埼玉で外国人の住民が増えている市は、川口より県北です|大家が住民基本台帳で見る4年の変化
埼玉県市町村課のホームページに、「住民基本台帳人口」というExcelが年に1回載ります。市町村ごとに1行、日本人・外国人・計の人口と世帯数が並んだ表です。2022年1月1日の表と2026年1月1日の表を並べて、外国人の列だけを引き算すると、埼玉の賃貸の地図が少し違って見えてきます。
結論からお伝えすると、埼玉県の外国人住民は4年で19万4,017人から28万6,261人へ、約1.5倍(+47.5%)になりました。人数がいちばん多いのは川口市、住民に占める割合がいちばん高いのは蕨市ですが、増え方がいちばん速いのは県南ではなく、鴻巣市・東松山市・加須市・熊谷市といった県北・県央の市です。そしてこれらの市では、同じ4年間に日本人の住民が減っています。
数字はどこから取ったか
使ったのは、埼玉県が公表している住民基本台帳年報の第1表「市町村別人口、世帯数」です(令和4年1月1日現在と令和8年1月1日現在)。2012年7月9日の住民基本台帳法の改正で、外国人住民も住民票の対象になり、この表に日本人と外国人が分けて載っています。
注意したいのは、外国人の数え方は1つではないことです。
| 統計 | 埼玉県の数 | 数えているもの |
|---|---|---|
| 住民基本台帳(県市町村課) | 28万6,261人(2026年1月1日) | 住民票がある外国人 |
| 在留外国人統計(出入国在留管理庁、県国際課が掲載) | 29万937人(2025年12月末) | 中長期在留者と特別永住者 |
時点も数え方も違うので、2つの数字は一致しません。記事やニュースで「埼玉の外国人は◯万人」と見たときは、どちらの統計かを確かめてから比べる必要があります。この記事では、市町村別に同じ物差しで並べられる住民基本台帳を使います。

人数・割合・増え方で、上位の市が入れ替わります
| 見方 | 上位の市(2026年1月1日) |
|---|---|
| 外国人の人数 | 川口市 5万3,790人/さいたま市 3万8,244人/草加市 1万2,929人/川越市 1万2,398人/蕨市 1万944人 |
| 住民に占める割合 | 蕨市 14.2%/川口市 8.8%/戸田市 6.8%/八潮市 5.9% |
| 4年間の増加率(2,000人以上の市) | 鴻巣市 +75.5%/東松山市 +69.3%/加須市 +69.1%/熊谷市 +64.9%/春日部市 +64.0% |
蕨市は住民のおよそ7人に1人が外国人です。一方、川口市の増加率は+41.2%で、県全体の+47.5%を下回っています。「外国人の入居者といえば川口・蕨」という印象は人数と割合の話で、いま伸びている場所の話ではありません。
日本人が減っている市で、外国人が増えています
同じ表で、日本人の列も引き算してみます。
| 市 | 日本人(4年間) | 外国人(4年間) |
|---|---|---|
| 川口市 | -1万2,730人 | +1万5,700人 |
| 熊谷市 | -6,350人 | +2,389人 |
| 春日部市 | -7,129人 | +2,875人 |
| 加須市 | -2,159人 | +1,770人 |
| 鴻巣市 | -1,481人 | +1,377人 |
| 東松山市 | -1,026人 | +1,820人 |
川口市と東松山市は、日本人の減少を外国人の増加が上回っています。県全体では、日本人が10万9,545人減り、外国人が9万2,244人増えました。住民の数が保たれている市の一部は、外国人の増加で保たれている、というのがこの表から読める事実です。
賃貸の大家さんにとって、住民の増減はそのまま部屋を探す人の増減です。日本人の入居者だけを想定して募集している物件は、減っている側の需要だけを取りにいっていることになります。

さいたま市の中では、どの区ですか?
さいたま市の外国人住民は4年で2万6,705人から3万8,244人(+43.2%)になりました。区ごとに見ると、次のとおりです。
- 人数が最も多いのは南区:4,966人→7,427人(住民の3.8%)
- 増加率が高いのは岩槻区と桜区:岩槻区 2,301人→3,587人(+55.9%)、桜区 2,699人→4,115人(+52.5%)
- 岩槻区は日本人が1,882人、桜区は906人減っています。見沼区も日本人は86人減、外国人は1,192人増です
大宮区は日本人・外国人とも増えていますが、日本人の増加(+5,356人)が外国人(+1,069人)を大きく上回っています。単身世帯が増えている大宮区の事情は 大宮区の単身需要は人口ではなく世帯で見る に書きました。区ごとの賃貸経営の違いは 大宮・浦和・岩槻|賃貸経営の違い にもあります。
「世帯」の列に、もう1つの数字があります
この表の世帯数は、日本人だけの世帯・外国人だけの世帯・複数国籍世帯に分かれています。2026年1月1日の県全体では、外国人だけの世帯が16万9,277世帯、日本人と外国人が一緒に住む複数国籍世帯が3万8,371世帯でした。
複数国籍世帯は、たとえば日本人と外国籍の人の夫婦や家族です。申込書の国籍欄だけを見て「外国人の入居」と一括りにすると、この3万8,000あまりの世帯の事情が見えなくなります。
都合の悪いことも書いておきます
- 増加率が高い市は、もともとの人数が少ない市でもあります。鴻巣市の+75.5%は、1,823人が3,200人になった変化です。人数で見れば川口市の増加(+1万5,700人)とは桁が違います
- この表からは、在留資格・年齢・勤め先は分かりません。増えている人が学生なのか、工場や物流で働く人なのか、家族なのかは、別の統計や地元の求人の動きで確かめる必要があります
- 住民票を移していない人は数に入っていません。実際に住んでいる人数とはずれがあります
今日やること
県のExcelを開き、ご自身の物件がある市の行で、日本人と外国人の4年間の増減を引き算してみてください。日本人が減って外国人が増えている市なら、募集の条件を見直す根拠になります。そのときの審査の線の引き方は 大家が入居審査をどこまで厳しくするか、住民票で分かること・分からないことは 住民票を取り寄せても、誰が同居しているかは出てきません にまとめています。県内の地価の動きは 埼玉の地価は5年連続で上がっても、63市町村のうち21は下落 にあります。
(出典:埼玉県企画財政部市町村課「住民基本台帳人口」第1表 市町村別人口、世帯数(令和4年1月1日現在・令和8年1月1日現在)。埼玉県県民生活部国際課「埼玉県内の在留外国人数(令和7年12月末現在)について」(2026年6月29日掲載)。増減と割合は同表から当サイトで計算。2026年9月24日時点)
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