白い壁と茶色い床で埋もれていないか|大家が選ぶアクセントクロス1面の考え方

結論からお伝えすると、アクセントクロスは「部屋をおしゃれにする工事」ではなく「募集写真の1枚目を作る工事」です。全面をやり直すより判断がしやすく、量産クロスの範囲で収まることも多い。ただし面と色を間違えると逆効果で、次の退去のときに費用が増えることもあります。

退去後の空室に入ると、壁は白いクロス、床は茶色のクッションフロア、建具も茶色。壁際にクロスのロールが2本立てかけてある。10年前に撮った写真と並べても、どちらがどの部屋か分からない——そういう部屋が、同じ家賃帯に何十件も掲載されています。

白い部屋は、写真で区別がつかない

入居希望者は、まず一覧のサムネイルを親指でスクロールします。このとき全室が白い壁だと、並んだ写真のどれも同じに見えます。 部屋の広さや設備は、写真をタップして中に入らなければ分かりません。つまり、白い部屋は「悪い」のではなく「思い出してもらえない」のです。

アクセントクロスは、この一覧の中で1枚だけ色が違う状態を作ります。効くのは高級感ではなく、識別です。写真そのものの撮り方は写真を撮り直すだけで反響が増える理由募集写真は「実物より明るく」でいいにまとめています。色を変えるのは、撮り直しても差がつかなくなってからで十分です。

アクセントクロスで失敗しない4点。面を1つに絞る、色は床と建具に合わせる、品番を残す、翌日に撮り直すを示した図

どの面を変えるか

1面だけ変える場合、選ぶ面はほぼ決まります。

  • 玄関やドアを開けて、正面に見える面…内見でも写真でも、最初に目に入ります
  • 窓のない面…光の当たり方が一定なので、写真で色が転びません
  • ベッドやソファを置く前提の面…家具で隠れる面積を計算に入れられます

逆に避けたほうがよいのは、窓やエアコンで分断されている面と、凹凸や柱の多い面です。切り替えの線が増えて、まとまりのない見た目になります。職人の手間も増えます。

色は、床と建具に合わせる

色選びで失敗が多いのは、壁だけを見て決めてしまうことです。床が茶色、建具も茶色の部屋に寒色の濃い壁を入れると、三つの色がぶつかって落ち着きません。

  • 床と建具の色味に寄せる(茶系の部屋ならベージュ・グレージュ・くすんだ緑あたりが外しにくい)
  • 濃い色は面積で効きます。 6畳の1面でも、写真では想像より重く写ります
  • 大きな柄は流行が出ます。 数年後に「その時期の部屋」に見えることがあります

実物の小さな見本帳と、施工後の写真では印象が変わります。できれば同じクロスを使った施工例の写真を、職人か管理会社に見せてもらってください。

アクセントクロスの費用は、退去した入居者に請求できますか

一般的には、できないと考えてください。国土交通省の原状回復をめぐるガイドラインでは、経年変化や通常の使用でついた傷みを元に戻す費用は、賃料に含まれているという考え方が取られています。元の状態より良くする工事は、原状回復ではなく貸主側の投資にあたります。負担の分け方そのものは原状回復の費用は誰が払うのかをご覧ください。

会計上、修繕費として一度に経費にできるのか、資本的支出として何年かに分けるのかは、工事の内容と金額で判断が変わります。確定申告の扱いは、必ず税理士か税務署に確認してください。

先に知っておきたい、都合の悪いこと

  • 廃番になります。 数年後に同じ品番が手に入らず、1面だけ張り替えられなくなることがあります
  • 次の退去で費用が増える場合があります。 傷んだのがアクセント面だけでも、色を揃えるために結局2面や全面を張ることになります
  • 小面積は単価が上がりやすい。 1面だけの工事でも、養生・家具の移動・道具の出し入れにかかる手間は、部屋全体を張り替えるときと大きくは変わりません。そのため平方メートル単価で見ると割高になります。見積りは「1面でいくら」の形で出してもらい、部屋全体を張り替えたときの金額と並べて比べてください。差が小さいなら、はじめから全面を張り替えたほうが結果的に安く収まることもあります。
  • 継ぎ目が目立つことがあります。 白と濃色の境目は、下地の凹凸が影で出ます。仕上がりは下地の状態しだいです

6畳の部屋なら、壁1面はおおむね8平方メートル前後です。見積りを取るときは「1面だけの施工」と伝え、面積と手間を分けて書いてもらうと比較しやすくなります。見積書の読み方はクロスの張替え費用の目安と、見積書の見方にまとめています。

先に写真を撮り直す場合と、アクセントクロスを入れる場合の費用・日数・効果を並べて比べた図

やる前に決めておくこと

  1. 目的を1つに決める(写真で識別されること。内装の満足度は副産物です)
  2. 面を1つに決める(増やすほど失敗の幅が広がります)
  3. 品番を記録する(次の退去で同じものを探せるように、施工写真と一緒に残す)
  4. 工事の翌日に写真を撮り直し、掲載を差し替える

どこまで費用をかけてよいかは空室対策のリノベーションはどこまで投資すべきか、削ってよい場所と削ってはいけない場所は原状回復を安くする方法と、安くしてはいけない場所で扱っています。

まとめ

アクセントクロスは、少ない金額で写真の見え方を変えられる数少ない手です。ただし写真を撮り直していない部屋が先にやることではありません。 撮り直しても一覧で埋もれるとき、初めて色に手を出す。この順番を守るだけで、無駄な工事がかなり減ります。

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