管理会社の報告書は何を見ればいいか

結論からお伝えすると、管理会社から毎月届く報告書で見るべきは①入金の遅れが何日あったか、②空室が何日空いているか、③今月「動いた」記録があるかの3点です。入出金の合計額は、実は最後で構いません。合計だけを見て安心してしまうことが、報告書の一番もったいない読み方です。

ご存じの方も多いと思いますが、管理報告書に決まった様式はありません。会社ごとに項目も粒度も違います。だからこそ、何が書かれていないかを見る目が要ります。

報告書に載っている項目と、その意味

一般的な月次報告書には、次のような項目が並びます。それぞれ「何を確かめるための欄なのか」を整理します。

項目確かめること注意して見る点
入金明細誰から、いくら、いつ入ったか入金日が毎月ずれている住戸はないか
未入金・滞納一覧滞納の有無と月数「1か月」の表示が続いていないか
支出明細修繕・清掃・水道光熱の内訳同じ業者への少額の繰り返しがないか
送金額手元に入る金額控除項目の名目が分かるか
空室一覧どの部屋が何日空いているか空室日数の記載があるか
募集状況反響・内見・申込の件数そもそも欄があるか
対応履歴今月の問い合わせと処理「特になし」が3か月続いていないか

この表の下3行が入っていない報告書は、実務としては「お金の記録」であって「管理の記録」ではありません。そこが分かるだけでも、報告書の見え方が変わります。

先に、よくある失敗から

報告書の読み方でよくある行き違いを、先に挙げます。

  • 送金額が毎月ほぼ同じだったので安心していたら、1戸が半年前から滞納しており、保証会社からの代位弁済で埋まっていた。原契約の入居者はすでに連絡が取れなくなっていた
  • 支出欄の「共用部修繕」が毎月8千円から1万2千円で計上されていたが、内訳を聞いていなかった。1年で12万円になっていた
  • 空室が「募集中」とだけ書かれ続け、何日空いているのかを誰も数えていなかった。あとで数えたら217日だった
  • 入金日が毎月20日を過ぎる住戸が1戸あったが、金額は入っていたので気づかなかった。3か月後に滞納に転じた
  • 「対応履歴:特になし」が続いていたが、実際には入居者からの問い合わせがあり、記録されていなかっただけだった

4つ目は特に見落とされます。金額が合っていることと、健全であることは別です。滞納の前兆は、金額ではなく日付に出ます。

3分で終わる、毎月のチェック手順

時間をかける必要はありません。次の順番で見れば3分から5分で終わります。

  • 入金日の列だけを縦に見る。所定の期日より遅い住戸に印をつける
  • 空室の部屋番号と、空いている日数を確認する。日数の記載がなければ自分で数える
  • 支出の内訳のうち、5千円を超えるものの名目を読む
  • 対応履歴が空欄なら、その月の問い合わせが本当に0件だったかを次の連絡時に聞く
  • 最後に送金額を見る

これを12か月分そろえると、年間の傾向が出ます。空室日数の合計が年間で何日か、修繕費の合計が家賃収入の何%かという2つの数字が出るだけで、翌年の計画の立て方が変わります。修繕費は年間家賃収入の5%から10%程度を見ておくとよいと言われますが、築年数や設備の状況で大きく変わりますので、自分の物件の実績から出すのが確実です。

報告書が「きれい」なのは、いいことなのか?

ここで一つ、感覚に反することを書きます。問題が一つも書かれていない報告書は、優秀な管理の証拠ではありません。むしろ、現場を見ていないか、報告する仕組みがないかのどちらかである可能性が高いと考えたほうが安全です。

10戸のアパートで、1年間に入居者からの問い合わせが1件も発生しないということは、通常ありません。電球が切れる、宅配ボックスが開かない、隣の音が気になる、ゴミ出しの日を間違えた。細かいことは必ず起きています。それが報告書に上がってこないのは、現場で処理されて記録されていないか、そもそも受け付けていないかのどちらかです。

逆に、小さな対応まで書いてある報告書は読むのに時間がかかりますが、何かが起きたときの初動が速い会社であることが多いものです。読みにくさと管理の質は、必ずしも一致しません。

項目が足りないときは、追加を頼めるか

頼めます。既存のシステムの出力を変えられない会社もありますが、その場合でも「月次のメールに3行だけ書いてもらう」という形なら受けてもらえることが多いはずです。依頼するとよいのは次の3項目です。

追加してもらう項目書き方の例
空室の経過日数「103号室 空室62日目」
今月の反響・内見件数「反響4件、内見1件、申込0件」
入居者対応の件数と概要「2件。給湯器のリセット対応、駐輪場の整理依頼」

この依頼に対する反応そのものが、判断材料になります。すぐ対応してくれるか、できない理由を説明してくれるか、返事が来ないか。対応が遅いと感じたときの判断軸は管理会社の対応が遅い。改善を求めるか、変えるかの判断基準に整理しています。空室が長引いている場合は空室が3か月埋まらないときに見直す6つのポイントもあわせてご覧ください。

なお、報告書に記載された支出をどの科目で処理するか、修繕費と資本的支出のどちらにあたるかといった判断は、税務の領域になります。金額の大きい工事があった年は、税理士にご確認ください。

まとめ

入金の日付、空室の日数、今月動いた記録。この3つを毎月3分見るだけで、報告書は「届いて終わる紙」から「経営の記録」に変わります。足りない項目は頼めば増やせますし、その反応で会社の姿勢も見えます。合計額を確認するのは、その後で十分です。

さいたま市周辺で、いまの管理報告書の内容に物足りなさを感じている方は、ご相談ください。お手元の報告書を一緒に読むところからでもかまいません。

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