大家が入れる団体にはどんなものがあるか|オーナー団体・大家の会・業界団体の違い

大家業には、同僚がいません。空室が3か月動かないとき、原状回復の見積りが妥当なのか分からないとき、相談できる相手が管理会社しかいない——これが、はじめて物件を持った人がぶつかる壁です。

結論からお伝えすると、大家さんが入れる団体は大きく3種類あり、それぞれ手に入るものが違います。「入っておいたほうがいいですか」という問いには一律に答えられません。何が欲しくて入るのかを先に決めてから選ぶ、という順番になります。

大家に関係する団体の3分類。オーナーの全国団体、地域の大家の会・勉強会、管理会社の業界団体。業界団体の正会員は管理業者であり大家が入る団体ではない。

大家さんに関係する団体は、この3種類に分かれる

1. オーナーの全国団体

賃貸住宅のオーナー自身が会員になる団体です。代表的なものに公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会(通称・ちんたい協会)があります。同協会の公式サイトによれば、全国104支部・会員数約18,864人(同協会サイト掲載の2024年3月末日現在の数値)で、入居者・家主への無料相談、住宅確保要配慮者への空き室情報の提供、賃貸住宅に関する調査研究を公益事業の柱としています。

入会は各都道府県の支部を通じて行う形が一般的です。会費や活動内容は支部によって異なるため、お住まいの都道府県の支部に直接確認するのが確実です。

2. 地域の大家の会・勉強会

有志が運営する任意団体です。規模も雰囲気も会によってまったく違います。月1回の勉強会と懇親会だけの会もあれば、物件見学や工事業者の紹介まで行う会もあります。

ここで得られるいちばんの実利は、他の大家さんが実際に払っている金額を聞けることです。クロスの張替えがいくらだったか、管理手数料は何%か、保証会社はどこを使っているか。ネットの記事では相場の幅までしか分かりませんが、同じ市内の大家さんの実額は判断の軸になります。

3. 業界団体(大家さんは対象外のことがある)

ここは誤解が生じやすい部分です。公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(日管協)は名前に「賃貸住宅」と入っていますが、同協会の公式サイトによれば正会員は国土交通省に賃貸住宅管理業の登録をしている(または目指す)管理業者で、特別会員はそれ以外の法人・個人のうち協会の事業に賛同し運営を支援する者とされています。つまり、個人の大家さんが「経営者として」入る団体ではありません。

ただし、管理会社を選ぶときには使えます。加盟している会社かどうかは、団体の会員検索で確認できます。管理会社の調べ方は管理会社の調べ方|看板と実態を見分けるにまとめています。

入ると、実際に何が手に入るのか

  • 相談窓口——トラブルが起きたときに、管理会社以外にも聞ける先ができます
  • 書式・ひな型——契約書や通知書の書式が用意されている場合があります
  • 他の大家さんの実額——工事費、管理手数料、保証料の相場感
  • 制度の情報——法改正や補助制度の案内が会報や勉強会で届きます
  • 職人・業者のつて——地域の会ほど、この情報が濃くなります

入っても意味がないのは、どんな場合か?

次のような場合は、会費に見合わない可能性があります。

  • 参加しない前提で入る場合——会報だけで終わるなら、得られる情報はネットと大きく変わりません
  • 物件が1棟で、当面買い増す予定がない場合——投資や規模拡大が主題の会だと話が合いません
  • すでに信頼できる管理会社がいて、相談先に困っていない場合——優先順位は下がります

都合の悪いことも書いておきます

  • 会費がかかります。年会費のほか、勉強会や懇親会に実費が必要な会もあります
  • 営業目的の集まりが混ざっています。大家の会を名乗りながら、実態は物件や商品の販売の場になっている集まりもあります。初回は見学だけにして、何かを売られる場面がないかを見てから決めるのが安全です
  • その会のやり方が正解とは限りません。物件の立地も築年も戸数も違えば、正しい判断も変わります。他人の成功例をそのまま持ち帰らないことです
  • 団体に入っても空室は埋まりません。手に入るのは判断材料であって、結果ではありません
団体に入る前に確認する5つのこと。年会費と実費、運営がオーナー主体か事業者主体か、会員の規模、物販や勧誘の有無、退会の条件。

入る前に確認する5つのこと

  1. 会費は年いくらか(入会金の有無、勉強会の実費も含めて)
  2. 運営は誰か(オーナー主体か、事業者主体か)
  3. 会員は何を持っている人か(1棟の人が多いのか、数十戸の人が多いのか)
  4. 物販・勧誘があるか(見学して確かめる)
  5. 退会の条件(年度途中で抜けられるか)

とくに2番目は効きます。誰がお金を出して運営しているかで、会で出てくる話の中身が決まります。

団体に入る前にできることもある

「相談先がない」という不安なら、団体に入る前に手元でできることもあります。管理会社との関係を整えるほうが早い場合もあるためです。報告書の読み方は管理会社の報告書は何を見ればいいか、担当者との付き合い方は面談で担当者に聞くべき7つの質問にまとめました。

自主管理を続けるかどうかで迷っている段階なら、自主管理でできること・できないこと自主管理の限界を、戸数と時間で見るのほうが先に読む価値があります。団体は、自分で決めるための材料を増やす場所であって、決めてくれる場所ではありません。材料を集めたうえで、続けるか手放すかという段階まで来た方にはもう続けられないと思ったときの選択肢も参考になります。

なお、各団体の会費・入会条件・活動内容は変更されることがあります。この記事は2026年8月時点で各団体が公表している内容をもとにした整理です。入会を検討する際は、必ず当該団体の公式サイトと支部の窓口で最新の条件をご確認ください。保険や共済の内容に関わる部分は、保険会社・共済団体への確認が必要です。

投稿者プロフィール

Follow me!

この記事の内容について、個別に相談したい方へ

さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。

相談する(お問い合わせフォーム)