家賃を滞納された。最初の3日でやること

結論からお伝えすると、家賃を滞納されたときに最初の3日でやることは、①入金の事実関係を自分の目で確かめる、②家賃保証会社または連帯保証人へ所定の期限内に連絡する、③入居者本人へ記録の残る形で一度だけ連絡する、この3つだけです。それ以外のことは、この3日にはやらないほうがうまくいきます。

ご存じの方も多いと思いますが、滞納は初動で結果がほぼ決まります。厄介なのは、初動で「よかれと思ってやったこと」が、あとで自分の首を絞めるという点です。

先に、やってはいけない対応から

順番として、正解より先にこちらを置きます。腹が立っている状態で読むページだからです。以下は大家さん側が違法と判断されるおそれのある行為で、実際に損害賠償を求められた例が知られています。

やりがちな対応なぜ危険か
玄関の鍵を交換して入れなくする裁判所の手続を経ない実力行使。住居侵入や不法行為を問われるおそれ
合鍵で室内に入り、荷物を運び出す同上。器物損壊や窃盗を主張される余地も残る
玄関ドアに督促の貼り紙をする第三者に滞納の事実が伝わる。名誉毀損やプライバシー侵害を問われるおそれ
電気・水道・ガスを止める生活を止めて追い出す行為。違法とされる可能性が高い
深夜や早朝に何度も訪問・架電する執拗な取立てとみなされ、こちらが加害者側に立つ
勤務先や実家に取り立ての連絡をする連帯保証人でない相手への連絡はプライバシー侵害のおそれ

契約書に「滞納したら鍵を交換できる」と書いてあったとしても、その条項がそのまま有効になるとは限りません。法律上、権利があることと、自分の手で実行してよいことは別です。回収も明渡しも、最終的には裁判所の手続を通すのが原則になります。この判断は個別の事情に左右されるため、実行に移す前に必ず弁護士または司法書士へ相談してください。

1日目|入金を疑う前に、自分の記録を疑う

最初にやるのは連絡ではなく、確認です。滞納だと思ったものが滞納でなかったケースは、現場では珍しくありません。

  • 通帳の名義が入居者本人ではなく、親族名義や旧姓で入っていた
  • 入金日が土日祝に重なり、翌営業日にずれていた
  • 振込手数料の分だけ不足しており、消込のシステム上で未入金扱いになっていた
  • 管理を委託しているのに、送金明細の反映が翌月になっていた

入金がないことを確認したら、その入居者の過去12か月の入金日を並べてみてください。毎月きっちり25日に入っていた方が今回だけ遅れているのか、ここ数か月じわじわ遅れていたのか。これは対応の緊急度を決める、いちばん安い材料です。過去に一度も遅れがない方であれば、単純な入れ忘れや口座の残高不足であることが多くなります。

2日目|保証会社への報告期限は、思っているより短い

ここを落とすと、あとの手間がまるごと変わります。家賃保証会社の契約では、代位弁済を請求するための事故報告の期限が定められていることが一般的で、滞納発生から数日以内、あるいは当月内といった短い期間が設定されている商品もあります。期限を過ぎたことを理由に、保証の対象外とされる可能性があります。

状況2日目にやること
家賃保証会社に加入している契約書で報告期限と報告方法を確認し、期限内に報告する
連帯保証人がいるまず本人へ連絡。保証人への連絡は本人連絡の後に検討する
どちらもない本人連絡と記録に集中する。次の更新時に保証会社の加入を検討する
管理会社に委託している報告済みか、いつ誰が何をしたかを日付入りで出してもらう

委託しているのに一報がない、聞いても日付が出てこないという場合は、滞納だけの問題ではありません。判断の材料は管理会社の対応が遅い。改善を求めるか、変えるかの判断基準にまとめてあります。

3日目|本人への連絡は、何回すればいいのか?

この3日のあいだは、一度だけで十分です。回数を重ねるほど、こちらの立場は弱くなります。

連絡の中身は、責める言葉を入れないほうが回収は早くなります。「◯月分の家賃◯◯円の入金が確認できておりません。行き違いでしたら申し訳ありません。ご都合を一度お聞かせください」。これで足ります。手段は、電話がつながらなければショートメッセージか普通郵便で、送信日時か投函日を残しておきます。内容証明郵便は、この段階ではまだ早い場面が多いものです。

一般的には「滞納3か月で契約を解除できる」と言われますが、現場ではその数字を目安にしないほうが安全です。解除が認められるかどうかは、日数そのものではなく、貸主と借主の信頼関係が破壊されたと言える状況かどうかで判断されるという考え方が取られています。過去の入金状況、連絡への応答、金額の大きさ、そういった事情が総合的に見られます。3か月経てば自動的に出ていってもらえる、という制度ではありません。

逆に言えば、記録の残し方しだいで判断の材料は積み上がります。日付・手段・相手の反応をメモに残す。この一手間が、あとで弁護士に相談するときの時間と費用をそのまま削ります。

4日目以降の見取り図

経過やること
1週間本人と連絡が取れたなら、支払日を書面かメッセージで確認する
1か月保証会社の代位弁済の状況を確認。連絡が取れないなら訪問を検討
2か月専門家への相談を開始。費用感と手続の流れだけでも聞いておく
3か月解除・明渡しを含む手続の判断。ここからは自分だけで進めない

入居者を悪人と決めてかかると、この手順は全部飛びます。失職、入院、家族の事情。理由が分かれば、分割で払っていただいて退去は避ける、という着地もあります。空室にして募集し直せば、原状回復と募集の費用に加えて数か月の空室損が乗ります。回収と入居継続、どちらが得かは計算してみる価値があります。

まとめ

入金を確かめる。保証会社に期限内で報告する。本人に一度だけ連絡して記録を残す。3日でやるのはこれだけです。鍵・荷物・貼り紙には手を出さない。ここを守れているかどうかが、半年後の結果を分けます。

さいたま市周辺で滞納対応にお困りの方、賃貸管理の見直しをお考えの方は、ご相談ください。まだ管理を変えると決めていない段階で、初動の進め方だけをお伝えすることもできます。

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