家賃保証会社は入れるべきか|費用と守られる範囲

結論からお伝えすると、家賃保証会社は基本的に入れておくものです。ただし理由は「滞納が補填されるから」ではありません。滞納が起きたあとの回収と督促を、大家さんが自分でやらずに済むからです。ここを取り違えると、期待していた場面で守られません。

費用は誰が払うのか、どこまで守られるのか、連帯保証人とどう違うのか。順に整理します。

先に、期待外れになりやすい場面から

「保証会社に入っているから安心」と思っていたのに、いざというときに使えなかった。よくあるのは次のパターンです。

  • 滞納から2か月経ってから報告したところ、所定の報告期限を過ぎており対象外とされた
  • 補填の上限が家賃12か月分で、明渡しが長引いて13か月目以降が出なかった
  • 原状回復費は保証の対象に含まれておらず、退去後の20万円が自己負担になった
  • 入居者が更新料を保証会社に払っておらず、保証契約自体が切れていた
  • 訴訟費用まで見てもらえると思っていたが、商品によっては対象外だった

共通しているのは、契約書を読んでいなかったことです。保証会社の商品は各社で内容が大きく違います。加入時に必ず、報告期限・保証上限・対象費目・更新の管理方法の4点だけは確認してください。この4点は、あとから変えられません。

費用は誰が、いくら払うのか

費用負担は、一般的には入居者側です。大家さんの持ち出しがないため、導入のハードルは低くなります。

費目目安誰が払うか
初回保証料月額賃料の30%〜100%程度入居者
年間更新料1万円前後、または賃料の10%程度入居者
月額型の保証料賃料の1%〜2%程度を毎月入居者
大家さん側の費用原則なし(商品による)

金額は会社と商品、入居者の審査結果によって変わります。家賃6万円の部屋で初回保証料が50%なら3万円、年間更新料1万円という形が一つの例です。入居者から見れば、敷金礼金に加えてこの分が初期費用に乗ることになります。

ここが判断の分かれ目になります。初期費用が数万円上がれば、決まりにくくなる可能性があります。空室が長い物件では、その影響を無視できません。募集条件全体の中でどこを削るかという話は空室が3か月埋まらないときに見直す6つのポイントで整理しています。

守られる範囲と、守られない範囲

項目対象になりやすい商品により対象外のことがある
滞納した家賃・共益費◯(上限あり。12か月〜24か月分が一つの目安)上限を超えた分
駐車場代・水道代契約に含めていれば◯別契約にしていると対象外
更新料の滞納商品による
原状回復費対象外、または上限が低いことが多い
残置物の撤去費用特約が必要なことが多い
訴訟・明渡しの費用商品による上限や条件が付くことが多い
孤独死などの原状回復・空室損別の保険や特約の領域

表を見ていただくと分かるとおり、保証会社が守るのは主に「毎月入るはずのお金」であって、「退去のときに出ていくお金」ではありません。後者は火災保険の特約や、別の商品でカバーする領域になります。

連帯保証人がいれば、保証会社は要らないのか?

ここが一番よく聞かれるところです。結論から言うと、連帯保証人と保証会社は役割が違います。

比較連帯保証人家賃保証会社
お金の回収大家さんが自分で請求する会社が代位弁済し、以後は会社が回収する
督促の実務大家さん本人が行う会社が行う
相手の資力年月とともに変わる(退職・死亡)会社が継続して負う
入居審査大家さんの目で判断会社の審査が一段入る
費用なし入居者負担で発生

また、2020年4月に施行された改正民法により、個人が連帯保証人になる場合は極度額(上限額)を書面に定めていないと保証契約が無効になるという取り扱いになりました。古い書式のまま契約を続けていると、いざというときに保証が効かない可能性があります。手元の契約書に極度額の記載があるか、一度確認する価値があります。具体的な効力の判断は個別の事情によりますので、気になる場合は弁護士や司法書士に確認してください。

ここで、業界の常識をひとつ疑っておきます。保証会社は「滞納リスクに備える保険」だと説明されますが、大家さんにとっての本当の価値は、督促という一番つらい仕事を外に出せることのほうです。お金は連帯保証人からも回収できるかもしれません。しかし、電話をかけ、断られ、また電話をかける。この時間と精神的な消耗は、誰も代わってくれません。自主管理をされている方ほど、ここの負担が効いてきます。

入れるときに決めておく3つのこと

  • 報告期限を控えておく。滞納発生から数日以内という商品もあります。カレンダーに入れておくレベルで管理する
  • 更新の管理を誰がするかを決める。入居者任せにすると失効します。管理会社に委託しているなら、更新確認が業務に含まれているかを確認する
  • 連帯保証人と併用するかを決める。併用を条件にすると審査は通りやすくなりますが、入居者の負担は上がります

なお、保証会社に入っていても、督促のやり方に問題があれば大家さん側の責任が問われることがあります。鍵の交換、荷物の撤去、玄関への貼り紙といった自力での実力行使は、保証の有無にかかわらず違法と判断されるおそれがあります。回収は会社に任せ、判断が必要な局面は専門家に相談する。この線を守ってください。

まとめ

費用は入居者負担、大家さんの持ち出しは原則なし。守られるのは家賃であって原状回復費ではない。連帯保証人の代わりではなく、督促の実務を外に出す仕組み。この3点を押さえたうえで、報告期限と更新の管理だけ落とさなければ、入れておいて損のない仕組みです。

さいたま市周辺で、保証会社の見直しや滞納対応にお困りの大家さんは、ご相談ください。管理を変えると決めていない段階でも、いまの契約内容の見方だけをお伝えすることもできます。

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