管理人がけがで休んだら、大家は労働基準監督署に報告します|労働安全衛生規則97条は休業4日以上なら遅滞なく、4日未満は四半期ごとです
結論からお伝えすると、雇っている管理人が仕事中にけがをして休んだときは、大家さん(事業者)が「労働者死傷病報告」を所轄の労働基準監督署長に出す決まりです(労働安全衛生規則97条)。休業が4日以上なら遅滞なく、4日に満たなければ3か月ごとにまとめて、翌月の末日までに報告します。労災保険の給付の請求とは別の手続きです。現行の条文で確かめました(2026年10月6日時点)。

報告が要るのは、「就業中のけがなどで、死亡または休業したとき」です
規則97条1項は、事業者は、労働者が労働災害その他、就業中または事業場内もしくはその附属建設物内での負傷、窒息、急性中毒により死亡し、または休業したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使って、所轄の労働基準監督署長に報告しなければならないとしています。「電子情報処理組織を使用して」とあるので、報告は電子で出す形です。
報告する事項には、次のようなものが入ります。
- 労働保険番号、事業場の名称・所在地、常時使用する労働者の数
- けがをした人の氏名、生年月日、性別、職種、その職種での経験期間、傷病の名称と部位
- 休業の見込み期間(死亡の場合は死亡日時)
- 発生した日時と場所、発生の状況と略図、原因
- 外国人の場合は、国籍または地域の名称と在留資格の区分
通勤の途中の事故が当たるかは、条文の「就業中又は事業場内」という言葉からは読み切れません。確かめるのは労働基準監督署です。

休業が4日に満たないときは、四半期ごとにまとめます
同条2項は、休業の日数が4日に満たないときは、1項にかかわらず、次の期間ごとに、それぞれの最後の月の翌月末日までに報告すればよいとしています。
- 1月から3月まで → 4月末日まで
- 4月から6月まで → 7月末日まで
- 7月から9月まで → 10月末日まで
- 10月から12月まで → 翌年1月末日まで
4日に満たない休業の報告には、1項の事項のうち休業の見込み期間は入らず、かわりに休業日数を書きます。たとえば2026年8月に2日休んだ人の分は、7月から9月の期間にまとまり、2026年10月31日までに出します。
労災保険の請求と、同じ手続きですか?
別の手続きです。この報告は、労働安全衛生規則にもとづく、事業者から監督署への報告です。けがをした人の治療費や休業の補償を受けるための、労災保険の給付の請求とは別に出します。保険のほうは清掃のパートを1人雇う大家の労災保険にあります。どちらか一方を出したから、もう一方を出さなくてよい、とは条文には書かれていません。
出さなかったら、どうなりますか?
労働安全衛生法100条1項は、厚生労働大臣、都道府県労働局長または労働基準監督署長が、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に必要な事項を報告させることができるとしています。120条5号は、この規定による報告をせず、または虚偽の報告をしたときは、50万円以下の罰金に処すると定めています。122条により、人の使用人などが業務に関して違反したときは、その人にも罰金刑が科されます。
都合の悪いことも書いておきます
- 労働安全衛生法の「労働者」には、家事使用人が入りません(2条2号)。賃貸経営のために雇う管理人が当たるかは、条文だけでは判断できません。
- 休業の日数を数える方法や、数日休んだあとの出勤の扱いは、この条文だけでは読み切れません。
- 電子での報告の手順や、紙の様式の扱いは条文には書かれていません。報告の前に、所轄の労働基準監督署に確かめてください。
- けがの原因が大家さんの管理にあると見られる場合の責任は、この報告の話とは別です。報告は、その責任を決める手続きではありません。
今日やることを1つだけ選ぶなら
管理人が仕事中にけがをしたとき、誰が何日休んだかを、日付つきで記録するメモを1枚作っておいてください。休業が4日以上か、4日に満たないかで、報告の期限が変わります。実際にけがが起きたときは、まず所轄の労働基準監督署に連絡先を確かめ、報告の手順を聞きます。個別の判断は、所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確かめてください。労働時間の記録は管理人の労働時間は、1日8時間・週40時間までの数え方とあわせて残します。台風や大雨の日の見回りの段取りは台風が来る前と後、オーナーが動く順番にあります。
出典
- 労働安全衛生法2条・100条・120条・122条(e-Gov法令検索・2026年10月6日時点)
- 労働安全衛生規則97条(同)
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