自主管理は本当に「やばい」のか|向く人と向かない人

結論からお伝えすると、自主管理そのものが「やばい」わけではありません。やばくなるのは、戸数・物件までの距離・自分が使える時間、この3つに合っていない管理の仕方を続けたときです。条件が合っていれば、自主管理は10年でも20年でも成り立ちます。実際に、10戸前後を20年以上ご自身で回している大家さんは珍しくありません。

ご存じのとおり、検索では「自主管理 やばい」という言葉が実際に打ち込まれています。その不安の中身を分解していくと、ほとんどが「何かが起きたときに、自分がその時間に動けるのか」という一点に集まります。ここを数字で見えるようにしておけば、不安のままにしておく必要はなくなります。

先に、よくある失敗から

自主管理でつまずいた場面として、次のようなことがよく挙がります。

  • 平日の日中に本業の電話が優先で、給湯器の故障連絡から業者手配まで4日かかった
  • 家賃の入金確認を月末にまとめて行っていたため、滞納に気づいたのが翌月の中旬になった
  • 更新の案内を出し忘れ、契約が自動で継続する状態のまま2年が過ぎていた
  • 退去の立会いに行けず、原状回復の負担区分を写真のないまま話し合うことになった
  • 入居者の携帯番号しか持っておらず、連絡が取れなくなった時点で打つ手がなくなった

並べてみると分かりますが、どれも知識が足りなかった話ではありません。動ける時間が足りなかった話です。ここが「やばい」と言われるものの正体です。

「やばい」と言われる4つの理由を、分解してみる

不安として語られるものは、だいたい4つに整理できます。そのうちいくつが、お金や仕組みで埋められるものかを見てみます。

言われること実際に起きること埋める手段はあるか
緊急対応ができない深夜の漏水、鍵の紛失、停電24時間の受付サービスと個別契約すれば一次受けは任せられる。1戸あたり月数百円の水準から
滞納の督促が甘くなる顔を知っている相手に催促しにくい家賃保証会社を入れれば督促と立替の窓口が移る
契約書に不備が出る特約の抜け、更新の失念ひな型を一度専門家に確認してもらえば以後は使える
空室が長引く募集の窓口が自分の手の届く範囲に限られる仲介会社へ募集だけを依頼できる

4つのうち3つは、外部の仕組みを買えば埋まります。埋められないのは1つ目の「その時間に自分が動けるか」という部分だけです。しかもこれも、一次受けだけなら委託できます。残るのは、判断と支払いの決定という大家さんにしかできない部分です。

向く人と向かない人は、条件で分かれる

性格や熱意の話ではありません。次の5つの条件のうち、いくつが当てはまるかで見ます。

条件向いている無理が出やすい
物件までの距離片道30分以内片道1時間半超、または公共交通のみ
戸数1〜6戸10戸超、または複数棟に分散
平日日中の連絡30分以内に折り返せる夕方まで電話に出られない
月に使える時間10時間以上2時間程度
不在時の代わり家族や近隣に動ける人がいる自分ひとり

右の列が3つ以上付くようなら、いま無事なのは運の要素が大きいと考えたほうが安全です。逆に左の列が4つ以上付くのであれば、委託に切り替える理由はとくにありません。家賃の合計が月50万円で管理手数料が5%なら年30万円。この金額を自分の手で置き換えられているということです。

では、何戸までなら自主管理でやれるのか?

一般的には「10戸を超えたら委託」と言われます。ただ、現場の感覚は少し違います。自主管理の限界を決めているのは戸数ではなく、1年に何件の退去が出るかです。入居中の部屋は、驚くほど手がかかりません。手がかかるのは退去したときだけです。

退去の立会いから、見積の確認、工事の手配、写真の撮影、募集条件の見直し、鍵の交換まで数えると、1件あたり10時間から20時間ほどかかります。仮に年間の退去が全戸の4分の1程度だとすると、6戸なら年1〜2件で、月あたりに直せば2時間前後。20戸なら年5件前後で、月に7〜8時間になります。ここに突発の修繕が重なる月が、年に何回あるかという話です。

戸数と時間の関係をもう少し細かく見たい場合は、自主管理から管理委託に切り替えるタイミングで判断の目安を整理しています。滞納が起きたときの初動については家賃を滞納された。最初の3日でやることをご覧ください。自主管理でも委託でも、最初の3日の動きは同じです。

まとめ

自主管理は成り立ちます。ただし成り立つ条件があり、その条件は戸数・距離・使える時間・不在時に動ける人がいるかどうかで決まります。条件が合っているうちは続ければよく、崩れてきたら一部だけ外に出す、それでも足りなければ全部を委託する。順番はこれだけです。

もし委託の検討に入るなら、会社の規模や知名度ではなく担当者を見てください。面談の場で「あなたは何戸を担当されていますか」「5万円の修繕はご自身の判断で発注できますか」「経営者の方は、自分でも賃貸経営をされていますか」と聞いてみると、返ってくる答えで対応の見通しがだいたい立ちます。3つ目を聞く理由は、担当者が特別かどうかではなく、社内で渡されている判断の基準がどこから作られているかを知るためです。経営者自身が家賃とローンの間で判断している会社では、空室が1か月延びることの重さが金額で共有されています。

なお、契約書の文言や原状回復の負担区分の解釈は個別の事情によります。金額が大きいときや書き方が曖昧なときは、弁護士など専門家に条文そのものを見てもらってください。

さいたま市周辺で自主管理を続けるかどうか迷っていらっしゃる方は、ご相談ください。委託すると決めていない段階でも、いまの体制で何年もつかを一緒に数えるだけでもかまいません。

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