辞めた管理人から請求されたら、給料は7日以内に払います|労働基準法23条は積立金や保証金も「名称を問わず」返す対象にしています
結論からお伝えすると、雇っていた管理人が退職したときは、権利者から請求があれば、7日以内に賃金を払い、積立金・保証金・貯蓄金など「名称の如何を問わず」労働者の権利に属する金品を返さなければなりません(労働基準法23条1項)。現行の条文で確かめました(2026年10月7日時点)。

7日の期限が動くのは、「権利者の請求」があったときです
条文は、労働者の死亡または退職の場合において、権利者の請求があったときは、7日以内に支払い、返還するとしています。つまり、請求を受けたことが、期限の出発点です。
- 請求がないときの給料日は、24条2項の「毎月1回以上、一定の期日」の決まりで考えます(管理人の給料日は「毎月第4金曜日」では決められません)
- 請求の日を含めて7日と数えるのか、翌日から数えるのかは、条文に書かれていません
- 退職した本人が権利者であることは分かります。死亡の場合に誰が権利者かは、条文だけでは読み切れません
返す対象は、賃金だけではありません
条文が挙げているのは、次のものです。
| 条文の言葉 | 管理人の場合に思い当たる例 |
|---|---|
| 賃金 | 最後の月の給料、日割りの分 |
| 積立金 | 給料から積み立てておいたお金 |
| 保証金 | 預かっておいたお金 |
| 貯蓄金 | 本人の貯金として預かっていたお金 |
| その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品 | 名前が「預り金」でも「協力金」でも、本人のものなら対象 |
「名称の如何を問わず」と書いてあるので、帳簿や契約書の上の名前では逃げられません。管理人に預けさせたお金があるときは、辞めるときの返し方まで、先に決めておきます。
金額に争いがあるときは、どうなりますか?
2項は、賃金や金品に関して争いがあるときは、使用者は異議のない部分を、1項の期間中に支払い、または返還しなければならないとしています。たとえば、未払いの賃金が8万円あって、そのうち1万円は鍵の弁償にあたると大家さんが考えて争うなら、異議のない7万円は、期間中に払う読みになります。8万円の全部を、争いがあることを理由に止める読みは、2項からは出てきません(説明のための数字です)。
鍵を返してもらっていないときも、7日は変わりませんか?
条文は、権利者の請求があれば7日以内、とだけ書いています。鍵の返却と引き換えに払う、という条件は、23条に書かれていません。鍵が戻らないことへの対応は、賃金の話とは別の筋で進める必要があります。
- 賃金から鍵の費用を差し引く形は、24条1項の全額払いの問題になります(管理人の給与から家賃を引く大家は、書面の労使協定が要ります)
- 鍵の返却は、辞める日より前に段取りを決めておくと、行き違いが起きにくくなります(賃貸の鍵は何本?大家が持つスペアの本数と記録)
- 返してもらえないときの請求や、鍵の交換費用をどう扱うかは、条文だけでは決められません。弁護士か労働基準監督署に確かめてください

破ると、どうなりますか?
120条1号は、23条から27条までの規定に違反した者を、30万円以下の罰金に処すると定めています。23条はこの範囲に入っています。121条により、使用人などが業務に関して違反したときは、事業主にも罰金刑が科されます。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をしたときは、この限りでありません。
都合の悪いことも書いておきます
- 家事使用人には、労働基準法が適用されません(116条2項)。賃貸経営のために雇う人があたるかは、条文だけでは判断できません。
- 退職金(退職手当)を払う約束がある場合、その払う時期が7日の期限とどう関係するかは、23条だけでは読み切れません。就業規則や契約書の定めとあわせて、労働基準監督署に確かめてください。
- 7日以内に払う「賃金」の範囲は、11条の定義とあわせて読む必要があります。この記事では、11条の細かい当てはめまでは確かめていません。
- 管理人が、請求しないまま行方が分からなくなったときの扱いは、条文に書かれていません。
今日やることを1つだけ選ぶなら
管理人に辞められたときに、最後の給料の計算の締め日と支払日、預かっているお金の一覧、貸している鍵・物の一覧を、1枚のメモにまとめておいてください。請求を受けた日から7日の中で、何をいつ払い、何を返すかを、そのメモで確かめられます。辞めてもらうときの予告のルールは管理人に辞めてもらうときは、30日前に伝えるか30日分の平均賃金を払いますに、帳簿の備え方は人を雇った大家が備える帳簿は2つですにあります。個別の判断は、労働基準監督署か社会保険労務士に確かめてください。
出典
- 労働基準法11条・23条・24条・116条・120条・121条(e-Gov法令検索・2026年10月7日時点)
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