10月は都市緑化月間|さいたま市で大家がアパートを建てるとき緑化の協議は500平方メートルから

国土交通省は2026年9月11日、令和8年度の「都市緑化月間」が10月1日から10月31日までの1か月間であることを発表しました。テーマは「ひろげよう 育てよう みどりの都市」です。月間そのものは啓発の行事ですが、敷地の緑については、啓発ではなく手続きの話が大家に来ます。

結論からお伝えすると、さいたま市では敷地面積500平方メートル以上、市外の埼玉県内では1,000平方メートル以上が分かれ目です。そして、緑化そのものは努力義務なのに、市と協議することは義務という、条文の作りが読みどころになります。自宅の建築は対象から外れますが、貸すために建てるアパートは外れません。

敷地の緑化の手続きが始まる境目を5つ並べた図。さいたま市は500平方メートル、県内のその他は1000平方メートル、自宅は外れ貸す建物は入ること、住居系の緑化割合、協議の時期

緑化率を都市計画で決められる区域は、全国に4か所しかありません

都市緑地法34条1項は、市町村が都市計画に「緑化地域」を定められるとしています。緑化地域内では、一定規模以上の敷地の建築物について緑化率の最低限度が義務になります(同法35条1項)。最低限度の上限は10分の2.5=敷地面積の25パーセントで、これは同条3項に書かれています(上限が25パーセントに変わったのは平成30年4月1日)。

ところが、実際に指定されている緑化地域は多くありません。国土交通省のデータベースによれば、平成29年3月31日現在で4地域・合計60,644.6ヘクタールです。

  • 東京都世田谷区(東京都市計画緑化地域)300平方メートル以上/緑化率5〜25パーセント
  • 神奈川県横浜市(横浜市緑化地域)500平方メートル以上/10パーセント
  • 愛知県名古屋市(名古屋都市計画緑化地域)300または500平方メートル以上/10〜20パーセント
  • 愛知県豊田市(豊田市緑化地域)500平方メートル以上/5〜15パーセント

対象となる敷地規模は都市緑地法施行令9条で原則1,000平方メートルとされ、市町村は条例で区域を限り300平方メートル以上1,000平方メートル未満まで引き下げられます。埼玉県については、県が緑化計画届出制度のページで「都市緑地法第34条第1項の緑化地域(現時点では、埼玉県内に該当地域はありません。)」と明記しています。

では、埼玉のアパートには緑化の話は来ないのですか?

来ます。根拠が都市緑地法ではなく、県と市の条例になるだけです。

埼玉県内で敷地面積1,000平方メートル以上の建築行為(新築、改築、増築、移転)を行う場合は、ふるさと埼玉の緑を守り育てる条例26条に基づき、緑化計画届出書を県の環境管理事務所に提出することになっています。基準は同条例施行規則25条の「緑化基準」で、3つの項目からなります。

  1. 緑化を要する面積=用途地域が定められた区域では、敷地面積×(1−建ぺい率)×0.5
  2. 接道部の緑化
  3. 高木植栽本数=樹木による緑化面積÷20平方メートル以上

ここに、県自身が書いている一文があります。「提出いただいた緑化計画届出書に基づいて緑化基準項目をお知らせするものであり、基準を達成しないことによる罰則はありません。」県の制度は、届け出た計画に対して達成レベルを通知する形で、罰則で縛る形ではありません。

さいたま市は県の制度から外れていて、線が500平方メートルです

県のページの「適用除外区域」に、さいたま市の全域が挙がっています。川口市、所沢市、春日部市、草加市、越谷市、戸田市、朝霞市、和光市、新座市、八潮市、三郷市、吉川市、ふじみ野市は3,000平方メートル未満が市の制度に回ります(令和8年2月20日現在)。つまり、さいたま市の物件に県の1,000平方メートルの線は使いません。

さいたま市の根拠はさいたま市みどりの条例です。18条3号と同施行規則9条により、敷地面積500平方メートル以上の敷地で、建築基準法6条1項または6条の2第1項の確認の申請を必要とする建築物の建築が対象になります。

ここに読み落としやすいかっこ書きがあります。18条3号は対象から「主として自己の住居の用に供する目的のものを除く」としています。自宅を建てるなら外れますが、人に貸すために建てるアパートは、この除外に入りません。同じ500平方メートルの土地でも、自宅とアパートで扱いが割れます。

緑化面積の割合は、用途地域で段が変わります

さいたま市緑化指導基準では、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域、市街化調整区域について次のとおりです。

  • 500平方メートル以上3,000平方メートル未満=敷地面積の100分の10
  • 3,000平方メートル以上=100分の20
  • 中高層建築物の建築=面積による区分なしで100分の20

商業地域と近隣商業地域は3,000平方メートル未満で100分の5、3,000平方メートル以上は(1−建ぺい率)×0.5の算式による数値か100分の5の大きいほうです。

敷地面積600平方メートル、第一種住居地域のアパートなら、100分の10で60平方メートル。畳にして約37枚分の緑地を敷地の中に確保する計算です。

同基準の用語の定義には、もうひとつ実務で効く行があります。建ぺい率は「建築基準法その他の法令の規定による建ぺい率の最高限度まで含む」もので、実際に建てる建築物の建築面積の割合ではありません。建ぺい率を余らせて建てても、計算に使う数字は下がりません。

離れた駐車場も、同じ敷地として数えます

マニュアルは「対象となる敷地面積は、設置する施設の敷地及び設置する施設と機能的に一体利用される土地(駐車場など)を敷地面積とします。(公道等で分断されていても同様です。)」としています。道路をはさんだ飛び地の駐車場も足して数えます。建物の敷地だけで450平方メートルでも、向かいの駐車場を足すと500平方メートルを超える、という形はあり得ます。

