水道を子メーターで検針して請求してよいのか|大家が確かめる検定証印と8年の期限

メーターボックスの扉を開けると、水道のメーターが4つ並んでいました。ガラスの表示面の下に、小さな刻印があります。「27-10」。有効期間が満了する年月です。平成27年10月、つまり2015年10月で切れています。並びの右端だけ「34-3」でした。こちらは平成34年3月、2022年3月が満了です。6年半ほど離れた2つが、どちらも期限を過ぎたまま、同じ建物で同じように検針されていました。

結論からお伝えすると、子メーターで計った量に応じて水道代を請求するなら、そのメーターは検定証印が付いていて、かつ有効期間内でなければなりません。水道メーターの有効期間は8年です。根拠は計量法第16条第1項で、違反には第172条第1号で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。冒頭の「27-10」のメーターは、その年月が満了の時期ですから、すでに期限を過ぎています。

子メーターで水道代を請求する前に見る4か所。検定証印の刻印、水道メーターの8年という有効期間、口径350ミリ以下かどうか、はかった量で請求しているかを示した図

子メーターとは、大家が自分で付けたメーターのことです

建物の入口には、水道局が付けた親メーターがあります。水道局はここを検針して、建物1本分の水道料金を請求します。これに対して、各室に大家や管理会社が自分で取り付け、部屋ごとの使用量を出すために使うものが子メーターです。

東京都の消費生活部門は子メーターを「貸しビル・マンション・寮などで管理者と入居者との間で光熱水費の配分に使用されている計量器」と説明し、「未検定品や有効期間の切れたものを料金精算に使用することはできません」と書いています(出典:東京都「子メーターって知っていますか?」東京くらしWEB)。

親メーターは水道局のものですから、期限の管理も水道局がやります。子メーターは大家のものなので、期限の管理も大家がやります。ここが分かれ目です。

なぜ「取引」になるのか

計量法第2条第2項は、この法律でいう「取引」を次のように決めています。

この法律において「取引」とは、有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為をいい(計量法第2条第2項)

入居者に水道代を請求するのは、業務上の行為として役務の給付の対価を計算する行為です。だから取引に当たります。そして第16条第1項は、取引または証明における計量に、検定証印が付いた特定計量器以外のものを使ってはならないと定めています。同じ項の第3号で、検定証印はあるが有効期間を過ぎたものも、同じく使えません。

水道メーターが「特定計量器」に入るのは、計量法施行令第2条第5号イ(1)で「水道メーターのうち、口径が三百五十ミリメートル以下のもの」と名指しされているためです。アパートの各室に付いているのは13ミリか20ミリですから、まず全部これに入ります。

有効期間はどこに書いてあるのか

計量法第72条第2項が「政令で定める期間」とし、計量法施行令第18条が別表第三に飛ばします。別表第三の第2号イに、こうあります。

積算体積計 イ 水道メーター 八年(計量法施行令別表第三)

同じ表で、温水メーターも8年、ガスメーターは条件により10年または7年か4年、定格電圧300ボルト以下の電力量計は10年です。建物に付いているメーターの期限は、種類ごとに違います。水道だけ8年で、電気は10年なので、同じ年に付けても切れる年がずれます。

刻印の読み方は、検定証印に表示された「年-月」です。計量法第72条第2項は「その満了の年月を検定証印に表示するものとする」と書いていますので、表示されている年月が満了の時期にあたります。表示の形式はメーカーや年代で違うため、読み取れないときは水道局ではなく、メーターを売った計量器店か、都道府県の計量検定所に確かめるのが早いです。

使った量で請求する場合と、定額や家賃込みにする場合の比較。前者は計量法第16条第1項がかかり検定証印つきのメーターと8年ごとの取替えが要り、後者は対象外になることを示した図

定額で取るなら、計量法はかかりません

ここが実務でいちばん効くところです。計量法が縛っているのは「計量に使用すること」であって、水道代を入居者から取ること自体ではありません。

したがって、家賃に水道代を含める、あるいは月2,000円のように定額で取る形にすれば、そもそも計量していないので、第16条第1項の話になりません。子メーターを付けていても、それを請求根拠に使わず、単なる使用状況の把握に使っているだけなら同じです。

ただし定額にすると、使わない人からも同額を取ることになります。単身で月3立方メートルの人と、3人世帯で月15立方メートルの人が同じ金額になるため、少ないほうから苦情が出ます。計量法を避けるために定額にすると、別の種類のもめごとを買うことになります。どちらが自分の建物に合うかは、部屋の広さと入居者層で決まります。

都合の悪いことも書いておきます

8年ごとにメーターを取り替える費用は、大家が負担します。水道局の親メーターは水道局が無償で替えていきますが、子メーターにその仕組みはありません。取替えは1個あたり数千円から、止水栓の状況によってはもう少しかかります。10戸あれば8年に1度、まとまった支出が立ちます。

また、期限切れのメーターで請求を続けていたことが分かった場合、過去にさかのぼって返金を求められる可能性があります。返金の当否は、実際に誤差が出ていたかどうかや契約の内容によりますので、争いになったときは弁護士に確認してください。計量法の側の問題と、入居者との民事の問題は、別々に立ちます。

なお、受水槽の有効容量が10立方メートルを超える建物は、水道法上の簡易専用水道に当たり、1年以内ごとに1回の検査が別に義務づけられています。メーターの話とは別の制度ですので、両方を年間予定に入れておくと漏れません。年間の期限は賃貸経営の1年は何月に何が来るかに並べてあります。

今日できること

メーターボックスを開けて、各室のメーターの刻印を写真に撮ってください。表示されている年月が満了の時期ですから、いま何年何月かと比べるだけです。8年を足す必要はありません。過ぎている部屋が1つでもあれば、請求の根拠が崩れている状態です。

電気の子メーターを使っている建物なら、同じ日に電気も見ておくと二度手間になりません。共用部の電気はアパートの共用部の電気代は10月からどうなるかで、止められる範囲は空室の光熱費は止めれば消えるのかに書いています。

出典

計量法(平成4年法律第51号)第2条第2項・第4項、第16条第1項、第72条第2項、第172条第1号、計量法施行令(平成5年政令第329号)第2条第5号、第18条、別表第三(いずれもe-Gov法令検索で2026年9月22日に現行条文を確認)。東京都「子メーターって知っていますか?」(東京くらしWEB、2026年9月22日閲覧)。水道法(昭和32年法律第177号)第34条の2。

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