管理委託費の相場|地域と規模で何が変わるか

結論からお伝えすると、賃貸管理の管理委託費は家賃収入の3〜8%程度とされることが多く、なかでも5%前後を提示する会社が最もよく見られます。ただし、この数字だけを並べて比べても判断はほとんど進みません。同じ5%が、地域と規模と業務範囲によって中身がまったく違うからです。

ご存じの方も多いと思いますが、管理委託費に公定価格はありません。だからこそ「相場はいくらか」ではなく「その相場は何を含んだ値段か」を確認する作業が要ります。この記事では地域差と規模差に絞って整理します。5%という水準そのものが高いのか安いのかについては管理手数料5%は高いのかで扱っています。

先に、相場だけで決めた人の失敗から

3社から見積もりを取り、3%の会社を選んだ。ここまでは合理的な判断です。そのあとに起きたことが問題でした。

  • 3%には集金と送金までしか含まれておらず、入居者からのクレーム対応が1件ごとに5,000円の実費請求になった
  • 更新事務手数料が更新料の50%と別建てで、年間の総支払額では5%の会社を上回った
  • 退去立会いが有料オプションで、立会いを省いた結果、原状回復の負担区分で入居者ともめた
  • 担当者が1人で280戸を抱えていて、電話の折り返しに平均2日かかった

安い会社に問題があったわけではありません。%の数字と業務範囲を切り離して比べてしまっただけです。相場を調べる目的は、比較の前に「同じ土俵に乗っているか」を確かめることにあります。

地域で何が変わるか

地域差は、家賃水準そのものと、募集にかかる手間の量から生まれます。%の数字は地域が変わってもさほど動きませんが、%の元になる家賃が違うため、1戸あたりに使える人件費が変わります。

条件%の傾向なぜそうなるか
都心部・家賃が高いエリアやや低め(3〜5%程度)家賃8万円の5%は4,000円。%が低くても1戸あたりの金額を確保できる
郊外・家賃が低いエリアやや高め(5〜8%程度)家賃4万円の5%は2,000円。同じ手間で回収額が半分になる
管理会社が密集する地域下がりやすい競争があり、低い%を打ち出す会社が出る
会社が少ない地域・遠方上がりやすい移動時間そのものが原価になる

家賃4万円の部屋で5%なら、1戸から入る管理料は月2,000円です。この2,000円で、家賃の入金確認、送金、クレームの一次受け、退去の受付、募集の手配までを回すことになります。郊外の低家賃帯で「3%でやります」と言われたとき、真っ先に確認するのは業務範囲です。安いこと自体が悪いのではなく、1,200円で回せる範囲はどこまでかという話になるだけです。

規模で何が変わるか

もう一つの軸は、預ける戸数です。1棟20戸をまとめて預ける場合と、区分1戸だけを預ける場合では、会社側の手間の総量が違います。

預ける規模起きやすいこと
区分1戸・戸建1戸%が高めになるか、月額3,000〜5,000円程度の最低額が設定されることがある
1棟10〜20戸移動と巡回がまとめられるため、%を下げる交渉の余地が出やすい
複数棟・50戸以上3%前後の提示も出る。ただし担当者1人あたりの持ち戸数が増えていないか確認が必要

ここで一つ、業界の見方とは違うことを申し上げます。一般的には「相場より高ければ交渉、安ければお得」と言われます。ただ、実際に手取りへ効いているのは1%の差ではなく、担当者が何戸を抱えているかの差です。家賃50万円の物件で1%は月5,000円、年6万円。一方で空室が1か月延びれば、家賃4万円の部屋1室でも4万円が消えます。決まるまでの日数が10日変われば、1%の差は簡単に逆転します。

相場を調べたあと、何を聞けばいいのか?

管理委託費は、言い換えればその会社が1戸あたりにかけられる時間の値段です。同じ5%でも、担当者が100戸を持っているか300戸を持っているかで、あなたの物件に使われる時間はまったく違います。

面談では、%の交渉より先に次の3つを聞いてみてください。

  • 「あなたは何戸を担当されていますか」——1人で300戸を超えると、巡回の頻度は落ちやすくなります
  • 「5万円の修繕はあなたの判断で発注できますか」——決裁が上に上がる会社は、担当者が優秀でも判断が遅れます
  • 「経営者の方は、自分でも賃貸経営をされていますか」——していれば、空室が1か月延びることの重さを金額で知っている人が、社内の優先順位を決めているということです

そして、毎月届く報告書の実物を見せてもらうことです。%が安くても報告が来なければ、判断材料が手に入りません。見るべき箇所は管理会社の報告書は何を見ればいいかに整理してあります。

まとめ

相場は3〜8%程度、5%前後が多い。地域は家賃水準と移動距離で動き、規模はまとめやすさで動く。ここまでが相場の話です。そのうえで比較するときは、%を並べる前に業務範囲をそろえ、担当者1人あたりの持ち戸数を聞く。この順番にすると、数字の意味が変わって見えてきます。

なお、管理委託費の会計上の扱いや必要経費の考え方については、個別の事情で判断が分かれます。税理士に確認してください。

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