サブリース(一括借上)から管理委託に切り替えるときの注意点
結論からお伝えすると、サブリース(一括借上)から管理委託への切り替えで最初に確認すべきは、①解約に関する条項と予告期間、②入居者との契約が誰と誰の間にあるか、③敷金と保証金の精算方法の3点です。手取りの比較より先に、この3つです。順番を逆にすると、想定していた収入増が実現しないまま話だけが進みます。
ご存じの方も多いと思いますが、サブリースでは大家さんとサブリース会社の間に賃貸借契約があり、サブリース会社と入居者の間にもう一つ契約があります。二段構えです。この構造が、切り替えの難しさをそのまま作っています。
手取りはどのくらい変わるのか
まず金額の感覚から整理します。サブリースの借上げ賃料は、満室想定家賃の80%から90%に設定されるのが一般的です。管理委託に切り替えると、手数料は5%前後になりますが、空室の分は収入が入りません。
| 前提:満室想定家賃 月60万円 | サブリース(借上85%) | 管理委託(手数料5%) |
|---|---|---|
| 入居率100%のとき | 51万円 | 57万円 |
| 入居率90%のとき | 51万円 | 51万3千円 |
| 入居率85%のとき | 51万円 | 48万4千5百円 |
| 入居率80%のとき | 51万円 | 45万6千円 |
この条件だと、分岐点は入居率90%前後です。実際にはこれに加えて、サブリースでは会社が負担していた原状回復費や広告料を大家さんが負担するようになる場合があります。逆に、更新料や礼金が大家さんの収入になる場合もあります。負担と収入が両方入れ替わるので、片方だけ見て計算すると必ず外れます。
先に、よくある失敗から
切り替えの相談でよく聞く行き違いを、先に並べます。
- 解約を申し出たが、契約書に「借主からの解約は6か月前予告、貸主からの解約は協議のうえ」と書かれており、そもそも申し出だけでは終わらなかった
- 入居者の情報(氏名・契約条件・敷金の額)を持っておらず、切り替えの計画が立てられなかった。サブリースでは入居者の契約相手はサブリース会社であるため、大家さんの手元に写しがないことがある
- 入居率が実は78%だったことを切り替え後に知った。借上げ賃料は満室想定に対する率なので、実際の稼働は見えていなかった
- 敷金の引き継ぎ額が想定より少なく、退去精算の原資が不足した
- 賃料の減額改定を通知され、それを機に解約を決めたが、減額と解約は別の話として進める必要があった
2つ目と3つ目は同じ根を持っています。サブリースは手間がかからない代わりに、自分の物件の実態が見えなくなるという性質があります。
解約はそもそも簡単に通るのか?
ここが最大の論点です。一般には「契約書に書いてある予告期間を守れば解約できる」と考えられがちです。ただ、サブリース契約では、大家さんが「貸主」、サブリース会社が「借主」です。借主を守るための法律の考え方が、大家さん側の解約に対して働く場面があります。普段の賃貸経営とは立場が逆転している、ということです。
実務上は、話し合いで合意解約に至る例も多くあります。一方で、条件面で折り合わず時間がかかる例もあります。どちらになるかは契約書の文言と個別の事情によりますので、ここで断定的なことは書けません。解約の可否や条件については、必ず契約書を持って弁護士など専門家に相談してください。国土交通省が公表しているサブリース関連の資料も、あわせて確認しておくとよいと思います。
なお、2020年に施行された賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、サブリース契約の締結前には重要事項の説明が義務づけられています。近年に契約した物件であれば、そのときの説明書面が手元にあるはずです。まずそこを探してください。
切り替え前にそろえておく資料
解約の話を始める前に、次の資料を請求しておきます。合意解約になった場合でも、これがないと引き継ぎ日を決められません。
| 資料 | 使いみち |
|---|---|
| サブリース契約書と重要事項説明書 | 解約条項・賃料改定条項の確認 |
| 入居者一覧(氏名・契約期間・賃料・敷金) | 切替後の収支計算と契約承継 |
| 直近2年の入居率の推移 | 管理委託に切り替えた場合の試算 |
| 敷金・保証金の預り残高 | 精算額の確認 |
| 家賃保証会社の利用状況 | 承継できるかの確認 |
| 原状回復・修繕の負担区分の取り決め | 切替後に誰が払うかの整理 |
| 鍵の本数と保管場所 | 引き継ぎ当日の段取り |
原状回復の負担区分については、国土交通省のガイドラインが判断の出発点になりますが、個別の契約でどう定められているかが優先される場面もあります。金額が大きい案件では専門家への確認をおすすめします。
切り替え後にやることは、意外と多い
サブリースの間は、入居者との接点がほぼありませんでした。切り替えると、貸主として直接の当事者に戻ります。入居者への通知、家賃の振込先変更、緊急連絡先の周知。ここは通常の管理会社変更と同じ段取りで進められます。さいたま市で管理会社を変更する手順が、そのまま使えます。
加えて、サブリース特有の作業として、入居者との契約を大家さん名義に整える手続きがあります。ここは契約形態によって扱いが分かれるところですので、新しい管理会社と、必要に応じて専門家を交えて進めてください。
まとめ
解約条項、入居者情報、敷金精算。この3つを押さえてから、手取りの試算をする。順番はこれです。入居率90%を超えて回せる物件なら数字は改善しますが、そこは物件と募集力の話であって、切り替えれば自動的に増えるものではありません。まず実態の入居率を知ることから始めてください。
さいたま市周辺でサブリースからの切り替えを検討されている方は、ご相談ください。契約書を見ながら試算を並べるところからでもかまいません。
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