頼です。実際、年に一度は棚卸しをしておいたほうがよい情報でもあります。

鍵はどこまで確認すればいいのか?

ここは業界の慣習と現場感覚が食い違うところです。一般には「鍵は管理会社に預けておけば安心」と言われます。しかし、鍵の本数を把握していない状態は、預けているのではなく、単に所在が分からなくなっているだけです。安心の根拠がどこにもありません。

確認するのは次の4点です。全戸分をまとめて一覧にしておくと、次の引き継ぎでも使えます。

  • 各住戸の鍵の総本数(入居者に渡した本数と、管理側の保管本数の内訳)
  • マスターキーの有無と保管場所
  • 共用部(オートロック・受水槽・電気室・ゴミ置場)の鍵の本数
  • 直近で入替を行った住戸と、その時期

退去時にシリンダーを交換する運用にしている物件でも、共用部の鍵は何年も替えていないことがよくあります。10年以上前の合鍵がどこかにある可能性を、まず数字として把握しておくという話です。

切替日の前後で決めておく3つの日付

引き継ぎの事故は、たいてい「日付の重なり」で起きます。次の3つを先に決めてしまうと、抜けが減ります。

決めること目安理由
鍵の物理的な受け渡し日切替日の前日まで切替日の緊急対応に穴を作らない
旧口座の閉鎖日切替日から2か月後案内を見落とした入居者の誤入金を拾う
緊急連絡先の切替時刻切替日の午前0時で統一両社が「相手の担当」と言う空白を作らない

特に3つ目は、書面に残しておくことをおすすめします。深夜のトラブルで15分連絡がつかないだけでも、入居者の記憶には長く残ります。全体の段取りはさいたま市で管理会社を変更する手順に、最初の確認事項は管理会社を変えたいと思ったときに、最初に確認する3つのことにまとめています。

なお、保証会社の契約承継の可否や、預り金の精算方法は契約条項によって扱いが異なります。金額の大きい部分ですので、条文の解釈に迷ったら弁護士など専門家にご確認ください。

まとめ

鍵・保証会社・入金口座。この3つを解約通知より前に押さえておけば、引き継ぎで大きく崩れることはまずありません。書類は後からでも請求できますが、担当者の頭の中にある情報は、関係が続いているうちにしか受け取れません。

さいたま市周辺で管理の引き継ぎを控えている方は、ご相談ください。引き継ぎ資料のチェックリストをお渡しするだけでもかまいません。

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