また、増築や改築でも、敷地の拡張を伴わず増改築の建築面積の合計が従前建築面積の5分の1(20パーセント)以内であれば対象外とされています。裏返すと、20パーセントを超える増築は対象に入ります。

協議は義務、緑化は努力義務。勧告と公表は「協議しなかったこと」に出ます

条文の書き分けがはっきりしています。

  • みどりの条例18条=敷地内の緑地の保全に「努める」とともに、市長が別に定める基準により緑化に「努めなければならない」=努力義務
  • 同19条1項=敷地内の緑化に関し、市長と「協議しなければならない」=義務
  • 同19条2項=協議の時期は、建築確認の申請または計画の通知をするときまで
  • 同20条1項・2項=緑化が完了したら報告して検査を受ける。報告は完了した日から14日以内
  • 同21条=設けられたみどりの維持管理を適正に行うよう「努めなければならない」=努力義務

そのうえで29条1項は、19条1項・3項の協議をせず、20条1項の報告をせず、または検査を拒んだときに指導または勧告ができるとし、30条1項は勧告に正当な理由なく従わないときに公表できるとしています(公表の前に意見を述べる機会が与えられます)。

つまり、木が枯れたこと自体で名前が出るのではなく、手続きを飛ばしたことで名前が出る作りです。買った物件や相続した物件で「前の所有者が協議を通した緑地」がある場合、21条の維持管理は努力義務にとどまりますが、完了検査を受けた図面は市に残っています。

物件を買ったときに集める書類の並べ方は 収益物件を買った大家が最初に集める7つの書類|固定資産税の精算金は税金ではない にまとめています。

さいたま市みどりの条例で努力義務とされているものと、義務とされているものを左右で比べた図。左は緑地の保全や緑化と維持管理、右は市長との協議や完了の報告と検査

2027年3月31日で、太陽光を緑化面積に数える扱いが終わります

埼玉県は令和8年1月7日付けの通知(みどり第1037-4号・埼玉県環境部長)で、緑化計画届出制度において太陽光発電装置の設置面積を緑化面積に算入する取扱いを、令和9年(2027年)3月31日をもって廃止すると関係団体に通知しました。理由として、令和5年度の太陽光発電の累計導入量実績が平成23年度と比べて約14倍に増えたこと、一方でネイチャーポジティブの実現には生物の生息・生育環境となる緑地の創出を強化する必要があることを挙げています。

また、令和8年4月1日から県の緑化計画届出書の様式が変わり、緑化コンセプトや維持管理者の記入欄が新たに設けられました。誰が管理するのかを、届出の段階で書かせる形です。

この2つはいずれも県の制度の話なので、さいたま市内の物件には直接かかりません。県内のさいたま市外で、敷地1,000平方メートル以上の建築を2027年4月以降に予定しているなら、屋根の太陽光を緑地の数字に充てる前提は使えなくなります。

大家が今日のうちにできること

  1. 登記簿か測量図で、敷地面積を1回だけ確かめる。建物の敷地と、離れた駐車場を足した数字で見ます。500平方メートル、1,000平方メートル、3,000平方メートルのどの段にいるかが分かります
  2. 物件の用途地域を1つ調べる。住居系か商業系かで、割合が100分の10と100分の5に割れます
  3. 既存の植栽を1枚写真に撮る。建て替えや大きな増築を考えるとき、いま何平方メートル緑があるかが出発点になります

敷地の中の設備や配管が誰の持ち物になるかは アパートに鉛の給水管が残っていないか|敷地内の水道管は大家の財産です、1階の空室対策で植栽が見られている場所は 1階が決まらないとき大家が先に見る場所|空き巣の侵入口は窓より玄関です に、それぞれ整理しています。埼玉県内の貸家着工の動きは 埼玉県の貸家着工は前年同月比77.5%増|大家が見るのは全国平均ではなく県別の内訳です にあります。

個別の敷地でどの制度がかかるかは、用途地域、地区計画の有無、市町村によって変わります。判断は、さいたま市であれば都市局みどり公園推進部の北部公園整備課または南部公園整備課、市外であれば所管の県環境管理事務所と各市町の担当課に確認してください。

出典

  • 国土交通省「令和8年度『都市緑化月間』が始まります〜ひろげよう 育てよう みどりの都市〜」(2026年9月11日)
  • 都市緑地法(昭和48年法律第72号)34条・35条、都市緑地法施行令(昭和49年政令第3号)9条(e-Gov法令検索・2026年9月13日時点)
  • 国土交通省「緑化地域制度」および同データベース「緑化地域制度指定状況」(平成29年3月31日現在)
  • 埼玉県「緑化計画届出制度」(2026年4月6日掲載)、ふるさと埼玉の緑を守り育てる条例26条、同施行規則25条
  • 埼玉県環境部長通知「緑化計画届出制度における太陽光発電装置の取扱いの廃止について」みどり第1037-4号(令和8年1月7日)
  • さいたま市「さいたま市緑化指導基準マニュアル」、さいたま市みどりの条例18条・19条・20条・21条・29条・30条、同施行規則9条

投稿者プロフィール

Follow me!

この記事の内容について、個別に相談したい方へ

さいたま市周辺で賃貸管理をお探しの方、いまの管理に迷いがある方のご相談をお受けしています。 まだ何も決めていない段階でもかまいません。

相談する(お問い合わせフォーム)