賃貸経営の1年は何月に何が来るか|さいたま市の大家が押さえる納期と期限

結論からお伝えすると、賃貸経営の1年でいちばん資金繰りを狂わせるのは、家賃の入り方ではなく「思っていた月に来ない支払い」です。固定資産税は4月に来ると覚えている人が多いのですが、さいたま市の令和8年度の納税通知書は5月1日発送、第1期の納期限は6月1日です。そして1月31日には、多くの大家さんが存在を知らない申告の期限が来ます。償却資産の申告です。

4月に納税資金を口座に残しておいたのに、封筒は連休が明けても届かない。5月の連休明けにようやく届いて、開けると納付書が4枚。第1期の納期限は6月1日、最後の第4期は令和9年3月1日。年をまたぐ——ここで、翌年の確定申告の資料と混ざり始めます。

大家に毎年くる5つの期限を並べた図。償却資産の申告は1月31日、確定申告は2月16日から3月15日、青色申告の申請も3月15日、さいたま市の固定資産税1期は6月1日、個人事業税は8月と11月。

固定資産税は、4月に来るとは限りません

地方税法第362条第1項は、「固定資産税の納期は、四月、七月、十二月及び二月中において、当該市町村の条例で定める」と定めています。ただし同項には「但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる」という但書があります。

さいたま市の令和8年度は、この但書の側です。市が公表している「令和8年度 市税等の納期について」によると、固定資産税・都市計画税の納期限は次のとおりです。

  • 第1期(5月) 令和8年6月1日
  • 第2期(7月) 令和8年7月31日
  • 第3期(12月) 令和9年1月4日
  • 第4期(2月) 令和9年3月1日

納税通知書の発送は令和8年5月1日(金)でした。末日が土日祝に当たると翌開庁日にずれるので、第3期が年明けの1月4日、第4期が3月1日になっています。「4月に来る」で資金を組むと、1か月から2か月ずれます。

税額の中身と、更地にすると上がる仕組みは 固定資産税はいつ・いくら来るか に書いています。

1月にある、いちばん忘れられる期限

地方税法第383条は、償却資産の所有者に対して「毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額その他……を一月三十一日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない」と定めています。

建物そのものは家屋として課税されるので申告は要りません。問題は、家屋に含まれないものです。

アパートの何が償却資産になりますか

一般的には、駐車場のアスファルト舗装、外構のフェンスや門扉、駐輪場の屋根、屋外の看板、太陽光発電設備、屋外給排水設備などが償却資産として扱われます。家屋と一体になっている設備(建物に組み込まれた電気設備・給排水設備など)は家屋の評価に含まれるため、どちらに入るかは物件ごとに分かれます。

地方税法第351条は固定資産税の免税点を定めていて、償却資産は課税標準となるべき額が150万円に満たない場合、固定資産税を課することができないとしています。ただし課税されないことと、申告しなくてよいことは別です。申告の義務は第383条にあり、免税点とは切り離されています。判断に迷うものは、資産の一覧を持って市の資産税担当か税理士に確認してください。

2月から3月は、申告と、来年の申請

所得税法第120条は、確定申告の期間を「第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう)」と定めています。ここは多くの方が押さえています。

見落とされやすいのは、同じ3月15日が「来年から青色にする」ための締切でもあることです。所得税法第144条は、青色申告の承認を受けようとする居住者は「その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに……業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)」に申請書を提出しなければならないとしています。

3月15日に出す確定申告は前年分。同じ日が期限の青色申告承認申請は、今年分から適用されるものです。1年ずれています。青色で何が変わるかは 青色申告にすると何が変わるか、帳簿の付け方と保存年数は 大家が使う帳簿は何か|白色申告でも記帳と7年保存は義務です をご覧ください。

市から来るものと県から来るものを左右に分けた図。市からは固定資産税・都市計画税、個人市県民税の納付書、償却資産の申告書。県からは個人事業税の納税通知が8月と11月の2回で、10室以上が判定の入口。

8月と11月に、県からもう1通来ます

市からの固定資産税とは別に、県から個人事業税の納税通知書が届くことがあります。地方税法第72条の51は、個人事業税の納期を「八月及び十一月中において当該道府県の条例で定める」としています。埼玉県も原則8月と11月の2回(税額が1万円以下の場合は8月に一括)です。

不動産の貸付けが事業税の対象になるかどうかは、県が認定基準を公表しています。埼玉県の建物の認定基準は次のとおりです。

  • 一戸建の住宅 10棟以上
  • 一戸建以外(アパート・貸間等)の住宅 10室以上
  • 住宅以外の一戸建 5棟以上
  • 住宅以外で一戸建以外 10室以上

加えて、建物の貸付総面積が400平方メートル以上で、かつ貸付収入金額が800万円以上の場合は、貸付数に関係なく不動産貸付業と認定されます。駐車場業は駐車可能台数10台以上、または駐車場総面積300平方メートル以上です。空室も「貸付け可能な室数」として数え、共有物件は持分で按分せず物件全体で判定されます。

ただし、課税所得金額の計算では事業主控除が年290万円あります(年の途中で開業・廃業した場合は月割)。10室のアパートを1棟持っていても、控除後に所得が残らなければ税額は出ません。「10室を超えたら必ず払う」ではなく、「10室を超えたら判定の対象に入る」という順番です。

なお、所得税で「事業的規模」とされる5棟10室の基準とは、根拠になる法律が違います。同じ数字が出てくるので混同しやすいところです。法人にするかどうかの分岐点は 大家の法人化は所得900万円が目安なのか|税率の先にある3つの固定費 に書いています。

税金以外にも、毎年決まって来るもの

さいたま市で需要が動く時期そのものは さいたま市で賃貸需要が動く時期と、地域ごとの傾向 にまとめています。

都合の悪いことも書いておきます

  • 納期は市町村ごとに違います。この記事の日付はさいたま市の令和8年度のものです。川口市や上尾市に物件がある方は、その市の納期を見てください。同じ埼玉県内でも同じとは限りません
  • 日付は毎年ずれます。末日が土日祝なら翌開庁日になります。「去年と同じ日」で組まないでください
  • 税額の話は個別です。ここに書いたのは期限の話だけで、いくら払うかは物件と所得で変わります。税務の判断は税務署または税理士に確認してください
  • カレンダーを作っても、収入が平らになるわけではありません。退去は季節を選ばず出ます。原状回復の費用は、期限のある支払いと同じ月に重なることがあります

順番

  1. 市の納期を、市のページで確認する。物件のある市町村ごとに1回だけ調べれば済みます
  2. 1月31日を先にカレンダーへ入れる。償却資産の申告は、年始でいちばん忘れられます
  3. 3月15日を2つに分ける。前年分の確定申告と、今年分からの青色申告承認申請です
  4. 8月の封筒に注意する。県からの個人事業税は、市税とは別に届きます
  5. 点検と保険の満期を、同じカレンダーに乗せる。税金だけの表にしないこと

大家になったときの手続き全体は 大家になったら必要になる書類と手続きの一覧、収入と所得の違いは 賃貸経営の「収入」と「所得」は同じではない|敷金は収入に入りません をご覧ください。

1年の流れは、一度書き出せば毎年使えます。紙1枚に、市の納期・1月31日・3月15日・8月と11月を書く。それだけで、5月に届く封筒に驚かなくなります。

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