管理会社は会社で選ぶな|対応の差は担当者から生まれる

結論からお伝えすると、管理の質を決めているのは会社の名前ではなく、その物件を実際に担当する1人の人間です。ただし、そこで話を終えると選べません。もう一段先まで踏み込むと、担当者の当たり外れは、本人の熱意ではなく会社の仕組みで決まります。見るべき仕組みは3つ、担当戸数と、決裁の範囲と、判断基準を誰が決めているかです。

すでに複数の管理会社と付き合ったことのある大家さんなら、同じ会社でも担当者が替わった前後で対応がまるで変わる場面を経験されているかと思います。この記事は、その感覚を面談の場で確かめられる形に整理したものです。

契約するのは会社、動くのは1人

管理委託契約は会社と結びます。けれども、退去の連絡を入れてくるのも、業者に見積もりを依頼するのも、募集条件の相談に来るのも、担当者1人です。会社の規模が大きくても、その1人が手を動かさなければ物件は動きません。管理戸数1万戸の会社と500戸の会社を並べても、目の前の担当者が何戸持っているかは、会社案内からは分かりません。

先に、よくある失敗から

会社の規模や知名度だけで決めたときに、実際に起きやすいことを並べます。

  • 面談に来たのは支店長で、契約後に付いた担当者は入社2年目。募集の相談をしても判断が返ってこない
  • 入居者からの水漏れの一次連絡はコールセンターが受けるが、業者手配の決定は担当者待ちで、着手が翌営業日になった
  • 10万円の給湯器交換に社内決裁が必要で、見積もり提出から発注まで6日かかった
  • 担当者1人が200戸超を持っており、退去が重なる2月から3月は折り返しの電話が2日後になる

いずれも、その会社が悪い会社だったという話ではありません。確認すべき相手を確認していなかっただけです。

担当戸数を聞くと、対応速度がだいたい読める

仕組みの一つめが、担当戸数です。担当者1人あたりの受け持ちは、業界では一般に100戸から300戸程度という幅で語られます。会社の方針や物件の種類、事務スタッフの人数によって変わるため、これは正確な基準ではなく目安として見てください。それでも、数字を聞くこと自体に意味があります。

担当戸数(目安)起きやすいこと
100戸前後物件ごとの事情を覚えている。現地に足を運ぶ余裕がある
150〜200戸通常時は回るが、繁忙期と退去集中期に返信が遅れやすい
250戸以上緊急対応が優先され、空室の募集条件の見直しが後回しになりやすい

戸数が多い担当者が能力が低いわけではありません。むしろ処理能力が高い人にこそ物件が集まります。問題は、時間の総量が有限であるという一点だけです。

数字を聞くのは失礼ではありません。はぐらかされた場合は、その反応自体が情報になります。対応の遅さをどう扱うかは管理会社の対応が遅い。改善を求めるか、変えるかの判断基準で整理しています。

当たり外れは、熱意ではなく仕組みで決まる

二つめの変数が、社内の決裁ルートです。修繕の発注、家賃の減額交渉、フリーレントの設定。これらを担当者が自分で決められるのか、上司の承認が必要なのか、本部に上がるのかで、着手までの日数は変わります。

たとえば5万円の水栓交換を、担当者の判断で当日発注できる会社と、稟議を回して3営業日かかる会社があります。金額はどちらも5万円です。違うのは、入居者が不便を我慢する日数と、大家さんへの評価です。面談では金額を出して、「5万円の修繕は、あなたの判断で発注できますか」と聞くのが確実です。

そして三つめが、いちばん見落とされるところです。その会社の判断基準を、誰が決めているのか。担当者は、渡された基準の中で動きます。空室が続いたときに「もう少し様子を見る」のか「今月中に条件を見直す」のかは、担当者の性格ではなく、社内で共有されている優先順位の問題です。

だから面談では、担当者本人のことだけでなく、会社の側もこう聞いてみてください。「経営者の方は、自分でも賃貸経営をされていますか」。

経営者が自分で賃貸経営をしていると、社内の判断基準が大家の側から作られます。空室が1か月延びると手元からいくら消えるのかを、経営者が金額で知っているからです。家賃8万円の部屋が1か月空けば8万円、3室で3か月なら72万円。返済がある物件なら、その期間は現金が減り続ける期間でもあります。この金額感が上から下りてくると、現場の優先順位が変わります。担当者が特別なのではなく、渡されている基準が違うのです。

経営者が賃貸経営をしていない会社が劣るという話ではありません。確認したいのは肩書きではなく、その基準が大家さんの損得から組まれているかどうかです。良い担当者を運で引くより、この一点を聞くほうが確実です。

では、会社の規模は見なくていいのか?

見る必要はあります。ただし見る項目が違います。会社に対して確認するのは体制と継続性で、担当者に対して確認するのは実務です。

会社に確認すること担当者に確認すること
賃貸住宅管理業の登録があるか受け持っている戸数
家賃の送金日と明細の形式いくらまで自分の判断で発注できるか
夜間・休日の一次受付の体制担当した物件で入居まで何日かかっているか
担当者が不在のときの代理の仕組み物件の履歴を社内のどこに残しているか
経営者が自分でも賃貸経営をしているか空室が続いたときに何日目で条件を見直すか

経営者について聞く項目を会社側に置いてあるのは、判断基準が担当者個人ではなく会社がつくるものだからです。

業界でよく言われることにも触れておきます。「大手のほうが安心」という前提は、現場では成り立たないことがあります。組織が大きくなるほど1人が抱える戸数と決裁の段数は増えやすく、動きが鈍くなる方向に働くためです。もちろん逆もあります。だからこそ、看板ではなく仕組みを見ます。

まとめ

会社案内で比べるのをやめて、数字を聞く。担当戸数、決裁できる金額、そして判断基準を誰が決めているか。この3つだけでも、契約後の対応速度はかなり予測できます。手数料の高低で迷っている段階の方は管理手数料5%は高いのかも併せてご覧ください。料金表より先に、誰がどんな基準で動くのかを見たほうが結果に近づきます。

さいたま市周辺で賃貸管理の見直しを検討されている方は、ご相談ください。変えると決めていない段階でも、面談で何を聞くべきかの整理からお手伝いできます。

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