退去立会いで確認すべき場所と、写真の撮り方

結論からお伝えすると、退去立会いでやるべきことは①決まった順路で室内を一周する、②傷や汚れを「引き・寄り・スケール」の3枚で記録する、③その場で金額を口にしない、この3つです。逆に言えば、この3つさえ守れば、立会いは30分から40分で終わります。

ご存じの方も多いと思いますが、退去精算でこじれる案件のほとんどは、金額の高さではなく「その傷がいつからあったのか分からない」ことが原因です。立会いは金額を決める場ではなく、あとで説明できる材料をそろえる場だと考えると、やることがはっきりします。

先に、よくある失敗から

立会いそのものは行っているのに、あとで役に立たなかった、という例が繰り返し起きています。

  • 写真は撮ったが、部屋全体の引きの写真ばかりで、傷の大きさが判別できなかった
  • まだ家具が残っている状態で立会いをしてしまい、家具の裏の床とクロスを確認できていなかった
  • その場で「クロスは全部張替えなので5万円くらいですね」と口走り、後日の見積もりが8万円になって話がこじれた
  • 入居時の写真がなく、比較対象がないまま退去時の写真だけが残った
  • 立会いの記録に入居者の署名をもらい忘れ、後から「そんな説明は受けていない」となった

いずれも、立会いを「見に行く作業」だと思っていることが原因です。見に行くのではなく、記録を作りに行きます。

回る順番を決めておく

順路を決めていないと、必ずどこかを飛ばします。玄関から入って時計回りに一周し、最後にバルコニーと設備、という型で固定してしまうのが確実です。

場所特に見る点見落としやすいところ
玄関・下駄箱鍵の本数、たたきの汚れ、扉の開閉下駄箱内部の棚板の反り
居室の床家具跡、へこみ、深い傷、色の差ベッドの脚があった4点、窓際の日焼け
壁・天井穴の数と種類、ヤニ、シミエアコン背面、カーテンレール上部
キッチンコンロ周りの油、シンク下、換気扇吊戸棚の天板、冷蔵庫置き場の壁
浴室・洗面カビ、パッキン、鏡のウロコ浴室扉の下部、洗濯機置き場の床
トイレ便器の状態、床の変色便器の背面と床の接地部
設備エアコンの動作、給湯器のリモコン、火災警報器製造年のシールを撮っておく
バルコニー排水口、物置きの有無、手すり残置物の確認

ワンルームで写真は40枚から60枚が目安になります。多すぎると感じるかもしれませんが、あとから1枚足りないほうが痛い、というのが現場の感覚です。

写真の撮り方には型がある

気になった箇所を見つけたら、必ず3枚セットで撮ります。この型を守るだけで、写真の価値がまったく変わります。

  • 引き:部屋のどこにあるのかが分かるように、扉や窓を画角に入れて撮る
  • 寄り:傷そのものが分かるように近づいて撮る
  • スケール:メジャーや硬貨を横に置き、大きさが分かるように撮る

スマートフォンの日付情報は自動で記録されますが、印刷して渡すときには消えます。撮影日を書いたメモを画角の隅に写し込んでおくと確実です。撮影後は物件名と退去日を付けたフォルダにまとめ、クラウドに保存します。クロスの耐用年数が6年とされていることを考えると、写真は最低でも6年は残しておくのが理にかなっています。

立会いに大家さん本人が行くべきか?

一般的には「立会いはできるだけ時間をかけて念入りに」と言われます。ただ、現場の感覚はむしろ逆で、長い立会いほど揉めています。時間が延びるのは、その場で交渉が始まってしまっているからです。淡々と記録して30分で終わった立会いは、あとから問題になりません。

そのうえで、本人が行くべきかどうかは物件との距離と物件数で決まります。

状況向いている進め方
片道1時間以内・年間の退去が数件本人が立ち会い、記録も自分で取る
遠方・退去が年10件以上管理会社に任せ、写真データと記録表の提出を必須にする
入居者との関係が既にこじれている本人は同席せず、第三者が記録する形にする

任せる場合でも、写真の提出を求めないまま請求書だけを受け取っている状態は避けたいところです。写真が出てこない、内訳を聞いても返事が来ないという状態が続くなら、それは立会いの問題ではありません。判断の材料は管理会社の対応が遅い。改善を求めるか、変えるかの判断基準にまとめています。

その場で金額を言わない

立会いの場で入居者から必ず聞かれるのが「いくらになりますか」です。ここで概算を答えてしまうと、その数字が約束として一人歩きします。「見積もりを取ってから、内訳をつけて書面でお送りします」で通してください。目安として、退去日から精算書の送付までは7日から10日を見ておくと現実的です。

なお、どの部分が借主の負担になるかという線引きは、契約内容と使用状況によって変わります。判断に迷う場合は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方を確認したうえで、必要に応じて専門家に相談するのが安全です。

まとめ

順路を固定する。3枚セットで撮る。金額は口にしない。この3つを守れば、立会いは短く終わり、あとの精算も静かに進みます。日程は退去日の2週間前には押さえ、家具の搬出が終わった状態で行うのが理想です。

さいたま市周辺で、退去立会いや精算の進め方について相談先をお探しでしたら、ご連絡ください。管理を任せるかどうかを決めていない段階でもかまいません。

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